11月2日(金)Pf:小菅優 / ハンスイェルク・シェレンベルガー指揮 カメラータ・ザルツブルク
~モーツァルト後期ピアノ協奏曲&交響曲全曲演奏会 第1回~
すみだトリフォニーホール
【曲目】
1.モーツァルト/歌劇「イドメネオ」序曲 K.366
2.モーツァルト/ピアノ協奏曲第21番ハ長調 K.467
3.モーツァルト/ピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488
4.モーツァルト/交響曲第41番ハ長調 K.551「ジュピター」
【アンコール】
モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
小菅優のモーツァルトの魅力は、N響との共演や、ベートーヴェンのソナタ連続演奏会でのアンコールで味わっている。シェレンベルガーと小菅優の共演は去年聴いたデュオがとてもよかったが、今回は指揮者としてのシェレンベルガーとの共演。4夜に渡ってモーツァルトのコンチェルトをやる魅力的なシリーズの初日を聴いた。
活きのいい「イドメネオ」序曲に続き小菅優が登場してコンチェルトの1曲目、21番が始まった。小気味よく躍動するオケの前奏に導かれてピアノが颯爽と入る。小菅の演奏には迷いがない。端々に自信がみなぎる瑞々しいピアノ。粒立ちの良さ、フレーズの伸びやかさ、心憎い歌い回しも好調。こんな演奏なら聴いていて気分も乗って心行くまで楽しめるはずなんだけど、ピアノの音が浮かび上がってこない。音がどうもデッドで、これは明らかにホールの場所のせい。1階のほぼど真ん中なら文句なしの席だと思って奮発して選んだのに・・・ 小編成のオケなのにスタインウェイのピアノが埋もれてしまうこともあり、結局、いつもは浮き立って聴こえてくる小菅のピアノの音がこれでは魅力半減。うーん、これはいかん。。
ということで、休憩時間に場所を移動させてもらった。座ったのは前の方が5席ほど空いていた2階右側のバルコニーの席。23番のコンチェルトの柔らかな弦の調べが始まり、 それを受け継ぐ木管の音が柔らかく立ち上ってきた。さっきよりずっと響きがいい。そしてピアノの音がオケから浮き上がるように薫り高く立ち上ってきた。1階で聴いたのと全然違う。やっぱりこの音じゃないとね!これで演奏に気持ちが入り込める。
小菅のモーツァルトはつくづく素晴らしい。どのフレーズでもピアノが微笑み、歌い、まさに今この瞬間音楽が生まれているようにオケと生き生きとやり取りしている。何という幸福感!短調の第2楽章では、小菅はオペラのアリアのようにたっぷりと情感を込めて歌う。その滑らかで深い表情の歌に、オケの団員も思わず聞きほれているよう。快活な第3楽章はさながら一面のお花畑の中で踊る妖精のよう。風に揺れる色とりどりの花々から芳香が立ちのぼり、妖精たちが楽しげに、軽やかに踊りまわる。小菅はノリノリで、まるで即興演奏でオケと対話しているよう。無駄な動きや音は一切なく、全てが息づいている。いつまでもこの情景に浸っていたかった。なんて素晴らしいモーツァルト。
欲を言えば、オケからもっと優美で艶やかな音が聴きたかった。このオケ、ノリや息遣いはとてもいいのだが、アンサンブルとしての響きの最後の磨き上げがちょっと足りない。それにしても、聴く場所でこれほど音が違い、そのために感銘度が全然違うということを身をもって体験した。
この演奏会のお目当ては小菅優。本当はコンチェルトをもう1曲聴きたかったところだが、締めは「ジュピター」。シェレンベルガーの指揮はN響を振ったときも好印象だったが、今夜も自然な音の運びや息遣いには好感を持った。ピリオド奏法的なタッチで溌剌とした高揚感もある。ティンパニとトランペットは古楽器が用いられていた。ただ、コンチェルトのときも感じたが、響きの磨き上げがもうひとつ、それに少々荒削りな印象を持った。これはオーケストラの精度の問題なのかも知れないが…
