接続法の用法 Ⅲ (関係節)
【1】 先行詞が相対最上級かそれに準ずる表現(l’unico, il primo, l’ultimo, il soloなど)で修飾されているとき。
Ho visto il piu bel paesaggio che si possa iimaginare.
私は人が想像し得る一番美しい風景を見ました。
E il migliore uomo che io abbia conosciuto.
彼は私がこれまで知った一番良い人です。
E la meno terribile delle avventure che mi siano capitate.
それは私に起こった冒険の中で一番怖くないものです。
E il primo che io abbia sentito parlare in quel modo.
そんな話し方をするのを私が初めて聞いたのは彼が初めてです。
Questa e l’unica via che conduca alla chiesa.
これが教会へ通ずる唯一の道です。
【2】 先行詞に体する話者の希望・目的を表す時。
Stiamo cercando una signorina che sappia il francese.
私たちはフランス語を知っている女の子を探しています。
Chiamo un ragazzo che porti questa lettera al signor Rossi.
この手紙をロッシさんに持って行ってくれるような子供を呼んでくれたまえ。
Mi dia una medicina che sia efficace per il mal di denti.
歯痛に効くような薬を下さい。
Voglio da te una spiegazione che mi lasci soddisfatto.
君から私を納得させるような説明が欲しい。
【注意】先行詞が明確に限定されているときは、先行詞には定冠詞をつけて直接法を用いる。
Vogliamo prendere un treno che parta alle dieci.(不確実)
私たちは10時に出るような列車があればそれに乗りたい。
Vogliamo prendere il treno che parte alle dieci.(確実)
私たちは10時発の列車に乗りたい。
【3】 否定形や疑問形におかれた語を先行詞とし、その不確実性・可能性を表す時。
Non c’e uomo che sia esente da difetti.
欠点を持たないような人間はいない。
Non ho visto nessuno che sia venuto ad aiutarmi.
私を助けに来てくれたような人は誰も見えなかった。
C’e qualcuno che possa andare a comprare un giornale?
誰か新聞を買いにいってくれるような人はいないかね?
C’e una persona che sia contenta della sua sorte?
自分の運命に満足しているような人がいるだろうか?
(そんなひとはいない)
接続法の用法 Ⅳ (副詞節)
譲歩・条件・目的・様式・時・原因・除外・比較等を表す接続詞や、譲歩を表す不定代名詞・不定形容詞に先立たれる節の中では、接続法が用いられる。
【1】 譲歩
Benche, sebbene, quantunque, nonostante, malgrado, ancorche, dovunque等の接続詞や、per quanto, nononstante che, malgrado che, anche quando (quand’anche), anche se, con tutto che, ammesso che, posto che, concesso che等の接続詞句や、chiunque, checcheなどの不定代名詞や、qualunaueなどの不定形容詞に先立たれた節の中で用いられる。
Benche sia stanco, continua il lavoro.
疲れているにも関わらず、かれは仕事を続けている。
Sebbene avessi sentito che mi chiamava, non volli rispondergli.
彼が私を呼んでいるのが聞こえたけれど、返事をする気になれなかった。
Nonostante piovesse, partirono ugualmente.
雨がふっているにも関わらず、予定通り出発した。
Nonostante che mi avesse detto di si, non e venuto.
彼は「はい」と言ったにも関わらず、やって来なかった。
Per quanto non mi sembri possibile, tentero ugualmente.
いかにも私には不可能なように思えようと、やってみます。
Quand’anche lo potessi, non lo farei.
たとえそれができるとしても、私はやらないでしょう。
Ti scrivero dovunque tu vada.
君がどこに行こうとも手紙を書くよ。
Chiunque mi cerchi, non farlo entrare.
誰が私を捜しに来ようとも、家に入れるな。
Checche tu dica, non mi convincerai.
君がなんと言おうとも、私を納得させることはできまい。
Qualunque cosa voi facciate, sono certo che non vi crederanno.
