3月1日(木)オリジアス弦楽四重奏団 
川口リリア音楽ホール
【曲目】
1.ブラームス/ピアノ四重奏曲第1番ト短調Op.25
2.ヒンデミット/弦楽四重奏曲 ミニ・マックス ~軍楽隊のためのレパートリー~
3.ブラームス/クラリネット五重奏曲ロ短調Op.115
【演奏】
Pf:花野幸子(1)/Cl:佐藤健(3)
オリジアス弦楽四重奏団 Vn:津留崎護、今村恭子/Vla:田淵良子/Vc:末永直
ハセジュンさんにお誘い頂いて出掛けたコンサート。演奏を聴いて、このカルテットは日本で活動しているアマチュアカルテットのなかでも間違いなくトップクラスに入ると確信した。3つの演奏曲目のうちの前後には、どちらも演奏会のメインを飾れる大曲を置き、真ん中にヒンデミットのジョークミュージックを持ってくるプログラミングからして大胆不敵で、彼らの自信のほどが窺える。
冒頭を飾ったブラームスのピアノカルテットは、振幅の大きな思い切りのいい演奏で、熱気がビンビンと伝わってきた。アンサンブルはガシッと噛み合い、テンポの速い第2楽章や終楽章でも全く物怖じせず、4人は果敢に音楽に突っ込んできてテンションを上げてくる。初っ端からエネルギー全開の快演。
これを聴いた後だったので、次のヒンデミットで聴こえてくる「変な音」や「変なリズム」が、譜面にわざと書かれたものだということが明快に伝わる。被りものを着けて登場した4人は、姿格好だけでなく、演奏という行為においても抜群のパフォーマンスを発揮した。こういう音楽は、遠慮があったり物怖じしていては面白くないが、彼らはそれぞれに与えられた役になりきって、心行くまで自分達の演奏を楽しんでいるのが伝わってきた。そこには心の底から歌い上げる歌や、チャーミングな音の仕草も散りばめられ、とにかく上手い!プレイヤー達の抜群の腕前と心意気のおかげで、聴き手もこの楽しい音楽に心から興じることができた。
最後のブラームスのクインテットは「いぶし銀」と形容されることの多いブラームス最晩年の渋い作品。演奏者のなかにも「いぶし銀」の魅力を出せる年代と思しき方もいらしたが、彼らの演奏はそうした枯山水的な年寄り臭さとは無縁の、活き活きした空気を運んできた。出だしから気合い十分で、センチメンタリズムやノスタルジックな後ろ向きな気分とは反対の、前へ進んで行く演奏。表現も極めて濃厚でアクティヴ。テンポ感も自由、間合いの取り方も大胆で、ダイナミックに演奏を進めて行った。このアンサンブルの持ち味の思い切りの良さがここでも十分に発揮されていていたが、ただ元気がいいだけでなく、一歩間違えば空中分解を起こすようなところで微妙にバランスを保って、刹那的な臨場感を引き立てていた。
欲を言えば、5人が同じひとつの空気を感じ取り、それを深化させ、醸成していければ、演奏に更に奥ゆかしさが出る余地はあるかも知れない。メンバーのなかで、各楽章の最後の音が消えた後も、その音の行方をじっと見つめている人がいる一方で、さっさと次の譜面をめくる人がいるのは気になってしまった。こうした目に見えるところで心を合わせることが、演奏により深みが加わるきっかけになるかも。
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川口リリア音楽ホール
【曲目】
1.ブラームス/ピアノ四重奏曲第1番ト短調Op.25
2.ヒンデミット/弦楽四重奏曲 ミニ・マックス ~軍楽隊のためのレパートリー~
3.ブラームス/クラリネット五重奏曲ロ短調Op.115
【演奏】
Pf:花野幸子(1)/Cl:佐藤健(3)
オリジアス弦楽四重奏団 Vn:津留崎護、今村恭子/Vla:田淵良子/Vc:末永直
ハセジュンさんにお誘い頂いて出掛けたコンサート。演奏を聴いて、このカルテットは日本で活動しているアマチュアカルテットのなかでも間違いなくトップクラスに入ると確信した。3つの演奏曲目のうちの前後には、どちらも演奏会のメインを飾れる大曲を置き、真ん中にヒンデミットのジョークミュージックを持ってくるプログラミングからして大胆不敵で、彼らの自信のほどが窺える。
冒頭を飾ったブラームスのピアノカルテットは、振幅の大きな思い切りのいい演奏で、熱気がビンビンと伝わってきた。アンサンブルはガシッと噛み合い、テンポの速い第2楽章や終楽章でも全く物怖じせず、4人は果敢に音楽に突っ込んできてテンションを上げてくる。初っ端からエネルギー全開の快演。
これを聴いた後だったので、次のヒンデミットで聴こえてくる「変な音」や「変なリズム」が、譜面にわざと書かれたものだということが明快に伝わる。被りものを着けて登場した4人は、姿格好だけでなく、演奏という行為においても抜群のパフォーマンスを発揮した。こういう音楽は、遠慮があったり物怖じしていては面白くないが、彼らはそれぞれに与えられた役になりきって、心行くまで自分達の演奏を楽しんでいるのが伝わってきた。そこには心の底から歌い上げる歌や、チャーミングな音の仕草も散りばめられ、とにかく上手い!プレイヤー達の抜群の腕前と心意気のおかげで、聴き手もこの楽しい音楽に心から興じることができた。
最後のブラームスのクインテットは「いぶし銀」と形容されることの多いブラームス最晩年の渋い作品。演奏者のなかにも「いぶし銀」の魅力を出せる年代と思しき方もいらしたが、彼らの演奏はそうした枯山水的な年寄り臭さとは無縁の、活き活きした空気を運んできた。出だしから気合い十分で、センチメンタリズムやノスタルジックな後ろ向きな気分とは反対の、前へ進んで行く演奏。表現も極めて濃厚でアクティヴ。テンポ感も自由、間合いの取り方も大胆で、ダイナミックに演奏を進めて行った。このアンサンブルの持ち味の思い切りの良さがここでも十分に発揮されていていたが、ただ元気がいいだけでなく、一歩間違えば空中分解を起こすようなところで微妙にバランスを保って、刹那的な臨場感を引き立てていた。
欲を言えば、5人が同じひとつの空気を感じ取り、それを深化させ、醸成していければ、演奏に更に奥ゆかしさが出る余地はあるかも知れない。メンバーのなかで、各楽章の最後の音が消えた後も、その音の行方をじっと見つめている人がいる一方で、さっさと次の譜面をめくる人がいるのは気になってしまった。こうした目に見えるところで心を合わせることが、演奏により深みが加わるきっかけになるかも。
アマチュアとはいえ、あれだけの演奏ができるのは素晴らしいですよね。
私も人に何かを届けられるような演奏ができるようになりたいものです。
もっともっとたくさんの人に聴いてもらいたいと思いました。
素敵な音楽仲間をたくさんお持ちですね。
ハセジュンさん出演の演奏もまた楽しみにしています。