9月14日(火)上村文乃(Vc)、村井智(Vc/賛助出演)、安宅薫(Pf)
<プラチナ・コンサート・シリーズ Vol.8>
Hakuju Hall/ハクジュホール
【曲目】
1.シュニトケ/ヴァイオリンとピアノのための古い様式による組曲(チェロ版)&スカルラッティ/上村⽂乃編/チェロ・ソナタ第2番ハ短調
2.ベリオ/セクエンツァ XIV
3.武満徹/オリオン(チェロとピアノのための)
4.ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ⻑調「春」(チェロ版)
【アンコール】
♪ ショスタコーヴィチ/2台のヴァイオリンのための5つの小品~「プレリュード」&「ポルカ」
10年来注目しているチェリスト、上村文乃さんのリサイタルを、響きのいいHakuju Hallで聴いた。最初に、リサイタルのコンセプトについて上村さんのお話。テーマはイミタツィオン。ここでは音楽としての「模倣」という意味。何百年という音楽史のなかで繰り返され、受け継がれ、育まれ、素晴らしい音楽がたくさん生まれたこの「技」を今夜のリサイタルの核に据え、その意義を伝えるという壮大な試み。
上村さんが演奏するときの顔の表情や体の動きからは明確なメッセージが無駄なく自然に視覚からも伝わり、それが実際の音として体現される。身体で表現するものと、音となって表現されるものが見事に合致した演奏は、どの作品でも揺るぎない自信に溢れ、透徹として、研ぎ澄まされた美しさがある。それに加えて、熱い血が通い、ダイナミズムを伴って作品の真髄を伝えてくる。このリサイタルでは一貫して、磨かれた音たちが宇宙に浮かぶ星のように輝き、それぞれの作曲家の「世界」を伝えていた。
シュニトケとスカルラッティの作品を交互に演奏した最初のステージでは、ゲスト出演の️村井さんのチェロも加わり、アンサンブルでのイミタツィオンや、ソロのなかで行われるイミタツィオン、更には様式の模倣など、様々なイミタツィオンが散りばめられ、時代も場所も全く異なる2人の作曲家の作品が一体となった。そのせいか、どちらの曲をやっているのかわからなくなってしまったのは、それほど両者が寄り添いながらひとつの世界を作り上げた証拠・・・?
後半、上村さんと安宅さんは鮮やかな赤と黒の名コーディネートで決めて登場。ベリオの名高い「セクエンツァ」では万物を凝縮したような孤高の世界を提示した。様々な奏法を駆使して発せられる全ての音が「必然」として響き、そこに生まれる緊迫感は圧巻だった。
武満の「オリオン」からはファンタジーと強い想念が伝わり、武満が求める魂が伝わってきた。安宅さんの繊細で澄んだタッチのピアノとの静謐な心の交感が、結晶となって空間を浮遊しているようだった。
スプリングソナタは穏やかで深く包容力のある演奏。チェロはピアノを包み込み、底辺を支える。アグレッシブな演奏を予想していたが、おおらかなオーラが放たれた演奏だった。爽やかな春の風と香りというより、土の暖かさと匂いが立ち込めるようなスプリングソナタ。この曲にも様々な模倣がいっぱいあり、それが聴き手のテンションを高めたり、癒したり、記憶に残ったりしていることを実感した。
アンコールのショスタコーヴィチが軽快で陽気に終わり全体を振り返ると、多彩な作品が並んだリサイタルでありながら一貫したポリシーがあったことが印象深い。完成度が高く、エキサイティングで楽しいリサイタルだった。
トリオTripartie(Vn:米元響子/Vc:上村文乃/Pf:菊池洋子)~2021.4.30 浦安音楽ホール~
Vn:小川響子/Vc:上村文乃/Pf:秋元孝介 ~2017.1.29 尾上邸音楽室~
B→C 上村文乃 チェロリサイタル ~2015.12.15 東京オペラシティリサイタルホール~
上村文乃チェロリサイタル ~2012.3.24 東京文化会館小ホール~
#文化芸術は生きるために必要だ
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最新アップロード:「紅葉」(メゾソプラノ、チェロ、ピアノ連弾用アレンジ)
