Lupinus-ルピナス-

絵本のルピナスさんのように自分なりの「世の中を美しくすること」を見つけたいと思っています。

自分の感受性くらい

2006年03月26日 | 本・絵本
前にも書いたかもしれませんが、私はあまり詩をたくさん読むほうではありません。
でも家の本棚をのぞくと、惹かれて買った詩集が数冊。
その中の一冊が、茨木のり子さんの『自分の感受性くらい』でした。
その茨木のり子さんが先月お亡くなりになりました。新聞で知って、ああ、あの詩集の人だと思い出し、また手にとりました。
読むと、胸に刺さるものがありました。自分が今まで思っていたこと、気づかなかったこと、しらんふりをしていたこと…目の前に曝された気がします。


自分の感受性くらい

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難かしくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらかなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ


この詩を読むと胸が痛いです。まるで自分のことを言われているようです。
逃げないように生きようとしていても、うまくいかないと、ときどき何かのせいと考えてしまうときがあります。
それを当然だ、と思っているときにこの詩を読むと、逃げていたのは自分だと気づきます。

私は特に外で働いているときに、ずっとそう感じていました。
忙しさに疲れて趣味もなくなり、仕事の何をしたかったのかもわからなくなり、なんだか気持ちがぱさぱさしていたときがありました。
そのときにこの詩を思い出したことがあります。でも、そのときはわかっていてもなかなか立ち直れませんでしたが(笑)。

この詩集の中の「詩集と刺繍」もおもしろいです。
「二つのししゅうの共通点は 共にこれ 天下に隠れもなき無用の長物 さりとて絶滅も不可能のしろもの」とあって、今自分がハンドメイドが好きなことと、世の中ではすぐに役に立たないようなことを好きになる傾向があるので、なんとなくわかるのです。
無用の長物にみえても、そのことで人の心をふるわせることができるものが、実は世の中の「だいじなもの」である気がします。


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2 Comments

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松山から (k)
2006-03-26 09:52:08
以前コメントいただいたkです

その後いかがお過ごしですか?



さて今回の記事=茨木のり子さんの詩

深く そして簡潔に真理をついてるような感じ受けました



僕も気をつけなければ。。。ね では また

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こんにちは (polin)
2006-03-26 23:21:28
コメントありがとうございます(^^)

3月も末に近づき、娘の入園準備も差し迫ってきましたが、

あとからあとから必要なものを思い出し、なかなか終わらない状況です。

なかなか入園準備も大変なものですね・・・。



茨城のり子さんの詩は、すごく鋭い感じを受けます。

今こどもが夢中になっている谷川俊太郎さんの詩は言葉あそびのようでおもしろく、

詩はほんとその人の個性が出るものですね。



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