オコジョ、チャート・レビュー

洋楽チャートの感想や予想を長々と述べます。速報性はありません。

UK / US シングル・チャートのルール

2022-02-23 | チャートまとめ

 

後にこのページをリンク先にすることも考えて…、

UK、USシングル・チャートのルールを簡単に説明してみようと思います。

説明の練習…みたいな感じで。興味があったら読んでみてください。

 

<UK>

 イギリスのシングル・チャートには「スリー・ソングス・ルール」という、ランクインする曲数についてのルールがあります。同じアーティストの曲は同時に3曲までしか100位内にランクインできない、というもので、4曲以上ランクインできる曲があるときはよりポイントの多い上位3曲がランクインします。2017年にエド・シーランがサード・アルバム『÷』をリリースした際、アルバムが人気すぎてアルバム・チャートで1位をとっただけでなく、シングル・チャートでもTop20中16曲を『÷』の収録曲が占めたことがあり、これは流石におかしいということになってこのルールができました。

 

(ちなみに、アルバムの人気がシングル・チャートの占有に繋がるのはアルバムのストリーミング消費によるものです。詳しくはこの記事の真ん中あたりで触れています。)

 

 ただ、このルールはたまに議論を引き起こしうるものだと思っています。3曲にカウントされるのはいわゆるリード・アーティスト(メイン)で、ゲストのアーティストはカウントされないことになっているのですが、最近はそれがはっきりしない曲が多いからです。例えば、エミネムの "River feat. エド・シーラン" という曲ではエド・シーランはゲスト扱いなので、彼はこれの他にも3曲、同時にランクインさせられます。一方、アーティストのクレジットが連名になっている曲(デュエット曲)ではメイン / ゲストの関係が分かりにくいので、このルールをうまく適用させられなくなったりします。エルトン・ジョン & エド・シーラン の "Merry Christmas" はどちらがメインかはっきりしないので、これは両方カウントされましたが、デュエット曲すべてがそうなるとは限りません。

 

 例えばAという歌手が売れていて、Aは多くの曲が同時期に売れていたとしましょう。そんな中、AはBという別のアーティストとのデュエット曲を出しました。このとき、これがAの「スリー・ソングス・ルール」のカウントに適用されるか否かで議論が起こるかもしれません。Aのファンは「デュエット曲は主にBが歌っていて、Aのパートは少ない。だからこれはどちらかというとBの曲で、よってAは別に3曲ランクインさせられる」というかもしれませんし、Bも売れている人だったらBのファンがそれに反対して「デュエット曲はAがメインの曲だ」と主張するかもしれません。

 

 このルールはチャートの占有をなくすためのものですが、同時期に多くのヒット曲を生み出すスーパー・スターの功績を正確に記録できないという欠点があるんですよね…。スーパー・スターは多くはないのでこうした弊害は感じにくいのですが。

 

 しかしながら、自分はこのルールには賛成です。このような曲数制限がないUSチャートでは、数えきれないほど一組のアーティストによる占有を見てきました。それを見るたびに、チャートが正常に機能していない、と思います。このルールにはリード・アーティストは誰かという問題は付きまといますが、正直シングル・チャートの独占現象にはもううんざり…。

 

<US>

 アメリカのシングル・チャートには週数制限があります。チャートの新旧交代を活性化させるためのもので、一定以上の月日を経たヒット曲は条件付きでチャート上から削除されるようになっています。具体的には、初めてチャートにランクインしてから21週以上(約5か月)たった曲は、50位以上にしかランクインできません。チャート上でヒットが確認される曲の中には50位以上までいかない曲も多くありますが、それらがランクインできる週は最高で20週ということです。また、50位以上で大ヒットした曲は、ピーク・アウトした後ずるずるとチャートを下がることはなくなります。つまり、ロング・ヒットできるのは50位以上の範囲ということですね。

 

 もう一つ、初めてチャートにランクインしてから53週以上(約1年)たった曲は、25位以上にしかランクインできないというルールもあります。これにより、さらにロング・ヒット曲のランクインが制限されることになりましたね。まとめると、53週以上ランクインできるのは1~25位で、21週以上ランクインできるのは1~50位。2015年あたりにできた、実際にチャートを見ていてもちょっと気づきにくいルールです。いつの間にかあのヒット曲が消えてた!...みたいな。

 

 このルールには、どうやら例外があるようです。しっかり調べていませんが、何度か51位以下に21週以上ランクインしている曲を見ました。憶測です。「21週以上のランクインにはなるけど、削除せずにしばらく放っておけば50位以上に最高位を更新できそう」な曲が、例外として51位以下でも削除されないことになっていそうです。初ランクインから21週目以降でピークを迎える曲もあるので、それらには柔軟になっているのでしょう。ただ、見極めは複雑そうです。51位以下のこの曲はもう20週いったけど、これ以降上昇して最高位を更新する見込みがあるかどうか、正確に予測できる人はいないでしょうからね。

 

 このルールに関しては途中で知ったのですが、自分はだいたい賛成です。アメリカのチャートは動きが鈍く、過去のヒット曲がずっと上位の方にたむろすることがよくあります。このルールはそのような曲のロング・ヒット性を測れなくしてしまうものですが、過去の名作のロング・ヒットによって新しいヒット曲のチャート順位があまり上がらないのは、ちょっともどかしい。それと、自分にはやはり真新しいものを求める欲求があるので、チャートは新旧交代が活発であってほしいです。なので、やや異様なルールだとは思いましたが、全然あってもいいルールだと思います。

 

以上、素人の説明でした...何とか伝わったかな?ニュアンスだけでも伝わりましたように。 



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