台北町歩き ~國立故宮博物院、台北101、台北郵局、北門、饒河街夜市ほか~ 台湾に来れば必ず台北を訪れる。台湾の首都である台北には新しい建物がどんどん建ち、地下鉄やモノレールなどの交通網がどんどん伸びて便利になる一方で、古い物も大切にされ、それを活かした新しい観光スポットが次々と誕生している。来るたびに見るものが増えている台北。今回の旅行で訪れたところで、ブログでこれまで紹介しなかったスポットを中心にレポートする。 國立故宮博物院 台湾に初めて行くとまず必ずと言っていいほど訪れるのが、世界四大博物館のひとつとも言われている國立故宮博物院。僕たちも最初と次の台湾旅行で2回訪れた。今回は15年ぶりの再訪。大規模な改装工事が行われて新装なった故宮を訪れるのは初めてだ。 訪れたのは台湾に着いた初日の3/26(水)。常宿の天成飯店に荷物を預けて、捷運(MRT)の士林駅からタクシーを使った(115元)。故宮の駐車場には大型バスが次から次へと入ってきて、入口前も団体客で大混雑だったが、一般の個人客は並ばずに入ることができた。 まずは腹ごしらえに入ったレストラン「故宮晶華」は、昔の大衆的な食堂(味は良かった)とは大違いで、明るくておしゃれで、席からの眺めもいい。メニューも豊富で味は上品でどれもおいしかった。値段は少々お高いが、それでも一人1000円程度で済んだ。 人気の展示品「翠玉白菜」にあやかった一品。シャキッとした歯ごたえで味は上品 食事を済ませて博物館を見学した。もちろん全然見切れないので、見たいものを決めておいた。「翠玉白菜」や「肉形石」、「九層象牙球」など超有名展示物のある部屋は、以前では想像できないぐらいの混雑ぶりで、部屋に入るのに40分ぐらい待たされることも。言葉から大陸から来た団体さんがすごく多い感じ。声もデカイ! でもどんなに並んでもやっぱり有名なものは見る価値大。こんな昔にこれほど高度な技で洗練の極みともいえるセンスの工芸品を作ったことに改めて感動。 有名な展示品以外の部屋は空いていてゆったり鑑賞できる。青銅器、青磁器、陶磁器、玉器、唐三彩、家具類… 色々なタイプの「美」が競い合う展示品の数々に溜息!約2時間半かけて見て回った。 至善園 博物館を見学したあと、敷地内にある中国式庭園の「至善園」へ行こうとしたら、なんと閉園間際でもう閉める準備をしていた。「5分だけ」と言われて急いで中へ… 緑が多い庭園内では花が咲き、野鳥がさえずり、大きな池には錦鯉が泳ぎ、観光客だらけの博物館から別世界に来た気分。 広い園内には、東屋や回廊など中華チックな建築が配され、絵になる場所がたくさんある。ゆっくり散歩したいところだが、言われた5分はとっくに過ぎているし、それでもできるだけ遠回りしながら出口へ戻った… ここは故宮のチケットを持っていれば入園できるが、入園料を払えばここだけ見ることもできる。庭園だけ目当てに来ても十分価値はある。 台北101
もう9時近いというのに、やっぱり待ち時間は30分。人気あるんだなー でも夜間割引で400元になったうえに、VISAカードで払ったら更に1割引にしてくれた。 エレベータを待っている人たちを自動撮影して、台北101との合成写真を大型ディスプレイで映し出すサービスがあって、これはあとで有料のプリントサービスにつながるのだが、ディスプレイを写真に撮るだけでも結構イケル! 驚きのスピードの東芝エレベータでやってきた地上380mにもおよぶ89階の展望フロアからの夜景は素晴らしかった! クリックで拡大 無料の日本語の音声ガイドが配られ、説明を聞きながら360度の展望をポイントごとに楽しむ。景色の説明だけでなく、詳しい観光ガイドも聞けて情報収集にもいい。だけど説明がとても長く、しかも音声ガイドスポットが14もあるので、閉館までに聞き終えるか心配になってきた。この上の屋外展望台も絶対行きたいし… 結局音声ガイドを全部聞くのはやめて、屋外展望台へ行こうとしたら… なななんと、入ろうとした直前で締め切られてしまった。。! 係員のお兄さんに懇願するも、情け容赦なく制止され、あえなく断念。これは大ショックでしばらく尾を引いてしまった。屋外展望台のためにまた来るしかないか。。 翌日、いつも泊まるホテルのすぐ近くなのに一度も行ったことがなかった、ホテルから歩いて行ける台北の歴史的な見学スポットを2つ訪れた。 台北郵局 その一つが忠孝西路に面して建つここ台北郵局(郵便局)。日本統治時代の1930年に中央郵便局として建てられた風格のある3階建てで、三級古蹟にも指定されているそうだが、今でも現役の郵便局として使われている。 建物の左側面。シンプルな力強さがある。