7月16日(木)ベルリン・フィル首席クラリネット奏者 ヴェンツェル・フックスを迎えて
~ハルモニームジークの愉しみ~
文部科学省国立大学機能強化事業「 国際共同プロジェクト」
東京芸術大学奏楽堂
【曲目】
1.モーツァルト/セレナード第12番 ハ短調 K.388(384a)「ナハトムジーク」
2.モーツァルト/セレナード第10番 変ロ長調 K.361(370a)「グラン・パルティータ」
【アンコール】
モーツァルト/「グラン・パルティータ」~第7楽章終盤
Cl:ヴェンツェル・フックス、山本 正治/Ob:小畑善昭、浅原由香/バセットHrn:福島広之、西澤いずみ/Hrn:日髙 剛、田中みどり、岡田彩愛、萩野谷美咲/Fg:岡本正之、古谷拳一/コントラFg:石井野乃香
毎年7月に、クラリネットの名手フックスを迎えて藝大で行われるおなじみのコンサート、今回は「ハルモニームジークの愉しみ」と題して、モーツァルトの有名な管楽アンサンブル作品が2つ演奏された。
前半の「ナハトムジーク」、冒頭のトゥッティの厚みのある充実した響きがいきなり耳を引いた。存在感のある低音をベースに、内声の豊かな響きが全体に潤いをもたらす。小畑さんの雄弁で安定したオーボエがアンサンブルをリードして、8人のプレイヤーが躍動感を持ってリズムを刻み、表情豊かにメロディーを歌い継いで行く。第2楽章の柔らかく内面へ入り込む詩情豊かな表現などにも聴きほれた。モーツァルトの奥深さ、歌心が醸し出される演奏だった。
「ナハトムジーク」の主導権はオーボエで、お目当てのフックスはクラリネットの2番だったため、フックスのクラリネットは目立たなかったが、後半の「グラン・パルティータ」では、オーボエとクラリネットがそれぞれ主導する2つのアンサンブルのやり取りで、フックスはクラリネットグループを主導して存在感を発揮した。
この日行われたプレトークでフックスは、自由に演奏することの大切さを語っていたが、アンサンブルの中でのフックスのクラリネットは、スタンドプレー的な目立ち方はしないが、自然な物腰と歌い回しに「遊び」の要素も交え、控え目ながら身体全体で音楽を伝えて、聴き手の耳と目を引きつけた。フックスのこのパフォーマンスによって、アンサンブルにより和やかな空気が吹き込まれ、膨らみと香りが加わった。
アンサンブルのメンバーは藝大の講師陣に、学部と大学院の学生が8名も加わった構成だったが、安定感もあるし、能動的な息遣いも感じられ、見事な演奏を繰り広げた。これはフックスの働きかけも功を奏しているのだろう。
更に彼らに望みたいのは、フックスの働きかけを受け止めて、自らの演奏に反映させることに留まらず、更に能動的に他のメンバーに語りかけ、演奏する楽しい気分を高め、一丸となって聴き手にぶつかってくる一層のアクティブな姿勢。生真面目さや節度にもう少し風穴を空けたほうが、聴き手の心をよりストレートに動かすことができるのでは。
その意味で、リラックスムードで演奏したアンコールは、少々乱れがあったとしても、演奏としてはずっと面白かった。全員が黒の衣装で統一していたが、もっとカラフルなコスチュームを身に着けるだけでも、気持ちが変わり、演奏にも派手さが出るかも知れない。
ヴェンツェル・フックスを迎えて ~室内楽とクラリネットアンサンブル~ 2015.7.9 藝大奏楽堂
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~ハルモニームジークの愉しみ~
文部科学省国立大学機能強化事業「 国際共同プロジェクト」
東京芸術大学奏楽堂
【曲目】
1.モーツァルト/セレナード第12番 ハ短調 K.388(384a)「ナハトムジーク」
2.モーツァルト/セレナード第10番 変ロ長調 K.361(370a)「グラン・パルティータ」
【アンコール】
モーツァルト/「グラン・パルティータ」~第7楽章終盤
Cl:ヴェンツェル・フックス、山本 正治/Ob:小畑善昭、浅原由香/バセットHrn:福島広之、西澤いずみ/Hrn:日髙 剛、田中みどり、岡田彩愛、萩野谷美咲/Fg:岡本正之、古谷拳一/コントラFg:石井野乃香
毎年7月に、クラリネットの名手フックスを迎えて藝大で行われるおなじみのコンサート、今回は「ハルモニームジークの愉しみ」と題して、モーツァルトの有名な管楽アンサンブル作品が2つ演奏された。
前半の「ナハトムジーク」、冒頭のトゥッティの厚みのある充実した響きがいきなり耳を引いた。存在感のある低音をベースに、内声の豊かな響きが全体に潤いをもたらす。小畑さんの雄弁で安定したオーボエがアンサンブルをリードして、8人のプレイヤーが躍動感を持ってリズムを刻み、表情豊かにメロディーを歌い継いで行く。第2楽章の柔らかく内面へ入り込む詩情豊かな表現などにも聴きほれた。モーツァルトの奥深さ、歌心が醸し出される演奏だった。
「ナハトムジーク」の主導権はオーボエで、お目当てのフックスはクラリネットの2番だったため、フックスのクラリネットは目立たなかったが、後半の「グラン・パルティータ」では、オーボエとクラリネットがそれぞれ主導する2つのアンサンブルのやり取りで、フックスはクラリネットグループを主導して存在感を発揮した。
この日行われたプレトークでフックスは、自由に演奏することの大切さを語っていたが、アンサンブルの中でのフックスのクラリネットは、スタンドプレー的な目立ち方はしないが、自然な物腰と歌い回しに「遊び」の要素も交え、控え目ながら身体全体で音楽を伝えて、聴き手の耳と目を引きつけた。フックスのこのパフォーマンスによって、アンサンブルにより和やかな空気が吹き込まれ、膨らみと香りが加わった。
アンサンブルのメンバーは藝大の講師陣に、学部と大学院の学生が8名も加わった構成だったが、安定感もあるし、能動的な息遣いも感じられ、見事な演奏を繰り広げた。これはフックスの働きかけも功を奏しているのだろう。
更に彼らに望みたいのは、フックスの働きかけを受け止めて、自らの演奏に反映させることに留まらず、更に能動的に他のメンバーに語りかけ、演奏する楽しい気分を高め、一丸となって聴き手にぶつかってくる一層のアクティブな姿勢。生真面目さや節度にもう少し風穴を空けたほうが、聴き手の心をよりストレートに動かすことができるのでは。
その意味で、リラックスムードで演奏したアンコールは、少々乱れがあったとしても、演奏としてはずっと面白かった。全員が黒の衣装で統一していたが、もっとカラフルなコスチュームを身に着けるだけでも、気持ちが変わり、演奏にも派手さが出るかも知れない。
ヴェンツェル・フックスを迎えて ~室内楽とクラリネットアンサンブル~ 2015.7.9 藝大奏楽堂
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