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4月C定期(メルクル指揮のトゥランガリラ)

2008年04月12日 | N響公演の感想(~2016)
4月12日(土)準・メルクル指揮 NHK交響楽団
《4月Cプロ》 NHKホール

【曲目】
◎ メシアン/トゥランガリラ交響曲
Pf:ピエール・ロラン・エマール/オンド・マルトノ:原田節

N響の定期でメシアンの大曲「トゥランガリラ」をやるとなるとやはりNHKホールか… でも大好きなメルクルの指揮だし聴き逃せない。大きなホールがほぼ満席になった。

メシアンのオーケストラ曲というのは、気合いだけではどうしようもない難しさがあると思うが、メルクル/N響の演奏は見事だった。研ぎ澄まされた瑞々しい切れ味、しなやかな身のこなし、そしてメシアンの多くの非和声音を含む多彩なハーモニーが清澄なほどの透明感で艶やかに鳴り響く。どんな大音量の部分でも無理なく朗らかに音が広がって行く。光をたくさん浴びて高らかな賛歌を歌い上げているようだ。

この曲は解説によれば「想像を絶した苦しみの彼方にある陶酔、あるいは喜びの底に潜む絶望が、極彩色で赤裸々に描かれる…」とあるが、そうした底に潜む暗いものにも明るい強烈な光りが当たり、全てを喜びに変えてしまうようなエネルギーに満ちていた。

メルクルは瑞々しい感性と隙のない緻密な構成力でこの壮大な音の絵巻を描いていった。メルクルがこの音楽に求めるサウンド、柔軟な音のつながりや粘りというものをN響は最大限に発揮していたと思う。さすがだ。

全曲を通して常に活躍するピアノパートを担当したロラン・エマールが果たした役目も大きい。華やかで鮮やかな腕前はもちろんだが、ゆっくりした楽章でのたった1つの音から聞こえてくる深遠で温かな響きがこの演奏に深みを与えた。

もう一人のソリスト、オンド・マルトノを演奏した原田節、もしかするとこの人以外のオンド・マルトノって聴いたことないかも知れないが、この楽器が曲にほどこす妖艶な響きというのは、原田の感性と繊細なコントロールによるものなのか、実はよくわからないが、これだけ引っ張りダコなんだからやっぱり他の人がやったらこういう感覚は味わえないのかも知れない。

【開演前の室内楽】
1. グラズノフ/スペインのセレナーデ
2.ファリャ/バレエ音楽「恋は魔術師」~「火祭りの踊り」
3.カタロニア民謡/カザルス編曲/鳥の歌
4.ファリャ/歌劇「はかない人生」~スペイン舞曲第1番

Vc:胴銀久弥/Hp:早川りさ子/マリンバ:竹島悟史
チェロ、ハープ、マリンバという変わった組み合わせのアンサンブルによる開演前の室内楽だが、このグループはにわか作りではなくソプラノの佐竹直美さんもまじえて普段から活動しているアンサンブルとのこと。既製の曲を竹島さんを中心にアレンジしているということだが、このアレンジによる響きのバランスやセンスがとてもよく、とても素敵な響きを奏でる。

胴銀さんの温かみのある骨太のチェロ、早川さんの繊細なハープ、竹島さんの雄弁で感性豊かなマリンバが活き活きと楽しそうにやり取りして、スペインの名曲を楽しく聴かせてくれた。このアンサンブル、CD出したら売れるかも!

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