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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

藝祭2012 1日目 9月7日(金)

2012年09月07日 | pocknのコンサート感想録2012

9月7日(金)

ヤナガワ家の団欒
~第2ホール~

柳川瑞季/岩地(詩 田村隆一)
柳川瑞季/雲(詩 宮沢賢治)
柳川瑞季/「暁と夕の詩」より(詩 立原道造)


作曲科の柳川瑞季さんの呼び掛けで集まった声楽科有志達が、柳川さんの自作の声楽作品を歌った。ソロやデュオ、フルートのオブリガート付きなど様々なタイプの歌曲と、最後は合唱組曲「暁と夕の詩」が演奏された。

どの曲もデリケートで多彩なハーモニーが耳に心地よく、歌詞として選ばれた著名な詩人達の本来の詩としての味わいが損なわれることなく音が付けられていたが、いくつかの言葉が、音の抑揚の影響で別の言葉に聞こえてしまうことがあった。また、もう少し盛り上がりのある曲が入ると演奏会としての変化がもっと出るようにも感じた。

柳川さん自身によるビアノ伴奏はウィットにも富んだセンスの良さがあり、作品に心地よい味付けが施されていた。
ガチゲンダイオンガク
~第1ホール~

(↓これより前の2曲は聴けず)
坂東祐大/Humoresque
榎 政則/Suite pour deux pianos[Animation III]
AMBITION for Bass Clarinet -to Ken KUNITA-
旭井翔一/子子子子子子子子子子子子
佐原詩音/昆虫 GARAPAGOS!


作曲科4年有志による作品展を3曲目から聴いた。坂東祐大さんのフルートソロの作品は、様々な特殊奏法を駆使し、速いテンポで技巧的にも難しそうだが、不思議と耳に心地よく、流麗な音の運びが一つの物語を伝えた。フルートを演奏した内山貴博さんの淀みなく抑揚に富んだ演奏がまた素晴らしかった。

榎 政則さんのピアノデュオ作品は、2台のビアノが通常よりお互い離れて配置していたため、中央で聴いているとオーケストラの対抗配置のようなステレオ効果が楽しめた。動きに富んだ楽しめる作品。同じく榎さんのバスクラの曲は、タップ奏法を多用した実験的要素も感じ、脳に新鮮な空気を送り込んでくれた。竹内久力さんの的確で明快な音の運びが作品の個性を際立たせていた。

旭井翔一さんの新作は、奏者に儀式的なパフォーマンスを求め、ヴィオラの松村早紀さんは床にあぐらをかいて演奏。何やら思索的な音楽だった。

佐原詩音さんの「昆虫」は、虫の変態の様子をイメージとして音にしたそうで、仮装オケが終わって駆けつけたチェロの成田七海さんは、蝶々のようなコスチュームで劇的に姿を変える蝶の様子を表現していた。
ABO7
~第1ホール~


アルビージ/小組曲
吉松隆/さえずり鳥ブログ
ドビュッシー/小組曲より
チェンジング


フルート(含:ピッコロ&アルト)だけによる3重奏から7重奏までの多彩な演奏を楽しんだ。ABOの演奏は去年の藝祭でも聴いて好印象を持ったが、今回は益々気に入った。フルートだけによる、とてもデリケートで多彩な音色で繰り広げられるアンサンブルの妙を心から楽しむことができた。

同じ楽器でもパートの役割に応じてそれぞれが相応しい音色で演奏し、響きに奥行きと広がりが生まれる。メロディーを受け持つ奏者の透明で明晰な調べ、伴奏パートは複数の奏者が滑らかに音を繋いで、優美な舞いを見ているようだった。これだけ呼吸も合い、いい響きを作り上げるには練習も結構積んだのではないだろうか。

