2月15日(水)ヤクブ・フルシャ 指揮 NHK交響楽団
《2023年2月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1.ドヴォルザーク/序曲「フス教徒」Op.67
2.シマノフスキ/交響曲 第4番 Op.60「協奏交響曲」
【アンコール】
♪ シマノフスキ/20のマズルカOp.50~第3曲プレリュードとカノン
Pf:ピョートル・アンデルシェフスキ
3.ブラームス/交響曲 第4番 ホ短調 Op.98
チェコ出身のヤクブ・フルシャを指揮者に迎えたN響B定期。民族色の濃い曲が並んだ前半が今夜の聴きものだった。ドヴォルザークの「フス教徒」序曲は、多分初めて聴く作品。コラール風の厳かな旋律と響きで始まった序曲は、やがて劇的に盛り上がって行く。フルシャはダイナミックな指揮姿でN響からパワフルで熱い音楽を引き出していった。骨太で濃密、何かに取りつかれたような緊迫感に支配され、聴き手を「民族の不羈独立(プログラムノートより)」の熱い血の渦中に引き込んでいった。N響の響き全体が熱を帯び、本気で訴えかけてくるのが感じられた。
続くシマノフスキの交響曲では中央に据えられたピアノがオケの1パート的な役割を持ちながらも主導権を握ってガンガン鳴らす場面も多く、ピアノ協奏曲と呼んでいい作品。ここでもフルシャ/N響は、ソロのアンデルシェフスキと共に、濃厚でフツフツと情念が渦巻くような熱くて濃厚な演奏で圧倒した。アンデルシェフスキのピアノは骨太で強靭。大上段から攻めかかるような凄みには、抑え込んだ熱い感情をグワッと噴出するようなパッションがある。オケもこのパッションに真正面から対峙、分厚く濃厚な響きは切迫感も孕んで熱せられ、瞬発力のあるテンションを作り上げていた。
押せ押せの場面の一方で、第2楽章ではミステリアスな美しさを湛えた表現も心を捉えた。全曲を通してメラメラと燃える民族の血のたぎりが伝わる作品そのものにも惹きつけられた。アンデルシェフスキがアンコールで弾いたマズルカでも、このピアニストの心に秘めたパッションが伝わってきた。
後半はブラームスの4番。前半で聴かせたような情感をたっぷりこめた濃厚でドラマチックな演奏を期待していたのだが、どちらかというと機能的な演奏だった。出だしのため息のモチーフも意外とあっさりしていたし、テンポやリズムをしっかり保ってキッチリと進んで行った。足取りは力強くて実直、オケの気合いも十分、インパクトのある響きを鳴らしていたが、前半の演奏から期待していたドロドロとしたものがなく、また、ハッとする瞬間やほれぼれする歌などの感動の一期一会が乏しい。設計図に従って整然と、お膳立て通りに進んで行き、それなりに盛り上がったクライマックスでも、耳は引かれても心までは引かれないまま終演を迎えた。
N響公演の感想タイトルリスト(2017~)
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続くシマノフスキの交響曲では中央に据えられたピアノがオケの1パート的な役割を持ちながらも主導権を握ってガンガン鳴らす場面も多く、ピアノ協奏曲と呼んでいい作品。ここでもフルシャ/N響は、ソロのアンデルシェフスキと共に、濃厚でフツフツと情念が渦巻くような熱くて濃厚な演奏で圧倒した。アンデルシェフスキのピアノは骨太で強靭。大上段から攻めかかるような凄みには、抑え込んだ熱い感情をグワッと噴出するようなパッションがある。オケもこのパッションに真正面から対峙、分厚く濃厚な響きは切迫感も孕んで熱せられ、瞬発力のあるテンションを作り上げていた。
押せ押せの場面の一方で、第2楽章ではミステリアスな美しさを湛えた表現も心を捉えた。全曲を通してメラメラと燃える民族の血のたぎりが伝わる作品そのものにも惹きつけられた。アンデルシェフスキがアンコールで弾いたマズルカでも、このピアニストの心に秘めたパッションが伝わってきた。
後半はブラームスの4番。前半で聴かせたような情感をたっぷりこめた濃厚でドラマチックな演奏を期待していたのだが、どちらかというと機能的な演奏だった。出だしのため息のモチーフも意外とあっさりしていたし、テンポやリズムをしっかり保ってキッチリと進んで行った。足取りは力強くて実直、オケの気合いも十分、インパクトのある響きを鳴らしていたが、前半の演奏から期待していたドロドロとしたものがなく、また、ハッとする瞬間やほれぼれする歌などの感動の一期一会が乏しい。設計図に従って整然と、お膳立て通りに進んで行き、それなりに盛り上がったクライマックスでも、耳は引かれても心までは引かれないまま終演を迎えた。
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