Lupinus-ルピナス-

絵本のルピナスさんのように自分なりの「世の中を美しくすること」を見つけたいと思っています。

センセイの鞄

2010年07月27日 | 本・絵本
娘の学校は、今日終業式でした。ようやく明日から夏休みです。
周りの学校はぞくぞくと夏休みに入っているのに、なぜかうちの学校だけがんばっていましてね・・・
ゆとり教育からの脱却で授業時間の確保のためなのでしょうけど、
さすがにうちの娘も2、3日前から「もう学校行きたくない~』とぶつくさ文句を言ってました^^;
さすがに毎日暑いですしね・・・気持ちも分かりますけど。
それにしても、幼稚園の頃は「夏休みも幼稚園にいきたい」と言っていたものなのに。
あのころとは違って成長してしまったんですね。そんなことをいうようになるとは。

これから娘と二人の時間が多くなるので、本を買ったり、借りてきたりして、暑い午後はまったり過ごそうかな、と。

最近買った本の中でよかったのは、川上弘美さんの「センセイの鞄」。
30代後半のツキコさんが一人でよくいく居酒屋のカウンターで高校時代の恩師と会って、少しずつ交流を深めていきます。
二人は30歳以上離れていますが、ツキコさんは同年代の友達よりもセンセイのほうが近い存在に感じます。
その二人のつきあい方が、自分のペースを崩さず、自分の心地よい加減で交流しながら、お互いがお互いをなんとなく「しっくり」くる存在と感じていく経過がとてもいい。

センセイは、話のはじまりの方でツキコさんと行った市場でひよこを2匹買います。ツキコさんが動物を飼うのはお好きなんですか、と聞くと
「得手ではないですね」
「だいじょうぶですか」
「ひよこならね、そんなに可愛くないでしょう」
「可愛くないのがいいんですか」
「可愛いとつい夢中になる」

というやりとりがあります。
ここが私はなんとなく「ん?」とひっかかっていたのですが、
何かに夢中になりすぎないように自分に歯止めをかけてしまうというのは、私にはピンと来なかったのです。
それから、少し読み進めてふと思ったのは、もしかしたら、年をとって自分の先が見えてきたときに、別れがさみしくないように敢えて何かに夢中にならないようにするのかな、と。
その年代の人がみんなそうとはいえないけど、センセイはそうなのかもなあ・・・と。

その後、センセイがツキコさんのことがかわいくてしようがないんだな、と思わせる場面がいくつも出てきて、
ああ、センセイは自分のそういう押さえている部分を取り外したんだ、と私は思いました。
二人が素直な気持ちでやりとりしている場面を読むと、人間いつ死ぬかわからないのに意地をはるのはなんかもったいないなあと思ったりもして。

自分にとって、とてもしっくりくる大切な存在に出会えて、二人の時間を過ごすことのできたこの小説を読んで、ああとても幸せなお話だったなあ、と。
それが最後に誰にも訪れる別れがあったとしても。

あとがきを読んでちょっと笑ってしまったのが、この本が出版された当時、中高年の男性たちがこの小説を読んで舞い上がってしまったというお話(笑)。
70歳くらいであろうセンセイが30歳以上年下のツキコさんと恋愛に落ちるお話に「もしかしてオレでも・・・」と夢を見てしまったそうですね^^;
まあ、確かに男の人にはそういう感動があるかもしれませんけどね。
私は女なので、そういうお話にはとらえなかったですが・・・

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