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出願資格を満たす

2022年05月16日 | ドイツ留学相談室

出願資格を満たす

ドイツの大学が定める出願資格




ドイツの大学が日本からの留学生の出願を受け入れる条件は、
① ドイツで通用する大学入学資格を持っていること
② ドイツ語能力を証明できること


という2つの大前提がある。①を持っていないと、その資格を得るためにStudienkollegという特別の補習学校に通い、Feststellungsprüfungという試験に合格しなければならない。
②を証明できない場合はまずはとにかくドイツ語を勉強してドイツ語能力証明を獲得するしかない。

① 大学入学資格とは
ドイツの大学に入るための大学入学資格とは、ドイツ人にとっての大学入学資格であるAbiturを持っているか、それと同等の資格ということになる。Abiturを取るにはドイツのGymnasiumや他の国のドイツ人学校等を卒業しなければならないので現実的ではない。Abiturと同等の資格ということで、ドイツの大学は世界各国のそれぞれの国の教育制度に合わせて条件を提示している。日本から留学する場合の日本人、或いは日本の教育制度で学んだ外国人に提示している最低条件は、


1) 9年間の義務教育、および3年間の高校での教育、併せて12年間の学校教育を修了していること。
2)大学入学共通テスト(旧 大学入試センター試験)を受けて、受験科目の全てにおいて62%以上の得点を得ており、且つ、上記の12年間に、国語、外国語、数学、理科を一貫して履修し、合格していること。

または

日本の大学で1年間の学業を修めていること※1


の2つ。従って現在日本の大学(4年制)で1年以上学んでいるならば、誰でも※2ドイツの大学が定める大学入学資格を保有していることになる。
なお、出願できる学部・学科は、日本でのそれまでの学業内容に即した分野か、これに類する分野の学部・学科に限定される。
4年制大学ではなく、短期大学や高専(高等専門学校)の場合は、それらの学校を卒業していることが条件となる。
ドイツの大学への入学資格の条件を調べるための便利なサイトがDAADに設けられている⇒Zulassungsdatenbank。条件を満たしているか、或いは、何が足りないかを自分でも確かめてみよう。
※1ここで言う「大学」の条件としては、ZAB(国外教育事情認定センター:ドイツ留学辞典参照)という機関が認定した大学であることが求められることが多い。ZABの出す基準に絶対的な拘束力はないが、ドイツの大学においてこの基準は、外国からの出願書類を審査するうえで重要な拠りどころとなっいる。また、外国からの出願書類の審査を代行しているuni-assistでもこれを元に審査を行っている。ZABが認定した大学一覧はanabinのサイトで確認できる。ドイツの大学への入学資格については、DAADの「ドイツ留学FAQ」のページでも参照できる。

※2「高卒」の代わりに「高卒認定(旧大検)」の資格でドイツ留学するには・・・


大学入試センター試験の証明書について




2003年6月にZAB(上述)が、「日本からの志願者はセンター試験の成績証明が必要という認定基準を発表し、NRW州の大学を始め、多くのドイツの大学がこの基準に基づいて日本からの志願者にセンター試験の証明書を求めてくる時期があった。
しかしながら、私立大学の学生はセンター試験を受験していないケースも多いため、「ドイツ留学相談室」管理人より2005年1月にZABに対し、センター試験についての事情説明を行い、基準の見直しを求めたところ、以下の回答を得ることができた。

2003年6月に出した基準に変更はありませんが、そのような日本での状況を考慮して「センター試験を受けていなくても、日本からの志願者は、日本の大学で1年間の学業証明があれば、ドイツの大学への全ての学科への出願は可能である」という注釈を加えます。この点については2005年2月に行われるZABによるドイツの全大学対象の会議でも特に説明を行います。(会議でこれについての告知がなされたことは確認済み)


この回答に基づき、anabin(上述)で案内する日本からドイツの大学への入学条件として、センター試験で62%以上の得点を取得することと並び、「日本の大学での1年間の学業証明」が加えられた。ただし、当初の告知では「ドイツの大学の全ての学科について出願が可能」となっていたものが一歩後退して、2012年3月現在では「これまでの学業内容に即した分野か、これに類する分野の学科への入学資格」となっている。

uni-assistに書類の審査代行を委託していない大学のなかには、上記の「センター試験必須」という旧来の条件が残っているところもないとはいえない。もしも志望先大学からセンター試験の証明書がないことで許可が得られない場合は、anabinの記載内容を示して、再度志望先大学へ理解を求めることをお勧めする。

注意:上記の説明は、2020年度まで実施されていた「大学入試センター試験(University Entrance Examination Center Test)」についての事例であり、2021年からセンター試験に代わって実施されている大学入学共通テストがセンター試験と同等に扱われる旨の説明は、DAADのサイトにも見当たらない(2021.8現在)。このため、「センター試験を受けた証明が必要」と云われる可能性も想定される。この際は、日本の大学の入試制度が変更になったことを丁寧に説明して、理解を得る努力が必要になる。


