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エマニュエル・パユ & アレッシオ・バックス

2023年10月07日 | pocknのコンサート感想録2023
9月28日(木)エマニュエル・パユ(Fl)/アレッシオ・バックス(Pf)
王子ホール

【曲目】
1.バクリ/フルート・ソナタ第3番 Op.156
2.フランク/パユ編/ソナタイ長調
3.C.シューマン/3つのロマンス Op.22
4.メンデルスゾーン/ソナタ ヘ長調(原曲:ヴァイオリン・ソナタMWV Q26)
【アンコール】
♪ バッハ/ソナタロ短調 BWV1030~第2楽章ラルゴ・エ・ドルチェ

パユのフルートを聴きに王子ホールへ。パユは僕が長年に渡って度々聴きに出かけるフルーティストだ。次元を超えた卓越した演奏能力の持ち主であるというだけでなく、常に新たなことにチャレンジして、サプライズを届けてくれるアーティストとして大きな期待もあるから。今夜のパユも変わらぬ見事なフルートで魅了した。

パユのフルートは、どこまで伸びて行くのかと思うほど音が良く伸び、大空に飛行機雲が描かれて行くように大きな弧をくっきりと描く。そこには繊細な表情から大胆な挑戦まで、音楽が求めるあらゆる表現が楽々と盛り込まれている。フルートがパユの身体と同化していると思ってしまうほど、楽器が身体にフィットして自然体で自由自在に操っている様子もいつもながら。

今夜のリサイタルでのパユがもたらした新たな発見は、演奏曲目の大半がヴァイオリン曲からのアレンジものを、最初からフルートのために書かれたかのように聴かせてくれたこと。パユ自身の編曲によるフランクのソナタは、ピアノパートも含めて聴き馴染んでいるヴァイオリン・ソナタと音の扱いに異なる部分があるように聴こえたところも新鮮で、とりわけ終楽章のダイナミックな表現に心惹かれた。

繊細で深い詩情を湛えたクララの小品集にうっとりした後は、はち切れんばかりの瑞々しいメンデルスゾーンに心が踊った。クララとメンデルスゾーンの曲はヴァイオリンの原曲を知らないこともあるのだが、ヴァイオリンで演奏するよりも演奏効果が高いのでは、と思ってしまうほどにフルートのための作品として仕立ててしまうのはパユの演奏あってこそだろうし、パユがこれらの作品に、フルートの曲としての潜在能力を見抜いたからでもあろう。

唯一、オリジナルのフルート作品として2022年に書かれたバクリのソナタは、今夜の演奏者であるパユとバックスに献呈されたという曲で、音楽としての斬新さやサプライズには乏しいものの、フルートとピアノが生き生きと語り合いながらシンプルな美しさを醸し出していた。作曲者のバクリが会場に姿を見せていたことからも、演奏者と自作曲へのバクリ氏の思い入れが窺えた。

エマニュエル・パユ SOLO Vol.3 2022.7.11 東京オペラシティ
エマニュエル・パユ&安楽真理子 2022.7.7 王子ホール
ニールセン:フルート協奏曲(F:パユ/P.ヤルヴィ指揮 N響)2019.9.26 サントリーホール
エマニュエル・パユ SOLO 2017.11.28 東京オペラシティ
パユ/ポーランド放送室内合奏団 2012.11.28 東京オペラシティ

ウィーン&ベルリン音楽の旅(2023)
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