この外壁は、老朽化のために2006年に大規模な修復工事が行われたそうだ(Yahoo Japan ニュース)。オリジナルの外観を尊重して工事が行われ、85年前の姿が蘇ったということで、またまた歴史建造物を大切に扱う台湾魂に出会った。 建物の内部も見逃せない。中に入ると3階まで吹き抜けの広々としたホールが目の前に広がる。当時の台湾総督の指導の下に建設したということで、「いいものを作ろう」という気概が窺える。今でも竣工当時のカウンターが使われているそうだ。 吹き抜けホール内のエスカレータに乗って天井を近くで見ることができる。天井を支える円柱の彫刻も見事。凝った意匠ではあるが洗練されたセンスが素晴らしい。 北門 もう一つの見学スポットは、台北郵局のすぐ向かいにどっしりと構えている北門。台北の町の入口を守る5つの門のうちの一つとして1884年に建造されたこの門は、清の時代の様式で建設された現在唯一残る門で、一級古蹟に指定されている。 清国統治時代のあとに日本による統治が始まったとき、日本軍が最初に台北入城を果たした場所でもあるそうで、この門は台湾のリアルな歴史の証人として、大通りの十字路のど真ん中で台北の町を見守っている。 門の内部には入れないが、門の中は歩道が通っていて歩いて通り抜けられる。堅牢な造りの門の通路内にあるこの扉もいかつい造りで、北門が町の要塞の役割を担っていたことを今に伝えている。 参考サイト:「台北駅前と北門、忠孝西路を歩く」片倉佳史著 『交流』2011.7 No.844より 饒河街観光夜市 花蓮に2泊して台北に戻った夜の7時過ぎ、ホテルに再チェックインしたあと、台北の夜市では士林夜市と並んで2大夜市と呼ばれている饒河街観光夜市へ出かけた。実はここに行くのは12回目の台湾にして初めて。 台北車站から台鐵の区間車で松山へ。区間車の車内は土曜日ということもあるのか、あちこちで話がはずんでいてとても賑やか。シーンとした日本の車内との違いがおもしろい。 松山駅の地下ホームからは、「饒河街観光夜市」への行き方を示すわかりやすい標識が要所に出ている。地上に出て目に飛び込んできたのは、ライトアップされた松山慈祐宮だ。夜空に浮かび上がった鮮やかな姿はまるで竜宮城! 夜市はこの慈祐宮から始まっている。
夜市で飲み食いする前に松山慈祐宮にお参りした。ここはやっぱり海の神様・媽祖を祀る1753年に創建された名古刹。ちょうどグループの祈祷が行われていた。今回もまた台湾に来させてくれたこと、ここまで天気に恵まれて楽しい旅ができていることへ感謝を伝え、「また台湾に来させてください」とお願いした。 参拝が済んだらいよいよ夜市で小吃三昧だ。夜市は慈祐宮のすぐ左側から始まっている。ここはどのガイドにもグルメの夜市として紹介されているが、確かにおいしい小吃の屋台がひしめき合っている。それぞれが食べたいものを買って、テーブルに持ち寄った。捲きホットドッグ、小籠包、鶏の唐揚げ、葱油餅、臭豆腐、麺線、チマキ… そしてこの夜市で欠かせないのが「福州世祖胡椒餅」。屋台の前には行列が出来ていたが、さばけるのは速い。生地をどんどんこねて、手際よく具を入れて、窯の内側に貼りつけて行く。流れ作業で量産している。1個50元。香ばしくて肉汁たっぷり。うまみが皮の中に閉じ込められていてウマイ! 「るるぶ」にも「夜市初心者にもおススメ」なんて書いてある有名な夜市のせいか日本人もたくさんいるようで、日本語がたくさん聞こえてきた。そんな時、娘の高校時代の友達とバッタリ!お互いビックリ! 出口付近で「アンケート調査に協力してほしい」、と学生に呼び止められた。「この夜市は何度目?」「どこの夜市が一番好き?」「好きな屋台料理は?」「また来たい?」などなど… インタヴューした学生自身もここは大好きとのこと。観光スポットだけあって、台湾人にとっても注目度の高い夜市のようだ。 小吃三昧の締めくくりはコレ!台湾マンゴーが出るにはまだ早い時期だが、これは紛れもない台湾マンゴー。最近知ったことだが、この時期に出てる台湾マンゴーは前のシーズンの冷凍ものだそうだ。確かに冷たくてシャキシャキしていたが、美味しかったことは間違いない。すっかり上機嫌でホテルへ戻った。11時過ぎ。 ひまわり学生運動 台湾の中小企業へのダメージも大きい「サービス貿易協定」(台中間のサービス分野の市場開放を目指す協定)が、与党国民党によって半ば強引に推し進められようとしたことに対し、学生を中心に反対運動が起こり、2014年3月18日、日本の国会に当たる立法院がデモ参加者によって占拠されるという、台湾の憲政史上初の事件が起きた。 