② ドイツ語能力証明とは

ドイツの大学へ留学すれば、当然のことながらそこでの授業は原則としてすべてドイツ語で行われる。高等教育機関である大学の授業には、専門性の高いドイツ語ができないと参加することは出来ない。このため、ドイツの大学に留学するには事前にそれに見合うドイツ語能力を証明しなければならない。

ドイツ語能力のレベル
ドイツの大学でいきなり学科の専門科目を履修したい場合は、学期の始まる前にまずDSHという外国人のためのドイツ語試験に合格しなければならない。DSH受験資格として上級レベルのC1を求めている大学が多く、試験の難易度はかなり高い。
ドイツの多くの大学は、いきなり学科の専門科目を始めるのはまだきつい留学生のために、DSH受験のための特別なドイツ語コースを1学期単位で行っている。このドイツ語コースに入るにも試験があるが、この場合は中級のドイツ語能力が必要。こうしたドイツ語コースには殆どの場合初級用のコースはないので、初級を終えていることが出願の条件となることが多い。

中級のレベルに達していれば、ドイツ語能力の出願条件はクリアできる。中級レベルとは、ドイツでは最低600時間のドイツ語学習者が達するレベル(流暢に話ができ、幅広くかなり難しい専門的な文章の読み書きができる)。これに及ばないようなら留学の計画はもう1年延長することを考えよう。

ドイツの大学で通用するドイツ語証明書




ドイツ語能力を証明するためにはどのような証明が有効かを下記の表で説明する。ただし、下記の全ての証明書がすべての大学で有効というわけではないので、個別には直接志願先の大学に問い合わせるか、複数の種類の証明書を提出するようにしよう。

大学の成績証明書大学生ならいちばん簡単に取得できる語学証明が、自分の大学の成績証明書。ドイツ語やドイツ語関連科目で600時間程度の履修を終えており、成績もほどほど("very good"や"good"が過半数を占める程度)ならば、これでB1レベルと認めてくれる大学が多い。
語学学校の修了証明書ドイツ語学校に通って、そこで正式な修了証明書をもらえば、能力証明書として認められる。夏休みにドイツの大学で行われているドイツ語コースの証明書も認めてくれる大学は多い。グレードと学習時間が明記されていることがポイント。
ゲーテ・ドイツ語検定試験Goethe-Institutの検定試験合格証は全世界で有効で、もちろんドイツの全ての大学で有効である。ただし、B1レベルやそれ以下の合格証は留学レベルとして認めていない大学が多い。
大学の先生によるドイツ語能力証明Germanistikを専門とする大学教授に、グレードと学習時間数を証明する書面をサイン入りで作成してもらえば、想像以上にドイツ語能力証明として通用することが多い。但し、これは留学先でGermanisitikを専攻する場合のみ、といったように条件が限られる場合もある。
TestDaFTestDaFは世界で実施されているドイツ語統一試験で、TOEFLのドイツ語版とも云える。ドイツの全ての大学で有効なドイツ語証明となる。読解、作文、聴解、口述の4項目でTDN5~TDN3の3段階評価が与えられ、このレベルに達しないと全て「TDN3以下」と判定される。試験結果によってはDSHが免除となる。TestDaFについてはTestDaFのサイトよりを参照のこと。
※TestDaFは中級者以上を対象にした試験なので、評価で一番下のTDN3でもB2レベルは求められる。初級レベルで受けても一律「TDN3以下で判定不能」という評価しかもらえず、ドイツ語能力証明にはならない。
大学の卒業証明書日本の大学のドイツ語学科や独文科など、Germanistik系の学科を卒業すれば、そのままDSH免除で入学許可が下りる場合が多い。「留学は日本の大学を卒業して」というゆったり派は一番楽にドイツに留学することができる。
ただ、ドイツ語学科等を卒業してもDSHを課す大学は少なくない。また、卒業後にドイツの大学のDSHコースに通ったりすると、DSH免除の資格は失われてしまうことがあるので注意しよう。
独検 ドイツ語試験で恐らく日本人が一番多く受けているのは「独検(ドイツ語能力検定試験)」だろう。これは「日本国内のみ有効のドイツ語試験」と始めからあきらめるのは早い。独検の各級のドイツ語の説明書きを添付して証明書を送れば、立派に語学証明として認めてくれる大学も少なくない。但し、認められるのは2級からというのが殆どなので、最低2級は取っておこう。
※独検の証明書をただ送るだけでは不十分。独検はドイツでは殆ど知られていないので、独検についての詳しい資料等を添付して、語学証明として認めさせる努力が必要。


出願先大学を決める


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