~モーツァルト後期ピアノ協奏曲&交響曲全曲演奏会 第1回~
すみだトリフォニーホール
【曲目】
1.モーツァルト/歌劇「イドメネオ」序曲 K.366
2.モーツァルト/ピアノ協奏曲第21番ハ長調 K.467
3.モーツァルト/ピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488
4.モーツァルト/交響曲第41番ハ長調 K.551「ジュピター」
【アンコール】
モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
小菅優のモーツァルトの魅力は、N響との共演や、ベートーヴェンのソナタ連続演奏会でのアンコールで味わっている。シェレンベルガーと小菅優の共演は去年聴いたデュオがとてもよかったが、今回は指揮者としてのシェレンベルガーとの共演。4夜に渡ってモーツァルトのコンチェルトをやる魅力的なシリーズの初日を聴いた。
活きのいい「イドメネオ」序曲に続き小菅優が登場してコンチェルトの1曲目、21番が始まった。小気味よく躍動するオケの前奏に導かれてピアノが颯爽と入る。小菅の演奏には迷いがない。端々に自信がみなぎる瑞々しいピアノ。粒立ちの良さ、フレーズの伸びやかさ、心憎い歌い回しも好調。こんな演奏なら聴いていて気分も乗って心行くまで楽しめるはずなんだけど、ピアノの音が浮かび上がってこない。音がどうもデッドで、これは明らかにホールの場所のせい。1階のほぼど真ん中なら文句なしの席だと思って奮発して選んだのに・・・ 小編成のオケなのにスタインウェイのピアノが埋もれてしまうこともあり、結局、いつもは浮き立って聴こえてくる小菅のピアノの音がこれでは魅力半減。うーん、これはいかん。。
ということで、休憩時間に場所を移動させてもらった。座ったのは前の方が5席ほど空いていた2階右側のバルコニーの席。23番のコンチェルトの柔らかな弦の調べが始まり、 それを受け継ぐ木管の音が柔らかく立ち上ってきた。さっきよりずっと響きがいい。そしてピアノの音がオケから浮き上がるように薫り高く立ち上ってきた。1階で聴いたのと全然違う。やっぱりこの音じゃないとね!これで演奏に気持ちが入り込める。
小菅のモーツァルトはつくづく素晴らしい。どのフレーズでもピアノが微笑み、歌い、まさに今この瞬間音楽が生まれているようにオケと生き生きとやり取りしている。何という幸福感!短調の第2楽章では、小菅はオペラのアリアのようにたっぷりと情感を込めて歌う。その滑らかで深い表情の歌に、オケの団員も思わず聞きほれているよう。快活な第3楽章はさながら一面のお花畑の中で踊る妖精のよう。風に揺れる色とりどりの花々から芳香が立ちのぼり、妖精たちが楽しげに、軽やかに踊りまわる。小菅はノリノリで、まるで即興演奏でオケと対話しているよう。無駄な動きや音は一切なく、全てが息づいている。いつまでもこの情景に浸っていたかった。なんて素晴らしいモーツァルト。
欲を言えば、オケからもっと優美で艶やかな音が聴きたかった。このオケ、ノリや息遣いはとてもいいのだが、アンサンブルとしての響きの最後の磨き上げがちょっと足りない。それにしても、聴く場所でこれほど音が違い、そのために感銘度が全然違うということを身をもって体験した。
この演奏会のお目当ては小菅優。本当はコンチェルトをもう1曲聴きたかったところだが、締めは「ジュピター」。シェレンベルガーの指揮はN響を振ったときも好印象だったが、今夜も自然な音の運びや息遣いには好感を持った。ピリオド奏法的なタッチで溌剌とした高揚感もある。ティンパニとトランペットは古楽器が用いられていた。ただ、コンチェルトのときも感じたが、響きの磨き上げがもうひとつ、それに少々荒削りな印象を持った。これはオーケストラの精度の問題なのかも知れないが…
pocknさんがお聴きになっていらした第一夜、私も1階最後列あたりで聴いておりました。なんとなく聴くのに疲れるオーケストラだなあと思いました。