僕たちが台湾にいたのは、学生が議場を占拠し、市内では抗議集会が盛んに行われている真っ只中で、市内では何度か集会にも出くわした。スーパーを探して二二八和平公園近くを歩いていたら、立法院へ通じる道がバリケードで厳重に封鎖されている現場を通った。 けれど、警官が立ってはいるが、あまり張りつめた空気はない。他のグループがバリケード前で記念写真を撮っても何のお咎めもない。そんな空気に緊張もほぐれ、監視のお巡りさんにスーパーへ行く道を尋ねると、他のお巡りさんまで呼んできて、スマホまで出して一生懸命調べてくれるという親切な対応にかえって恐縮してしまった。 何とも和やかなバリケード前だったけれど、台湾人の自分の国への思いは熱い。抗議行動は日に日に盛り上がりを見せ、行きつけのお茶屋で店員さんが、「今日は私も黒い服を着て、ひまわりを持って集会に行ってきます!」と意気揚々と話してくれた。「黒い服」と「ひまわり」は、この抗議行動の象徴。議場を占拠する学生へ支持者からひまわりが贈られたことが発端で、この運動が「ひまわり学生運動」と呼ばれるようになった。 その日(3/30)の午後、地下鉄駅構内や地下鉄の車内は、黒い服を着て、手に手にひまわりを持った人たちで溢れかえっていた。総統府周辺で行われた抗議集会には、主催者発表で50万人という想像を絶するほどの数の人々が集まったという。 台湾という、世界の多くの国から国家として認めてもらえない小国が、油断をすれば中国という超大国に簡単に呑み込まれてしまう危険を、台湾の人々は常に感じ、普段は穏やかだけれども「これは国の危機」と感じればすぐに反対を表明し、それを行動に起こすことを目の当たりに感じる出来事だった。 結局その後、「サービス貿易協定」は一定の条件が整うまで当面審議を行わない、という与党側の約束を取り付けて終息した。学生たち、台湾市民による成果だ。 一方で、同じ年の9月に「真の普通選挙」を求めて香港で起こった大規模な抗議行動は、結局何の成果も上げられぬまま排除されてしまった。1国2制度と言ってもこうした現状を見せつけられては、台湾人は中国を益々警戒せざるを得ないだろう。 11月に行われた台湾統一地方選挙で、中国寄りの与党である国民党が歴史的大敗を喫したのは、このひまわり学生運動と香港での出来事が大きく関わっていることは間違いないだろう。世界のトップをうかがうまでに経済力も高めている中国とどう付き合うか、という難しさはあるが、台湾には是非頑張ってもらいたい。加油台湾! このサイトで、NHKで2014年5月に「ひまわり学生運動」について詳しく紹介された番組を視聴することができます。著作権の問題があるようで、もしかしたら既に消されているかも… ありがとう 大友特産さん 台北に来れば必ず訪れていた「大友特産」は、良質で豊富な品揃えのMade in Taiwanのおみやけをとっても良心的な値段で買える、創業50年近く続いているお店。買い物だけでなく、すっかり顔馴染みになったお店の人達とおしゃべりするのも楽しみのひとつ。 これまでにこのブログで何度も紹介してきたが、去年(2013年)の秋頃、「大友特産」「閉店」の2語をキーワードに当ブログが度々検索されているのに気づき、まさかと思って調べてみたら、その年いっぱいで閉店するということがわかった。これはかなりのショック。もうあの優しいお店の人達に会えないんだろうか。 もしかしてまだやっているかも、と淡い期待を抱いてお店がある場所を尋ねたが、閉じられたシャッターに「長い間ありがとうございました」の貼り紙が… 本当に閉店しちゃったんだ。。 お店のご主人と交わしたいろいろな話、「毎年台湾に来てくれてありがとう」と言ってくれたこと、東日本大震災の直後に訪れたときは自分のことのように心を痛めて「日本ガンバレ」と声援を送ってくれたこと、毎年子供たちを見る度に「大きくなったねー」と成長を喜んでくれ、娘には大学の合格祝いにお店のネックレスをプレゼントしてくれたこと… いろんなことが次々と思い出される。今回台湾に行く前に手紙を出したがちゃんと届いただろうか… 台北での楽しみが一つ減ってしまったが、いつかまた再会できるといいな。大友特産の皆さん、長い間ありがとうございました。いつまでもお元気で!だけど、これからどこでおみやげを買えばいいんだろうか… 前の年に大友さんを訪れて一緒に撮った一枚 花蓮 ~「日本」が残るパワーストーンの町をチャリで巡る~ 太魯閣 ~ケタ外れのスケールの渓谷と滝めぐり~ 野柳 ~奇岩の海岸~ & 金山 ~活気ある老街~ 台湾旅行2014 メニューページへ |
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