君たちがどんなことをしようとも、彼らは君たちを信じまい。
Anche se non potessi partecipare, non preoccuparti.
たとえ参加できなくても心配するな。
【2】 条件
Qualora, purche, posto che, nel caso che, a condizione che, a patto che, nell’ipotesi che, nell’eventualita che等の接続詞や接続詞句に先立たれる節の中
Qualora tu voglia vedermi, non hai che da telefonarmi.
(tu n’as qu’a me telephoner)
もし君が僕に会いたくなったら電話をかけてくれるだけでいいのだよ。
Nel caso che mi sia possibile, verro a trovarti.
可能な場合には君を訪ねるよ。
Potrei dirti di cosa si tratta, a patto pero che tu non ne facccia parola con nessuno.
君が誰にも話さないという条件でなら、何の事だか話してあげてもよい。
Lo aiutero a condizione che se lo meriti.
彼がそれに相応しいならば助けてやろう。
Posto che tu venga entro le cinque, mi troverai a casa.
君が5時までに来るならば、私に家で会えるだろう。
【3】 目的
- Affinche, perche, acciocche(古語)などに先立たれる節
I lavori saranno accelerati affinche l’opera sia compiuta entro l’anno.
作品が年内に完成されるように仕事のピッチが速められるだろう。
Ho coperto il libro perche non si sciupi.
本が汚れないように私はカバーをかけた。
【注】Percheは、原因・理由を表す時は、直接法、目的を表す時は接続法の動詞を従える。
Mi copro perche ho freddo.(理由)寒いので身体を覆う。
Mi copro perche non mi venga il raffreddore.(目的)
風邪をひかないように身体を覆う。
【4】 様式
Comunque, come(se), quasi(che), in qualunque modo, senza cheなどに先立たれた節の中
Comunque si comporti, e sempre antipatico.
どんな態度を取ろうとも彼はいつも感じが悪い。
Mi risponde come se fosse completamente estraneo alla faccenda.
彼はまるで自分が全くそのことの部外者であるかのように私に答える。
Mi portava rancore, quasi l’avessi offeso.
彼はまるで私が彼を侮辱したかのように恨みを抱いていた。
In qualunque mode tu viva, avrai motivo di lagnarti.
君はどのように生きようと不平をいう種を見つけるだろう。
E partito senza che ci salutasse.
彼は私たちにあいさつなしで出発してしまった。
注:come si, come, quasiに導かれる節では、仮定を表すために接続法半過去か大過去を用いる。
【5】 時 prima che, finche, fino a che, sino a che, fin qundoなど主節の動作より後であることを示す接続詞や接続詞句に先立たれた節の中
Non dovete parlare tra di voi perima che finisca la lezione.
授業が終わらないうちはお互いには話してはだめだ。
Non usciro finche tu non sia entrato.
君が入って来るまでは私は外出しません。
注:fincheに先立たれている節が現実の事柄を表しているならば、直接法を用いる。
Ti aspettero finche non verrai.
君が来るまで待っているよ。
Gli volli bene finche mi fu amico.
私の友人であったときは彼を愛していた。
Fincheの節はnonをつけて否定形にしても意味は変わらないが、どちらかというと主節が否定形の時にfincheの節も否定形にすることが多い。
Aspettero finche tu sia tornato.
Aspettero finche tu non sia tornato.
君が帰ってくるまで待っていよう。
【6】 原因
否定的な原因、つまりnon perche, non che, non gia che等の接続詞句に先立たれる節の中で。
Me ne vado, non perche io sia stanco.
私は疲れている為に立ち去るのではない。
Ero venuto qui non gia perche mi avessero avvertito.
私がここに来たのは人々が私に知らせてくれなかったからではない。
【7】 除外
Tranne che, salvo che, soltanto che, ameno che nonなどに先行されている節の中で
Lo troveremo a casa, tranne che non sia gia partito.
