11月5日(月)Pf:仲道郁代/T:中鉢聡
~歌・恋・愛~ 北とぴあ国際音楽祭2012
北とぴあ・さくらホール
【曲目】
♪ ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ8番 ハ短調「悲愴」Op.13
♪ シューマン/歌曲集「詩人の恋」Op.68~第1~7曲、第12曲、終曲
♪ ベッリーニ/追憶
♪ チマーラ/郷愁
♪ タリアフェッリ&ヴァレンテ/情熱
♪ ドビュッシー/月の光
♪ ドビュッシー/「子供の領分」~グラドゥス・アド・パルナッスム博士/人形へのセレナード/ゴリウォーグのケークウォーク
♪ ドビュッシー/アラベスク第1番/第2番
♪ ドビュッシー/前奏曲集第1巻~アナカプリの丘
♪ ドビュッシー/喜びの島
【アンコール】
1.ナポリ民謡/オーソレミオ
2.プッチーニ/「トゥーランドット」~誰も寝てはならぬ
テノール歌手の中鉢聡さんをゲストに迎えて行われた仲道さんのリサイタルに娘と出かけた。先月聴いたベートーヴェン・プログラムが素晴らしかっただけに、期待は膨らんでいた。仲道さんと中鉢さんがマイクを持ち、コンサートのテーマについて、演奏曲目について、過去の2人の共演についてなど、いろいろ楽しいおしゃべりを交えながら進んだ。
会場の雰囲気が和やかになるのはいいのだが、演奏中に無神経な咳が多く、物が落ちる音やアメの包みを開ける音など、集中して聴いてなくて周りに迷惑な音を出す人が特に前半で多かった。そんな影響もあってか、或いは自分の気持ちが集中できないせいか、前半での仲道さんのピアノからはいつものテンションや親密度がなかなか伝わってこなかった。「悲愴ソナタ」ではバージョンの違いかと思うような箇所があったし、「詩人の恋」のピアノパートは、仲道さんならもっと胸キュンの「歌」を表現できるはず。
けれど、後半のドビュッシーでは本来の仲道さんのピアノが戻ってきた。特に「子供の領分」、「アナカプリの丘」、「喜びの島」が素晴らしかった。音の冴え、能動的な歌いかけや語りかけ、音楽の奥底から沸き上がってくるパッションや溢れる情感がリアルに伝わってきて、演奏の前に紹介してくれた曲の背景や描写の様子をありありと感じることができた。
焦点がしっかり定まり、彫塑的にくっきりとした印象を描いた「アナカプリの丘」を聴いて、ドビュッシーの前奏曲集を仲道さんのピアノでまとめて聴いてみたくなった。また、高い緊張感を持続させ、 輝かしい音色でどんどんと高揚してクライマックスへ突き進み炸裂する「喜びの島」が聴けて、前半でくすぶっていた満たされない気分が完全に消え、自分にとって、このコンサート全体がバラ色に染まった。この曲が一番の目当てと言っていた娘も大満足の様子。
ゲストの中鉢さんのテノールも、特に後半で艶と輝きのある美声を発揮。濃厚な感情表現と若さが弾けるような能動的な働きかけが、聴き手の心をアグレッシブに掴んだ。前半の「詩人の恋」でも輝かし声でとても能動的に訴えてきたが、シューマンでこの勢いだとちょっと引いてしまいそう… けれど、このアプローチは後半のイタリア系の歌では大いに本領を発揮し、会場を熱く盛り立てた。
~歌・恋・愛~ 北とぴあ国際音楽祭2012
北とぴあ・さくらホール
【曲目】
♪ ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ8番 ハ短調「悲愴」Op.13
♪ シューマン/歌曲集「詩人の恋」Op.68~第1~7曲、第12曲、終曲
♪ ベッリーニ/追憶
♪ チマーラ/郷愁
♪ タリアフェッリ&ヴァレンテ/情熱
♪ ドビュッシー/月の光
♪ ドビュッシー/「子供の領分」~グラドゥス・アド・パルナッスム博士/人形へのセレナード/ゴリウォーグのケークウォーク
♪ ドビュッシー/アラベスク第1番/第2番
♪ ドビュッシー/前奏曲集第1巻~アナカプリの丘
♪ ドビュッシー/喜びの島
【アンコール】
1.ナポリ民謡/オーソレミオ
2.プッチーニ/「トゥーランドット」~誰も寝てはならぬ
テノール歌手の中鉢聡さんをゲストに迎えて行われた仲道さんのリサイタルに娘と出かけた。先月聴いたベートーヴェン・プログラムが素晴らしかっただけに、期待は膨らんでいた。仲道さんと中鉢さんがマイクを持ち、コンサートのテーマについて、演奏曲目について、過去の2人の共演についてなど、いろいろ楽しいおしゃべりを交えながら進んだ。
会場の雰囲気が和やかになるのはいいのだが、演奏中に無神経な咳が多く、物が落ちる音やアメの包みを開ける音など、集中して聴いてなくて周りに迷惑な音を出す人が特に前半で多かった。そんな影響もあってか、或いは自分の気持ちが集中できないせいか、前半での仲道さんのピアノからはいつものテンションや親密度がなかなか伝わってこなかった。「悲愴ソナタ」ではバージョンの違いかと思うような箇所があったし、「詩人の恋」のピアノパートは、仲道さんならもっと胸キュンの「歌」を表現できるはず。
けれど、後半のドビュッシーでは本来の仲道さんのピアノが戻ってきた。特に「子供の領分」、「アナカプリの丘」、「喜びの島」が素晴らしかった。音の冴え、能動的な歌いかけや語りかけ、音楽の奥底から沸き上がってくるパッションや溢れる情感がリアルに伝わってきて、演奏の前に紹介してくれた曲の背景や描写の様子をありありと感じることができた。
焦点がしっかり定まり、彫塑的にくっきりとした印象を描いた「アナカプリの丘」を聴いて、ドビュッシーの前奏曲集を仲道さんのピアノでまとめて聴いてみたくなった。また、高い緊張感を持続させ、 輝かしい音色でどんどんと高揚してクライマックスへ突き進み炸裂する「喜びの島」が聴けて、前半でくすぶっていた満たされない気分が完全に消え、自分にとって、このコンサート全体がバラ色に染まった。この曲が一番の目当てと言っていた娘も大満足の様子。
ゲストの中鉢さんのテノールも、特に後半で艶と輝きのある美声を発揮。濃厚な感情表現と若さが弾けるような能動的な働きかけが、聴き手の心をアグレッシブに掴んだ。前半の「詩人の恋」でも輝かし声でとても能動的に訴えてきたが、シューマンでこの勢いだとちょっと引いてしまいそう… けれど、このアプローチは後半のイタリア系の歌では大いに本領を発揮し、会場を熱く盛り立てた。