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【曲目】
1.シュニトケ/ヴァイオリンとピアノのための古い様式による組曲(チェロ版)&スカルラッティ/上村⽂乃編/チェロ・ソナタ第2番ハ短調
2.ベリオ/セクエンツァ XIV
3.武満徹/オリオン(チェロとピアノのための)
4.ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ⻑調「春」(チェロ版)
【アンコール】
♪ ショスタコーヴィチ/2台のヴァイオリンのための5つの小品~「プレリュード」&「ポルカ」
10年来注目しているチェリスト、上村文乃さんのリサイタルを、響きのいいHakuju Hallで聴いた。最初に、リサイタルのコンセプトについて上村さんのお話。テーマはイミタツィオン。ここでは音楽としての「模倣」という意味。何百年という音楽史のなかで繰り返され、受け継がれ、育まれ、素晴らしい音楽がたくさん生まれたこの「技」を今夜のリサイタルの核に据え、その意義を伝えるという壮大な試み。
上村さんが演奏するときの顔の表情や体の動きからは明確なメッセージが無駄なく自然に視覚からも伝わり、それが実際の音として体現される。身体で表現するものと、音となって表現されるものが見事に合致した演奏は、どの作品でも揺るぎない自信に溢れ、透徹として、研ぎ澄まされた美しさがある。それに加えて、熱い血が通い、ダイナミズムを伴って作品の真髄を伝えてくる。このリサイタルでは一貫して、磨かれた音たちが宇宙に浮かぶ星のように輝き、それぞれの作曲家の「世界」を伝えていた。
シュニトケとスカルラッティの作品を交互に演奏した最初のステージでは、ゲスト出演の️村井さんのチェロも加わり、アンサンブルでのイミタツィオンや、ソロのなかで行われるイミタツィオン、更には様式の模倣など、様々なイミタツィオンが散りばめられ、時代も場所も全く異なる2人の作曲家の作品が一体となった。そのせいか、どちらの曲をやっているのかわからなくなってしまったのは、それほど両者が寄り添いながらひとつの世界を作り上げた証拠・・・?
後半、上村さんと安宅さんは鮮やかな赤と黒の名コーディネートで決めて登場。ベリオの名高い「セクエンツァ」では万物を凝縮したような孤高の世界を提示した。様々な奏法を駆使して発せられる全ての音が「必然」として響き、そこに生まれる緊迫感は圧巻だった。
武満の「オリオン」からはファンタジーと強い想念が伝わり、武満が求める魂が伝わってきた。安宅さんの繊細で澄んだタッチのピアノとの静謐な心の交感が、結晶となって空間を浮遊しているようだった。
スプリングソナタは穏やかで深く包容力のある演奏。チェロはピアノを包み込み、底辺を支える。アグレッシブな演奏を予想していたが、おおらかなオーラが放たれた演奏だった。爽やかな春の風と香りというより、土の暖かさと匂いが立ち込めるようなスプリングソナタ。この曲にも様々な模倣がいっぱいあり、それが聴き手のテンションを高めたり、癒したり、記憶に残ったりしていることを実感した。
アンコールのショスタコーヴィチが軽快で陽気に終わり全体を振り返ると、多彩な作品が並んだリサイタルでありながら一貫したポリシーがあったことが印象深い。完成度が高く、エキサイティングで楽しいリサイタルだった。
トリオTripartie(Vn:米元響子/Vc:上村文乃/Pf:菊池洋子)~2021.4.30 浦安音楽ホール~
Vn:小川響子/Vc:上村文乃/Pf:秋元孝介 ~2017.1.29 尾上邸音楽室~
B→C 上村文乃 チェロリサイタル ~2015.12.15 東京オペラシティリサイタルホール~
上村文乃チェロリサイタル ~2012.3.24 東京文化会館小ホール~
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