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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

ピアノ三重奏の夕べ ~都民芸術フェスティバル~

2015年01月24日 | pocknのコンサート感想録2015
1月24日(水)Pf:仲道郁代/Vn:徳永二男/Vc:毛利伯郎
東京文化会館小ホール


【曲目】
1. ハイドン/ピアノ三重奏曲第25番ト長調Op.73-2 Hob.XV-25  
2.ベートーヴェン/ピアノ三重奏曲第7番変ロ長調Op.97「大公」
3. メンデルスゾーン/ピアノ三重奏曲第1番二短調 Op.49
【アンコール】
メンデルスゾーン/ピアノ三重奏曲第1番 ~第3楽章「スケルツォ」


僕が好きな仲道さんと、奥さんが好きな徳永さんがピアノトリオで共演、これは行くしかない!と、N響定期は前の日に振り替えて東京文化会館へ出かけた。ピアノトリオの名作が3つ並んだプログラムも魅力的。演奏も素敵だった。

3人のプレイヤーのなかで一番耳を引いたのは、やっぱり30年来のファンとして聴いている仲道さん。ハイドンからは上品で控えめな香水の香りを漂わせ、ベートーヴェンには端正でキリッと引き締まった佇まいにエネルギーがこもり、メンデルスゾーンでは溢れる情熱を流麗にコントロールする技に魅せられた。

徳永さんのヴァイオリンは時々一本調子気味に聞こえることはあるが、明快でくっきりと浮かび上がる存在感があり、骨太の強い意思が伝わってきた。

毛利さんのチェロは、徳永さんとはかなり毛色を異にしていて、骨太さはない代わりに、ふくよかで表情豊かで、柔らかな息遣いが伝わってきた。ハイドンのトリオのチェロパートなどは、殆どピアノの左と同じ音で動いているにもかかわらず、アンサンブルのなかで温かな包容力を感じさせた。

3人はそれぞれタイプが異なるが、それぞれの個性がアンサンブルのなかで光りつつ、アンサンブルとしてのやり取りの面白さも伝えてくれた。

それが一番に発揮されたのが最後のメンデルスゾーン。溢れる情熱が火花となって飛び散った第1楽章、感情過多に陥らず、崇高な静けさを感じさせた第2楽章… 真っ直ぐ静かに伸びて行くヴァイオリンの音色を聴き、演奏する徳永さんの表情を見ていたら、以前NHKのドキュメントで観た、お兄さんの兼一郎さんがホスピスで行った最後のコンサートの様子が思い出された。その時演奏していたのがこの第2楽章。徳永さんと兼一郎さん、そしてピアノの伊藤恵さんの慈しむような演奏が今夜の演奏と重なった。

そこから一転、溌剌としたスケルツォを経て、力強く華やかなフィナーレへと進むと、3人が同じ頂点に向かって突き進むエネルギーがどんどん増幅され、生きる喜びとなって共鳴し、聴き手の心にも強く響いた。

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