10月24日(木)Vc:マリオ・ブルネロ/フォルテピアノ:川口成彦
紀尾井ホール
【曲目】
1.ベートーヴェン/「魔笛」の主題による12の変奏曲ヘ長調 Op.66
2.メンデルスゾーン/チェロ・ソナタ第1番変ロ長調 Op.45
3.ファニー・メンデルスゾーン/カプリッチョ変イ長調 H.247
4.ショパン/チェロ・ソナタ ト短調 Op.65
【アンコール】
1.ベートーヴェン/3つの歌~彩られた一本のリボンで Op.83-3
2.レイナルド・アーン/歌曲集「ヴェネチア」~小舟
2020年に初めて聴いた演奏会以来、度々聴くようになったピアニストの川口成彦と、チェロの名手マリオ・ブルネロとのピリオド楽器による初のデュオリサイタル。川口は、ステージに置かれた2台のフォルテピアノを曲によって弾き分けた。楽器は1825年製のクレーマーと1843年製のプレイエル。ブルネロも川口も、フレーズの端々まで丁寧に神経を行き渡らせ、共に生き生きと伸びやかな演奏を作り上げて行き、アンサンブルを楽しんでいる様子が終始伝わって来た。
最初のベートーヴェン、川口はクレーマーを使用。2人で小さな宝物を大切に扱うような親密さが伝わる演奏。ブルネロのチェロは素朴でありながら軽快で雄弁に踏み込んで来る。川口のフォルテピアノもシンプルな響きを生かしてくっきりと語り、明確なフォルムを作り上げる。両者は、キビキビとエキサイティングなデュオを丁寧に繰り広げて行った。
次のメンデルスゾーンのソナタではプレイエルを使用。川口は、高級感のある硬質で艶やかな響きの楽器の特性を生かし、高貴で流麗な調べを紡ぎ出して行った。ブルネロのチェロは表現の幅を更に広げ、瑞々しい感性を迸らせた。両者のパッションが華々しく交感し合い、優美でドラマチックな演奏を築き上げた。
プログラム後半は、川口の推しで入れたというファニーの曲。使用楽器はクレーマー。小品と云うにはかなり規模の大きな充実した作品で、様々な表情を持っている。優しい曲を書くファニーのイメージとは異なるアグレッシブで緻密な音楽を、川口とブルネロは雄弁に表現した。音楽としては少々盛り過ぎの印象。
最後はショパンのソナタ。ピアノはもちろんプレイエル。ブルネロのチェロは伸びやかでファンタジック。ひとつのフレーズのなかでも色合いを変え、アゴーギクも豊かに多彩な表情を聴かせる。川口のピアノは細かなニュアンスを丁寧に引き出し、柔軟で雄弁にチェロと呼応した。ショパンの歌心が随所に滲むこのソナタを、ブルネロと川口は瑞々しい感性で優美に歌い、芳醇に奏でた。
プレイエルは繊細な楽器で、ショパンの書いたピアノパートの音がチェロに埋もれてしまうこともある。ガット弦を張ったチェロはモダン楽器に比べて音量は小さいが、プレイエルの魅力ある音がもっと聴こえて来てほしいと思う場面もあった。
プレイエル(手前)、クレーマー(奥)
吉井瑞穂 & 川口成彦 デュオリサイタル ~2024.4.1 東京文化会館(小)~
川口成彦 フォルテピアノ・リサイタル~2021.12.15 紀尾井ホール~
カバレフスキー/チェロ協奏曲(N響定期/Vc:M.ブルネロ)~2018.6.21 サントリーホール~
マリオ・ブルネロ&ファジル・サイ ソナタの夕べ~2012.6.28 紀尾井ホール~
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最初のベートーヴェン、川口はクレーマーを使用。2人で小さな宝物を大切に扱うような親密さが伝わる演奏。ブルネロのチェロは素朴でありながら軽快で雄弁に踏み込んで来る。川口のフォルテピアノもシンプルな響きを生かしてくっきりと語り、明確なフォルムを作り上げる。両者は、キビキビとエキサイティングなデュオを丁寧に繰り広げて行った。
次のメンデルスゾーンのソナタではプレイエルを使用。川口は、高級感のある硬質で艶やかな響きの楽器の特性を生かし、高貴で流麗な調べを紡ぎ出して行った。ブルネロのチェロは表現の幅を更に広げ、瑞々しい感性を迸らせた。両者のパッションが華々しく交感し合い、優美でドラマチックな演奏を築き上げた。
プログラム後半は、川口の推しで入れたというファニーの曲。使用楽器はクレーマー。小品と云うにはかなり規模の大きな充実した作品で、様々な表情を持っている。優しい曲を書くファニーのイメージとは異なるアグレッシブで緻密な音楽を、川口とブルネロは雄弁に表現した。音楽としては少々盛り過ぎの印象。
最後はショパンのソナタ。ピアノはもちろんプレイエル。ブルネロのチェロは伸びやかでファンタジック。ひとつのフレーズのなかでも色合いを変え、アゴーギクも豊かに多彩な表情を聴かせる。川口のピアノは細かなニュアンスを丁寧に引き出し、柔軟で雄弁にチェロと呼応した。ショパンの歌心が随所に滲むこのソナタを、ブルネロと川口は瑞々しい感性で優美に歌い、芳醇に奏でた。
プレイエルは繊細な楽器で、ショパンの書いたピアノパートの音がチェロに埋もれてしまうこともある。ガット弦を張ったチェロはモダン楽器に比べて音量は小さいが、プレイエルの魅力ある音がもっと聴こえて来てほしいと思う場面もあった。
プレイエル(手前)、クレーマー(奥)
吉井瑞穂 & 川口成彦 デュオリサイタル ~2024.4.1 東京文化会館(小)~
川口成彦 フォルテピアノ・リサイタル~2021.12.15 紀尾井ホール~
カバレフスキー/チェロ協奏曲(N響定期/Vc:M.ブルネロ)~2018.6.21 サントリーホール~
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