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NHK交響楽団 12⽉公演 東京芸術劇場(秋山和慶 指揮)

2020年12月14日 | pocknのコンサート感想録2020
12月12日(土)秋山和慶 指揮 NHK交響楽団
東京芸術劇場

【曲目】
~ベートーヴェン生誕250年~
1.「エグモント」序曲 Op.84
2.弦楽四重奏曲第11番ヘ短調「セリオーソ」(マーラー編曲による弦楽合奏版)
3.ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.61

Vn:諏訪内晶子

N響の定期会員としては定期があるはずの月にはN響を聴きたくて、今月は東京芸術劇場の公演を選んだ。決め手は諏訪内晶子が弾くベートーヴェンだが、「セリオーソ」の弦楽合奏版も珍しくて興味をそそられた。秋山和慶は僕にとって好印象の指揮者であることも大きい。

最初は「エグモント」序曲。たっぷりとした演奏で、安定感があり充実した響き。重量感も十分で、堂々とした風格を示した。続いて「セリオーソ」。こちらも豊かな音色がホールに響き渡った。N響弦楽セクションの柔らかで落ち着きと深みのある表現は、ときに哀愁も漂わせて印象に残った一方で、もう少し果敢な攻めを聴かせて欲しいとも思った。

そして諏訪内を迎えてのヴァイオリン協奏曲。冒頭からいきなり諏訪内の魔力に引き付けられた。最初の上昇フレーズの最高音の「ソ」への伸びで、早くも天まで引き上げられた気分。諏訪内は自信たっぷりに、くっきりと彫りの深い彫像を作り上げていく。ダイナミックでしなやかなボウイングから生まれる演奏は、気高く華やかで頼もしい。今日の諏訪内さんのコスチュームは光沢がキラキラと輝く瀟洒な淡いピンクのドレス。光沢の輝きが音としても放たれている。

極上の高貴で艶やかな美しい音、その音たちによって描かれる堂々とした美しい造形、そしてそれを奏でる諏訪内さんの美しい容姿、3つの「美」が合わさって増幅し合い、諏訪内さんが後光を戴いた女神に見えた。カデンツァは普段あまり聴かないヨアヒム版、パガニーニ風のフレーズも登場する技巧を凝らしたカデンツァが諏訪内の演奏にぴったり!これはただ聴きホレるしかない。

秋山/N響も雄弁。木管のソロのアクティブな歌も心をそそる。そしてヴァイオリンソロとオケの生き生きとしたやり取りが全体の生命力を高めていった。第3楽章の最終盤、僕が昔からこの曲で一番シビれるオケとヴァイオリンの緊迫感を伴った華麗な応酬でテンションは最高潮に達し、終演となった。トリハダ立ちまくり。諏訪内晶子というヴァイオリニストの凄さを改めて思い知った。今日はやっぱりこのコンチェルトに尽きる。

(諏訪内晶子を聴いた過去の演奏会)
サロネン/ヴァイオリン協奏曲(日フィル定期)2018.2.22 サントリーホール
武満 徹/ノスタルジアほか(N響定期)2019.6.7 サントリーホール
諏訪内晶子&ボリス・ベレゾフスキー デュオリサイタル 2017.7.5 東京オペラシティ
ショスタコーヴィチ/ヴァイオリン協奏曲第2番(N響定期)2013.11.21 サントリーホール

(秋山和慶を聴いた過去の演奏会)
一柳 慧の音楽 ~コンポージアム2016~ 2016.5.25 東京オペラシティ
東京交響楽団定期演奏会 2012.3.10 サントリーホール

N響公演の感想タイトルリスト(2017~)
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