7月2日(水)豊永美恵(Cl)/コハーン イシュトバーン(Cl)/尾形大介(Pf)
~Reclamation plan vol.2~
アーティストサロン"Dolce"
【曲目】
1. ポンキエッリ/2本のクラリネットのためのディヴェルティメント「出会い」
2. キラーイ/5つのハンガリー民謡
3. コヴァーチ/ルーマニア狂詩曲~エネスコのルーマニア狂詩曲1番に寄せて~
4. ワイネル/ハンガリー舞曲
5. バルトーク/ルーマニア舞曲
6.メンデルスゾーン/演奏会用小品1番
7.コハーン/フェイドマン風演奏会用小品
8.カミレッリ/ディヴェルティメント1番 ファリャのオマージュ
9.コヴァーチ/バルカン半島からの挨拶
【アンコール】
コハーン/フェイドマン風演奏会用小品~第3楽章
昨年に続いてクラリネットの豊永美恵さんがプロデュースするサロンコンサートに出かけた。目を閉じて味わうタイプの曲が多かった前回とは趣をがらりと変え、今回は心底楽しいエキサイティングなステージとなった。それは今回のコンサートが、人が一つの固有の社会で育まれることで身につける「民族性」と深く関わった民族音楽がテーマで、熱い民族色が発揮される音楽がたくさん選ばれたこと、そしてそうした「お国もの」の音楽をストレートに伝える感性と腕を持ったプレイヤーが全力投球で演奏に打ち込んだことが、今夜の盛り上がりを実現した。
豊永さんが今回共演者として選んだコハーン氏は、いかにもパワーがありそうな大きな体の持ち主だが顔つきは穏やかで、「気は優しくて力持ち」タイプに見える。そして演奏もパワーの中に人情が感じられた。殊更に民族色を濃厚に絞り出すわけではなく、明るく人懐っこい表情を聴かせる。そして、ここぞという聴かせどころでのメラッと炎を燃え上がらせたエンジン全開ぶりがすごい。
このコハーン氏と比べ体の大きさでははるかに小柄な豊永さんだが、その演奏はコハーン氏に負けず劣らずダイナミックで熱く、スリリングでエキサイティング。そんな中でもアンサンブルを仕切る冷静な目も光っていた。
二人は音域によって変わるクラリネットの音色の違いを演奏で更に際立たせてくっきりと遠近感のあるフォームを浮き上がらせることもあれば、同じ高い音域を演奏するときはお互いがテンションをエスカレートさせ合い、はち切れんばかりのパフォーマンスを演じることもあり、この楽器の多彩な顔を見せつけた。そう言えば、クラリネットのデュオを聴くのは滅多にないことで、2本並ぶとこんな効果があるんだ、ということを体験することにもなった。
スピード感溢れるアクロバティックな曲が多かったが、どれも内面から感情が沸き上がる民族音楽の持つ自然なベクトルを実現しているため、聴いていて自然に気持ちが高ぶってくる。「2人の民族クラリネット吹き」という今夜のコンサートのサブタイトルも納得!そんな中で、豊永さんがソロで演奏したワイネルのハンガリー舞曲は、孤高の気高さと美しさを湛えていて心に沁み、リサイタルの幅を更に広げ、深めていた。
クラリネットとチェロが出逢うとき~Reclamation plan vol.1~ 2013.5.11 アーティストサロン"Dolce"
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_warai.gif)
アーティストサロン"Dolce"
【曲目】
1. ポンキエッリ/2本のクラリネットのためのディヴェルティメント「出会い」
2. キラーイ/5つのハンガリー民謡
3. コヴァーチ/ルーマニア狂詩曲~エネスコのルーマニア狂詩曲1番に寄せて~
4. ワイネル/ハンガリー舞曲
5. バルトーク/ルーマニア舞曲
6.メンデルスゾーン/演奏会用小品1番
7.コハーン/フェイドマン風演奏会用小品
8.カミレッリ/ディヴェルティメント1番 ファリャのオマージュ
9.コヴァーチ/バルカン半島からの挨拶
【アンコール】
コハーン/フェイドマン風演奏会用小品~第3楽章
昨年に続いてクラリネットの豊永美恵さんがプロデュースするサロンコンサートに出かけた。目を閉じて味わうタイプの曲が多かった前回とは趣をがらりと変え、今回は心底楽しいエキサイティングなステージとなった。それは今回のコンサートが、人が一つの固有の社会で育まれることで身につける「民族性」と深く関わった民族音楽がテーマで、熱い民族色が発揮される音楽がたくさん選ばれたこと、そしてそうした「お国もの」の音楽をストレートに伝える感性と腕を持ったプレイヤーが全力投球で演奏に打ち込んだことが、今夜の盛り上がりを実現した。
豊永さんが今回共演者として選んだコハーン氏は、いかにもパワーがありそうな大きな体の持ち主だが顔つきは穏やかで、「気は優しくて力持ち」タイプに見える。そして演奏もパワーの中に人情が感じられた。殊更に民族色を濃厚に絞り出すわけではなく、明るく人懐っこい表情を聴かせる。そして、ここぞという聴かせどころでのメラッと炎を燃え上がらせたエンジン全開ぶりがすごい。
このコハーン氏と比べ体の大きさでははるかに小柄な豊永さんだが、その演奏はコハーン氏に負けず劣らずダイナミックで熱く、スリリングでエキサイティング。そんな中でもアンサンブルを仕切る冷静な目も光っていた。
二人は音域によって変わるクラリネットの音色の違いを演奏で更に際立たせてくっきりと遠近感のあるフォームを浮き上がらせることもあれば、同じ高い音域を演奏するときはお互いがテンションをエスカレートさせ合い、はち切れんばかりのパフォーマンスを演じることもあり、この楽器の多彩な顔を見せつけた。そう言えば、クラリネットのデュオを聴くのは滅多にないことで、2本並ぶとこんな効果があるんだ、ということを体験することにもなった。
スピード感溢れるアクロバティックな曲が多かったが、どれも内面から感情が沸き上がる民族音楽の持つ自然なベクトルを実現しているため、聴いていて自然に気持ちが高ぶってくる。「2人の民族クラリネット吹き」という今夜のコンサートのサブタイトルも納得!そんな中で、豊永さんがソロで演奏したワイネルのハンガリー舞曲は、孤高の気高さと美しさを湛えていて心に沁み、リサイタルの幅を更に広げ、深めていた。
クラリネットとチェロが出逢うとき~Reclamation plan vol.1~ 2013.5.11 アーティストサロン"Dolce"