まだ彼が出かけていなければ、私たちは彼に家で会えるでしょう。
Tutto andra bene soltanto che tu non lo voglia.
君がそれを望みさえしなければ、全てはうまくいくだろう。
Verro a trovare il nonno salvo che non piova.
雨が降らないならば叔父に会いに行きます。
Passero da lui a meno che non si faccia tardi.
遅くならない限り彼のところに寄って行くよ。
【8】 比較級
比較の対象となる節の内容が仮定・可能を表す時は、接続法を用いることが多い。
Il viaggio fu piu lungo di quanto si pensasse.( di quanto si pensava)
旅行は考えていたよりも長かった。
La serata riusci piu divertente di quel che fosse stato previsto.
( di quel che era stato previsto)
夜会は予想されていたよりももっと楽しいものになることができた。
主節(独立節)における接続法
接続法は本来、従属節において用いられる叙法であるが、主節(独立節)の中でも用いられることがある。
【1】 勧告・勧誘
接続法だけが用いられる。この用法は、命令法と考えてよい。
Viva il nostro partito! 我が党バンザイ
Abbia pazienza! あなた我慢して下さい。
Si presentino e discuteremo.
皆さんご出席ください。そして、議論しましょう。
【2】 願望・祈願
内容によってあらゆる接続法の時制が用いられる。これは願望、祈願を表す動詞、spero, mi auguro, voglioなどの主節の動詞が省略されたり、仮定文の帰結節が省略されたものと考えられるので、接続詞cheやseに先行されることも多い。 感嘆文の形をとる。
Lo voglia il cielo! (可能性) 天がそれを望みますように。
Che non ti venga in mente di offenderlo! (可能性)
君が彼を侮辱するような気にならないように。
Magari facesse bel tempo domani! (万一の仮定)
もし明日天気が良ければなあ!
Almeno dicesse la verita! (現在の現実の反対)
もし彼がせめて本当の事を言ってくれるならば!
Oh, se fosse arrivato un’ora prima! (過去の事実の反対)
おお、もし彼が1時間前に着いていてくれたなら!
Se mi avessero aspettato ancora un po!
彼らがもう少し私を待っていてくれたならばなあ。
【3】 譲歩・条件
これは形式的には独立節であるが、譲歩・条件を表す従属節に近い意味を持ち、接続法動詞の後にpure, tuttavia, anche等が置かれる。これは、anche, seなどの仮定的譲渡の接続詞または接続詞句が省略されているとも考えられる。
Sia pur vero cio, tuttavia stento a crederlo.
たとえそれが本当だとしても、私には信じがたい。
Caschi pure il mondo, non lo faro mai.
どんなことがおころうとも私は絶対にそれをやらない。
Fossi anche un ignorante, non dovresti tratarmi cosi.
【4】 疑問
この疑問は話者の不安・危惧安堵の感情を表し、接続詞cheに先行される。つまり、cheの前にdubito, mi preoccupo, temoなど一人称の動詞が省略されたものと考えればよい。普通は接続法現在と過去が用いられる。
Maria
Non arriva ancora. Che sia malato?
マリアはまだ着かない。病気なのかしら。
Perche Mario non e venuto? Che abbia perso il treno?
何故マリオは来なかったのだ? 列車に乗り遅れたのかしら?
Che io debba far cio? 私がそれをやらなければいけないの?
Che io abbia sbagliato? いったい私は間違えたのかしら?
【5】 仮定の設定をする。(この用法は現在では数学の問題で仮説を立てるときだけ)
Sia a uguale a β。アルファ=ベータと仮定しよう。
主節の動詞と従属節中の接続法動詞との時の関係
【1】 主節の動詞が直接法現在のとき
① 同時性を表すならば、接続法現在
Non so se Maria venga al cinema.
