6月21日(火)セバスティアン・ヴァイグレ指揮 読売日本交響楽団
~第618回定期演奏会~
サントリーホール
【曲目】
1.ルディ・シュテファン/管弦楽のための音楽
2.ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 WAB107(ノヴァーク版)

昨年の1月に初めて聴いたクリスチャン・ヴァイグレ指揮による読響の演奏会が素晴らしく、大きな期待を抱いて出かけた今夜の演奏会は、2度目に聴くヴァイグレ指揮読響。
「作風は後期ロマン派の延長に位置づけられる」というルディ・シュテファンの「管弦楽のための音楽」は、濃密で緻密なテクスチャーで書かれ、表現は大胆で雄弁。ルトスワフスキとか、それより古いシュトラウスの音楽を思わせる。ヴァイグレ/読響は、フレーズを有機的に連動させ、緻密でかつ熱っぽい演奏を繰り広げた。深刻な空気を漂わせる前半から開放へ向かう音楽だが、最後があまりにあっけらかんとありきたりな終止形で締められたのには興を削がれた。けれどこの演奏は後半のブルックナーへの期待を高めるものとなった。
そしてブルックナーの7番。ヴァイグレと読響は、きめ細かくデリケートな表現を丁寧に積み重ね、大きく深い呼吸で包み込み、深淵で広がりも感じさせる演奏を聴かせた。四肢に瑞々しい精力が行きわたり、しなやかに伸びやかに空へと向かうようなパワーに満ちている。ブルックナーのシンフォニーは音楽自体が壮大で、大地が息づくようなパワーを発するようにできているが、今夜の演奏にはそれらをうまく表現していたことに加えて、デリケートな優しさや暖か味も伝わってきた。その一方で、昨年のチャイコフスキーで体験したような野性的な熱さは感じなかったのだが、これがヴァイグレがブルックナーで目指したものなのかも知れない。
各楽章のあとで指揮者が静止しているしばらくの間、聴衆は固唾をのんで静まりかえり、全曲を閉じたあとに長い沈黙が続いたことも、演奏への共感を深めることとなった。その後は大喝采で、最後は一般参賀。ヴァイグレさん、コンマスとはグータッチじゃなくて握手してほしかった(握手したってうつりません)。
ホワイエに、この曲の第2楽章を「失われた多くの人達の命に捧げます」というヴァイグレと読響のメッセージボードが掲載されていたことを後から知った。ウクライナでの戦争の犠牲者と、読響の現役チェロ奏者で今月亡くなった松葉春樹氏への追悼の思いを込めて演奏するとのメッセージ。これを予め知っていたら、音楽がまた違って聴こえたかも知れない。コロナ禍のなか、大変な思いをして演奏会を再開し、多くの思い出深い演奏を聴かせてくださった松葉氏のご冥福をお祈りします。
セバスティアン・ヴァイグレ指揮 読売日本交響楽団2021.1.4 サントリーホール
鈴木優人指揮 読売日本交響楽団 2020.7.5 東京芸術劇場
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昨年の1月に初めて聴いたクリスチャン・ヴァイグレ指揮による読響の演奏会が素晴らしく、大きな期待を抱いて出かけた今夜の演奏会は、2度目に聴くヴァイグレ指揮読響。
「作風は後期ロマン派の延長に位置づけられる」というルディ・シュテファンの「管弦楽のための音楽」は、濃密で緻密なテクスチャーで書かれ、表現は大胆で雄弁。ルトスワフスキとか、それより古いシュトラウスの音楽を思わせる。ヴァイグレ/読響は、フレーズを有機的に連動させ、緻密でかつ熱っぽい演奏を繰り広げた。深刻な空気を漂わせる前半から開放へ向かう音楽だが、最後があまりにあっけらかんとありきたりな終止形で締められたのには興を削がれた。けれどこの演奏は後半のブルックナーへの期待を高めるものとなった。
そしてブルックナーの7番。ヴァイグレと読響は、きめ細かくデリケートな表現を丁寧に積み重ね、大きく深い呼吸で包み込み、深淵で広がりも感じさせる演奏を聴かせた。四肢に瑞々しい精力が行きわたり、しなやかに伸びやかに空へと向かうようなパワーに満ちている。ブルックナーのシンフォニーは音楽自体が壮大で、大地が息づくようなパワーを発するようにできているが、今夜の演奏にはそれらをうまく表現していたことに加えて、デリケートな優しさや暖か味も伝わってきた。その一方で、昨年のチャイコフスキーで体験したような野性的な熱さは感じなかったのだが、これがヴァイグレがブルックナーで目指したものなのかも知れない。
各楽章のあとで指揮者が静止しているしばらくの間、聴衆は固唾をのんで静まりかえり、全曲を閉じたあとに長い沈黙が続いたことも、演奏への共感を深めることとなった。その後は大喝采で、最後は一般参賀。ヴァイグレさん、コンマスとはグータッチじゃなくて握手してほしかった(握手したってうつりません)。
ホワイエに、この曲の第2楽章を「失われた多くの人達の命に捧げます」というヴァイグレと読響のメッセージボードが掲載されていたことを後から知った。ウクライナでの戦争の犠牲者と、読響の現役チェロ奏者で今月亡くなった松葉春樹氏への追悼の思いを込めて演奏するとのメッセージ。これを予め知っていたら、音楽がまた違って聴こえたかも知れない。コロナ禍のなか、大変な思いをして演奏会を再開し、多くの思い出深い演奏を聴かせてくださった松葉氏のご冥福をお祈りします。
セバスティアン・ヴァイグレ指揮 読売日本交響楽団2021.1.4 サントリーホール
鈴木優人指揮 読売日本交響楽団 2020.7.5 東京芸術劇場
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