5月22日(火)アンジェラ・ヒューイット(Pf)
~バッハ・オデッセイ5~
紀尾井ホール
【曲目】
♪ バッハ/平均律クラヴィーア曲集第1巻 BWV846-869
アンジェラ・ヒューイットのリサイタルを聴くのは2度目。前回聴いた2013年のリサイタルは期待外れで、普通ならこういう場合、2度目を聴くことはないのだが、その後もこのピアニストの弾くバッハへの高い評価を度々目にし、通勤途中にウォークマンでよく聴くヒューイットの「平均律」はいい感じで、その「平均律」を生で聴けばネガティブな印象が塗り変わるかも、ともう一度聴くことにした。けれど、やっぱり前回の印象が改まることにはならなかった。
ヒューイットは、熱いハートを以て正面からアプローチし、幅広いディナミーク、変化に富むアゴーギクを駆使し、独特の間合いを取りながら、彼女ならではのバッハ像をはっきりと出してくる。バッハの音楽というのは懐が深く、どんな変則的な楽器編成でも、奇抜とも言えるアプローチでも許容してしまい、そこからまた新たなバッハ像が示されることも少なくない。それを考えれば、ヒューイットのアプローチは奇抜とは言えないし、FAZIOLI製のピアノを使うことだって、音へのこだわりを示した選択に過ぎないので悪いはずはないのに、自分の心の琴線に触れて来なかった。
ヒューイットが施す細かい表情付けが、僕にとって情報量が多すぎるのが一つの理由。音楽そのものが全てを語るバッハは、こんなにいろいろやらなくてもいいと感じてしまう。しかも、ディナミークやアゴーギクの変化や間合いの取り方に、いちいち「どうしてこうやるんだろう?」と疑問を感じてしまう。バッハの音楽が、厚化粧をして、コテコテに着飾って、気取って歩いているような印象。更に言うと、興味のないヒトに好意を持たれて近づいて来られるときの居心地の悪さみたいなものを感じてしまうのだ。
好みの問題と言われればそれまでだが、僕は特定の演奏へのこだわりは少ない方なのに、何がここまで性に合わないのかがよくわからない。一つだけ言えば、24曲目の最後のフーガの終盤、バス音を譜面には書いていないはずのオクターブに増強して弾いていたと思うのだが、それはやっぱり違うんじゃないかということ。ヒューイットのこうした姿勢が、このような疑問に繋がっているのかも知れない。ヒューイットは、自分のなかではこの2回のリサイタルで十分に聴いた、というのが今の気持ちだ。
アンジェラ・ヒューイット ピアノリサイタル 2013.10.16 王子ホール
ブログ管理人作曲によるCD
さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~(MS:小泉詠子/Pf:田中梢)
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~バッハ・オデッセイ5~
紀尾井ホール
【曲目】
♪ バッハ/平均律クラヴィーア曲集第1巻 BWV846-869
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ヒューイットは、熱いハートを以て正面からアプローチし、幅広いディナミーク、変化に富むアゴーギクを駆使し、独特の間合いを取りながら、彼女ならではのバッハ像をはっきりと出してくる。バッハの音楽というのは懐が深く、どんな変則的な楽器編成でも、奇抜とも言えるアプローチでも許容してしまい、そこからまた新たなバッハ像が示されることも少なくない。それを考えれば、ヒューイットのアプローチは奇抜とは言えないし、FAZIOLI製のピアノを使うことだって、音へのこだわりを示した選択に過ぎないので悪いはずはないのに、自分の心の琴線に触れて来なかった。
ヒューイットが施す細かい表情付けが、僕にとって情報量が多すぎるのが一つの理由。音楽そのものが全てを語るバッハは、こんなにいろいろやらなくてもいいと感じてしまう。しかも、ディナミークやアゴーギクの変化や間合いの取り方に、いちいち「どうしてこうやるんだろう?」と疑問を感じてしまう。バッハの音楽が、厚化粧をして、コテコテに着飾って、気取って歩いているような印象。更に言うと、興味のないヒトに好意を持たれて近づいて来られるときの居心地の悪さみたいなものを感じてしまうのだ。
好みの問題と言われればそれまでだが、僕は特定の演奏へのこだわりは少ない方なのに、何がここまで性に合わないのかがよくわからない。一つだけ言えば、24曲目の最後のフーガの終盤、バス音を譜面には書いていないはずのオクターブに増強して弾いていたと思うのだが、それはやっぱり違うんじゃないかということ。ヒューイットのこうした姿勢が、このような疑問に繋がっているのかも知れない。ヒューイットは、自分のなかではこの2回のリサイタルで十分に聴いた、というのが今の気持ちだ。
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