私はマリアが映画館に来るかどうか知らない。
② 主節の動詞より以前に完了した事柄を表すならば
a) すぐ前に起こったことや現在と何らかの関係を持つこと、過去のある一時点の行為を表す時は、接続法過去を用いる。
Non so se Maria sia venuta al cinema.
私はマリアが映画館に来たかどうか知らない。
b) 主節の動詞よりずっと以前の習慣的行為や過去の状態で、独立説ならば直接法半過去が用いられるような時は、接続法半過去を用いる。
Non so se Maria venisse a questo cinema cinque anni fa.
私はマリアが5年前にこの映画館に通っていたかどうかは知らない。
Non mi pare che gli antichi vivessero piu di noi.
私は昔の人達が我々より長生きしていたとは思えない。
Penso che tu avessi torto nella discussione di ieri.
私は昨日の議論では君が間違っていたと思っています。
注:マリアが5年前に一度この映画館に来たことがあるかどうかは知らない。
Non so se Maria sia venuto a questo cinema cinque anni fa.
③ 未来を表す時は、接続法現在か、直接法単純未来を用いる。
a) 接続法には未来が無いので接続法現在が未来の働きもするわけだが、接続法を用いると可能性・不確実性などのニュアンスが強くなる。
Temo che faccia cattivo tempo domani.
私は明日天気が悪いのではないかと心配しています。
Puo darsi che Mario venga al cinema stasera.
マリオは今晩映画に来るかも知れません。
b) 直接法単純未来は接続法現在より現実性のニュアンスが強い。
Credo che tu verrai questa sera.
私は君が今晩来るものと信じています。
Non penso che l’aero arrivera in ritardo.
飛行機が延着するとは思いません。
c) 接続法現在に未来の意味を持たせる為に、未来を表す副詞をつけたり、(stare per + 不定詞)「~するところである」や(dovere + 不定詞)「~するに違いない」の構文を用いることもある。
Credo che Maria venga piu tardi.
マリアはもっと遅くなってくると思います。
Credo che Maria stia per venire.
マリアは来るころだと思います。
Credo che Maria debba venire.
マリアは来るに違いないと思います。
④ 従属節が非現実な過程を表す時は接続法半過去が用いられる。
Piange come se fosse un bambino.
彼はまるで子供のように泣いている。
Le voglio bene quasi fosse mia sorella.
私は彼女をまるで自分の妹のように愛している。
【2】 主節の動詞が直接法単純未来の時
① 同時性を表すならば直接法単純未来か接続法現在を用いる。
Credero che tu andrai (vada) a scuola.
私は君が学校へ行くものと信じるだろう。
Essi supporranno che io non verro (venga)
彼らは私が来ないと想像するでしょう。
② 主節の動詞より以前に完了したことを表すには接続法過去か直接法先立未来を用いる。
Credero che tu sia andato a scuola.
私は君が学校へ行ったと思うだろう。
Essi supporranno che io non sia venuto (saro venuto)
彼らは私が来なかったと想像するでしょう。
③ 主節の動詞より更に未来に起こるであろうと思われる事柄を表す時は直接法単純未来が用いられる。接続法現在が用いられることはめったにない。
Credera che tu andrai a scuola l’anno prossimo.
彼は君が来年学校に行くと思うだろう。
Essi supporranno che io non verro piu tardi.
彼らは私がそれより遅くなったら来ないと想像するでしょう。
④ 未来における非現実的な過程を表す時は接続法半過去が用いられる。
Piangera come se fosse un bambino.
彼はまるで子供のように泣くだろう。
【3】 主節の動詞が直接法過去形(近過去・半過去・遠過去・体過去)の時
① 同時性を表すならば、接続法半過去(口語では直接法半過去)が用いられる。
Ho creduto che tu venissi al cinema.
Credevo che tu venissi al cinema.
Credetti che tu venissi al cinema.
Avevo creduto che tu venissi al cinema..
(口語では venivi al cinema)
私は君が映画に来るものと信じていました。