フルーティストの間では有名ということだが、普段聴く機会のない作品が多く演奏されたが、どれもとても魅力的な曲だった。最初にやった曲名が聞こえなかったが、何という曲か知りたい。去年も曲目がわからず「プリントを配って」と書いたのだが…
Emsemble Pastel
~第2ホール~

プーランク/ノヴェレッテ
カウエル/四重奏曲
ベートーヴェン/七重奏曲 Op.20
ブルーメル/木管五重奏曲

(第2楽章まで聴いて次の公演へ。。。)

管楽五重奏のアンサンブルに一部弦も加わり、多彩な室内楽作品が披露された。次の公演の時刻が迫り、残念ながらブルーメルの途中までしか聴けなかったが、どの曲も瑞々しい感性が光る充実した演奏だった。

プーランクの管楽作品はレ・ヴァン・フランセの演奏会でよく聴くが、今日やったノヴェレッテはこれまで聴いた覚えがなく、新たにプーランクの名曲に出会えた。じっくりブレンドされた温かな響きと、歌い継がれる素敵なメロディーに心地良い至福の気分を味わった。金光美重さんのオーボエが、アンサンブルに灯りと潤いを与えていた。

続くカウエルの作品は、素朴な味わいのある活き活きとした音楽だが、そこに池城菜香さんのハープの調べが芳香な風を吹かせていた。

そしてベートーヴェンの名曲、七重奏曲がよかった。7人のメンバーみんなが活き活きと伸びやかに呼吸し、アンサンブルを楽しんでいる様子が伝わってきた。第1楽章の序奏からアレグロに転じる場面のウキウキワクワクの開放感と躍動感!それからもずっとディヴェルティメントの楽しげな気分が感じられた。アンサンブルの花はヴァイオリンの春日井恵さん。一見すました表情で、実に活き活きとした音楽を嬉々と奏でる。艶やかな音色もどんなに速くて高音のパッセージもわけなく弾いてしまうのもすごい。 コントラバスの松本優紀さんの軽快なノリがリズム系の要。河本美紀さんのホルンのイキとツヤも冴えている。また、第4楽章などでは息の長いたっぷりした歌でもハートを捉えてきたが、そこでのクラリネットの西澤いずみさんの歌心にうっとり。7人のプレイヤーが自分の役割を果たし、見事なアンサンブルとして実を結んだ佳演にして快演。
芸大ミュージカルエクスプレス 藝祭公演《パッショネラ》
~第1ホール~

整理券は既に配付が終わっていたが、一緒に来た娘が絶対観たい!と、前の演奏を1曲しか聴かずにキャンセル待ちに並んだ甲斐あって人気の公演を観ることができた。劇団四季も知らないし、そもそもミュージカルなんて殆んど未知の世界の僕だが、芸大生がやるミュージカルならきっとうまいだろうし、ミュージカルの面白さを知るにはいいチャンスと期待して開演を待った。

演目はハーニック・ボック脚本の「パッショネラ」。昼間は煙突掃除で煤だらけになって働きまくり、夜は映画スターになりたいと夢想するエラの夢が、夜の間だけ魔法で叶えられ、最後は似た境遇のフリップと結ばれて本当の幸せを手にする、というシンデレラタッチのストーリー。

主役のエラ/パッショネラを歌い、演じた松原凛子さんの素晴らしい歌と演技、そしてあっと驚く変身振り、相手役(フリップ)の杉浦奎介さんのチョイ悪の2枚目ぶり、池田泰基さんの名語り、それにバックコーラスのビシッと決まった格好いい歌とダンス… さすが芸大!というステージにどんどん引き込まれ、一緒にハラハラし、一緒にドキドキし、一緒に笑った。伴奏はピアノが一人で受け持った。新作発表でも出演していた作曲科の榎政則さんはマジメそうな見かけによらず終始超ノリまくりの演奏で歌とダンスをサポートし、ステージを盛り上げた。

ミュージカルの楽しさ、面白さを存分に味わった。藝祭のミュージカル、また是非観たい!

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