9月16日(水)大野和士 指揮 東京都交響楽団
都響スペシャル2020/矢部達哉・都響コンサートマスター30周年記念
サントリーホール
【曲目】
1.ベートーヴェン/ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための三重協奏曲 ハ長調 Op.56
Vn:矢部達哉/Vc:宮田 大/Pf:小山実稚恵
2.ベートーヴェン/交響曲第3番 変ホ長調 Op.55「英雄」
このコンサートの案内を見たのは2週間ほど前。大野和士と都響でエロイカが聴けるなんて!それに名手達のソロでトリプルコンチェルトもやるとなれば、ベートーヴェンのアニバーサリーに相応しい願ってもないコンサートだ。しかしチケットは既に8月に売り切れていた。諦めきれず問い合わせたら10枚程度の再販売を行うことがわかり、これを取ることができた!再販売のチケットはすぐに完売した。
まずはトリプルコンチェルト。オケもソリスト達も頑張り過ぎず、伸び伸びと演奏を楽しんでいる風。あまり一生懸命展開しない音楽の特性もあり、柔らかな語り口で優美ささえ醸し出すコンチェルトグロッソの雰囲気を感じた。チェロのソロが、変化していく楽想の冒頭に置かれることが多いが、宮田のチェロはこれらのポイントで全体の色とか空気をさっと変えて行き、柔らかく歌心に溢れた演奏でムードメーカーの役を果たしていた。コンサートマスター30周年記念コンサートの主役である矢部のヴァイオリンソロも、宮田のチェロと同様に柔らかく雄弁で優美。小山のくっきりと存在感を聴かせるピアノと共に理想的なトリオを聴かせた。
さあ次はエロイカ。グーッと溜めこんだパワーを、もうこれ以上我慢できないところで一気に炸裂させたような冒頭の音塊の気合いは、聴衆に挑戦状を叩きつけているよう。終始この姿勢で貫かれた凄いエロイカだった。どのパートもどのフレーズも息づき、脈打ち、前へ前へと進んで行く。都響は濃密なアンサンブルで大野の指揮に一丸となって食らい付いて行く。その能動的な姿勢や、そこから生まれる生命力に溢れた音が、ベルリン・フィルの演奏を思わせた。コンマスの矢部からは、最高の演奏をやってやるという気合いが手に取るように伝わってきた。ライブ演奏でしか味わえない醍醐味だ。
こうしたイケイケのところだけでなく、細かい動きや息遣いが細部まで明瞭に描かれ、それらが結集して全体を作り上げて行くダイナミズムは大野ならではの真骨頂。表現力の深さも絶大で、第2楽章は極め付けの激情で迫ってきた。
フィナーレが颯爽と最後の和音を響かせて終わると、余韻が消えるまでホールは静寂に包まれた。そして万雷の拍手。楽員が退場したあとも拍手は止まず、大野さんが矢部さんを引き連れてステージに戻ってくると、聴衆はみんな立ち上がって2人を讃えた。確かに今夜のこの演奏はこの2人がいてこそ実現したと言えるだろう。そしてもちろんそれに見事に応えた都響の面々にもスタンディングオベーションを捧げたい。
嬉しいサプライズだったのは、第1楽章終盤のクライマックスにさしかかったとき、近年ベーレンライター新版が採用されるようになってからメロディーラインを吹くのを突如止めてしまうトランペットが、そのまま勇壮にメロディーを吹き続けたこと。やっぱり断然こっちがいい!
このメンバーでベートーヴェンの交響曲を全曲聴きたくなった。記念年の間に実現しないだろうか。
大野和士/都響:トゥーランガリラ交響曲 2018.1.20 東京芸術劇場
大野和士指揮 都響&スウェーデン放送合唱団:「天地創造」2017.9.11 サントリーホール
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1.ベートーヴェン/ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための三重協奏曲 ハ長調 Op.56
Vn:矢部達哉/Vc:宮田 大/Pf:小山実稚恵
2.ベートーヴェン/交響曲第3番 変ホ長調 Op.55「英雄」
このコンサートの案内を見たのは2週間ほど前。大野和士と都響でエロイカが聴けるなんて!それに名手達のソロでトリプルコンチェルトもやるとなれば、ベートーヴェンのアニバーサリーに相応しい願ってもないコンサートだ。しかしチケットは既に8月に売り切れていた。諦めきれず問い合わせたら10枚程度の再販売を行うことがわかり、これを取ることができた!再販売のチケットはすぐに完売した。
まずはトリプルコンチェルト。オケもソリスト達も頑張り過ぎず、伸び伸びと演奏を楽しんでいる風。あまり一生懸命展開しない音楽の特性もあり、柔らかな語り口で優美ささえ醸し出すコンチェルトグロッソの雰囲気を感じた。チェロのソロが、変化していく楽想の冒頭に置かれることが多いが、宮田のチェロはこれらのポイントで全体の色とか空気をさっと変えて行き、柔らかく歌心に溢れた演奏でムードメーカーの役を果たしていた。コンサートマスター30周年記念コンサートの主役である矢部のヴァイオリンソロも、宮田のチェロと同様に柔らかく雄弁で優美。小山のくっきりと存在感を聴かせるピアノと共に理想的なトリオを聴かせた。
さあ次はエロイカ。グーッと溜めこんだパワーを、もうこれ以上我慢できないところで一気に炸裂させたような冒頭の音塊の気合いは、聴衆に挑戦状を叩きつけているよう。終始この姿勢で貫かれた凄いエロイカだった。どのパートもどのフレーズも息づき、脈打ち、前へ前へと進んで行く。都響は濃密なアンサンブルで大野の指揮に一丸となって食らい付いて行く。その能動的な姿勢や、そこから生まれる生命力に溢れた音が、ベルリン・フィルの演奏を思わせた。コンマスの矢部からは、最高の演奏をやってやるという気合いが手に取るように伝わってきた。ライブ演奏でしか味わえない醍醐味だ。
こうしたイケイケのところだけでなく、細かい動きや息遣いが細部まで明瞭に描かれ、それらが結集して全体を作り上げて行くダイナミズムは大野ならではの真骨頂。表現力の深さも絶大で、第2楽章は極め付けの激情で迫ってきた。
フィナーレが颯爽と最後の和音を響かせて終わると、余韻が消えるまでホールは静寂に包まれた。そして万雷の拍手。楽員が退場したあとも拍手は止まず、大野さんが矢部さんを引き連れてステージに戻ってくると、聴衆はみんな立ち上がって2人を讃えた。確かに今夜のこの演奏はこの2人がいてこそ実現したと言えるだろう。そしてもちろんそれに見事に応えた都響の面々にもスタンディングオベーションを捧げたい。
嬉しいサプライズだったのは、第1楽章終盤のクライマックスにさしかかったとき、近年ベーレンライター新版が採用されるようになってからメロディーラインを吹くのを突如止めてしまうトランペットが、そのまま勇壮にメロディーを吹き続けたこと。やっぱり断然こっちがいい!
このメンバーでベートーヴェンの交響曲を全曲聴きたくなった。記念年の間に実現しないだろうか。
大野和士/都響:トゥーランガリラ交響曲 2018.1.20 東京芸術劇場
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