海難救助で活躍の海自US2
太平洋横断中に遭難したニュースキャスターの辛坊治郎さんら2人が海上自衛隊に救助されたことに関し、
25日の自民党国防部会で、辛坊さんの行動を批判する意見が相次ぎました。
批判の内容は、災害時に自衛隊が市民を救助するのは当然としても、冒険のような場合にまで、
予算をかけて自衛隊を派遣する必要があるのか、ということのようです。
一説には救助費用が1000万円を超えるともいわれる今回の救出劇。
どうして自衛隊が出動しなければならなかったのかも含め、このニュースに斬りこんでみたいと思います。
今回のように、太平洋上で遭難した場合、そもそもどの国が遭難者の救助をしなければならないのでしょうか。
この点については、日本と米国の間で「日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の海上における
捜索及び救助に関する協定」(日米SAR協定)が昭和61年に締結されており、
我が国から1200海里までの範囲(協定では厳密な地点が定められています)について、
捜索救助を行うことになっています。
韓国・ロシアとの間でも、同様の協定が結ばれています。
次に、日本が遭難者を救助しなければならない場合に、どの機関が救助を行うかについてですが、
こちらについては、海上保安庁がこの役割を担っています(海上保安庁法5条2号)。
今回の事故でも、遭難の知らせを受けた事務局が海上保安庁に通報し、
同庁の航空機が辛坊さんらを発見しています。
ここまでであれば、自衛隊が出てくることはなかったのですが、今回の場合、
現場海域の天候が悪く、海上保安庁の装備では救助が難しかったようです。
自衛隊には、今回の救助に必要な装備や人材がいますが、だからといって、
自衛隊の判断で自由に出動することはできません。それを可能にするのが、「災害派遣」です。
「災害派遣」と聞くと、東日本大震災の時の自衛隊の救助活動を思い浮かべる方が多いと思いますが、
自衛隊は「天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要がある」ときは、
要請に基づいて部隊等を派遣することができます(自衛隊法83条)。
この要請ができる者に、海上保安庁長官や管区海上保安本部長が含まれており(自衛隊法施行令105条)、
今回の場合も、これらの法令に基づき、海上保安庁から海上自衛隊に対して、
災害派遣要請がなされ、部隊が派遣されたと考えられます。
「災害」という言葉からは、大規模な自然災害をイメージしますが、実際にはかなり頻繁に出動しており、
ここ数年は年間500~600件派遣されています(東日本大震災に関する活動を除く)。
海上保安庁や海上自衛隊による救助は、行政サービスのため、
警察や救急車の出動に費用がかからないのと同様、費用はかかりません。
防衛省の担当者も、救出費用を当事者に請求しない根拠について、
「災害派遣は自衛隊の任務であり、任務遂行のために認められた予算の範囲内で対応した」と説明しています。
ちなみに、山岳救助についても、警察や消防、自衛隊などが捜索する分については無料ですが、
民間ボランティアに捜索を協力してもらったり、
民間のヘリコプターを使用した場合には、その費用がかかります。
「山岳遭難の救助にはお金がかかるが、海難救助は無料」という説は、
そのあたりから出てきたのでしょうが、逆にいえば、お金をかければ捜索の範囲を広げられる陸上と異なり、
海上は専門の機材や人材を有する機関に任せざるを得ないともいえます(沿岸については有料の救助サービスもあるようです)。
人命と費用を天秤にかけることはできませんが、
十分な準備をしたうえでの冒険であったのかどうかについては、検証されるべきでしょう。
遭難直前の映像も海上保安庁に提出されているとのことですし、原因究明が待たれます。
太平洋横断中に遭難したニュースキャスターの辛坊治郎さんら2人が海上自衛隊に救助されたことに関し、
25日の自民党国防部会で、辛坊さんの行動を批判する意見が相次ぎました。
批判の内容は、災害時に自衛隊が市民を救助するのは当然としても、冒険のような場合にまで、
予算をかけて自衛隊を派遣する必要があるのか、ということのようです。
一説には救助費用が1000万円を超えるともいわれる今回の救出劇。
どうして自衛隊が出動しなければならなかったのかも含め、このニュースに斬りこんでみたいと思います。
今回のように、太平洋上で遭難した場合、そもそもどの国が遭難者の救助をしなければならないのでしょうか。
この点については、日本と米国の間で「日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の海上における
捜索及び救助に関する協定」(日米SAR協定)が昭和61年に締結されており、
我が国から1200海里までの範囲(協定では厳密な地点が定められています)について、
捜索救助を行うことになっています。
韓国・ロシアとの間でも、同様の協定が結ばれています。
次に、日本が遭難者を救助しなければならない場合に、どの機関が救助を行うかについてですが、
こちらについては、海上保安庁がこの役割を担っています(海上保安庁法5条2号)。
今回の事故でも、遭難の知らせを受けた事務局が海上保安庁に通報し、
同庁の航空機が辛坊さんらを発見しています。
ここまでであれば、自衛隊が出てくることはなかったのですが、今回の場合、
現場海域の天候が悪く、海上保安庁の装備では救助が難しかったようです。
自衛隊には、今回の救助に必要な装備や人材がいますが、だからといって、
自衛隊の判断で自由に出動することはできません。それを可能にするのが、「災害派遣」です。
「災害派遣」と聞くと、東日本大震災の時の自衛隊の救助活動を思い浮かべる方が多いと思いますが、
自衛隊は「天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要がある」ときは、
要請に基づいて部隊等を派遣することができます(自衛隊法83条)。
この要請ができる者に、海上保安庁長官や管区海上保安本部長が含まれており(自衛隊法施行令105条)、
今回の場合も、これらの法令に基づき、海上保安庁から海上自衛隊に対して、
災害派遣要請がなされ、部隊が派遣されたと考えられます。
「災害」という言葉からは、大規模な自然災害をイメージしますが、実際にはかなり頻繁に出動しており、
ここ数年は年間500~600件派遣されています(東日本大震災に関する活動を除く)。
海上保安庁や海上自衛隊による救助は、行政サービスのため、
警察や救急車の出動に費用がかからないのと同様、費用はかかりません。
防衛省の担当者も、救出費用を当事者に請求しない根拠について、
「災害派遣は自衛隊の任務であり、任務遂行のために認められた予算の範囲内で対応した」と説明しています。
ちなみに、山岳救助についても、警察や消防、自衛隊などが捜索する分については無料ですが、
民間ボランティアに捜索を協力してもらったり、
民間のヘリコプターを使用した場合には、その費用がかかります。
「山岳遭難の救助にはお金がかかるが、海難救助は無料」という説は、
そのあたりから出てきたのでしょうが、逆にいえば、お金をかければ捜索の範囲を広げられる陸上と異なり、
海上は専門の機材や人材を有する機関に任せざるを得ないともいえます(沿岸については有料の救助サービスもあるようです)。
人命と費用を天秤にかけることはできませんが、
十分な準備をしたうえでの冒険であったのかどうかについては、検証されるべきでしょう。
遭難直前の映像も海上保安庁に提出されているとのことですし、原因究明が待たれます。