QOOTESの脳ミソ

日記や旅の記録(現在進行中および過去の旅)がほとんどですが、たまに「腹黒日記風」になっているのでお気を付けください。

『語るに足る、ささやかな人生』駒沢敏器

2025-01-11 09:14:58 | Books, Movies & Music
 
遅読癖のせいでまだ手元の本を読んでいないのでSHOGUNが読み始められない。ゴールデングローブ賞を獲った今のうちならペーパーバックを扱う古本屋でいくらかにはなると思っているんだけど(笑)。

そのあとで読みたくて温存しているのがこの本。

僕が20代の頃から長らくNHKラジオ英会話のテキスト上で作家・翻訳家の駒沢敏器さんが連載していた「Small Town Talk」が書籍化されたものだ。アメリカ文化に造詣が深いと言えば語感が硬いが、僕と同じアメリカがすきな人だったのだろうと思う。

この本は僕も住んでいたようなアメリカの田舎の小さい町を彼が巡って綴ったエッセイ集。書籍化にあたってこのような面白くないタイトルになってしまったのが悔やまれるが、英会話のテキストでそこそこ読んでいるから内容は折り紙付きだ。

ブログに書こうとアマゾンで調べたら文庫本なのになんと中古で3000円している。でもこの本は大切だから売れないな。ずっと持っていたい一冊だ。

なぜここまで高騰しているかと言うと、絶版になっているから。なぜ絶版になっているかと言うと、おそらく著者が数年前に自ら命を絶っているから。享年51歳。今調べたら2012年のことだった。当時は驚いた。

ラジオ英会話講座の連載で彼の文章を知ったが、その頃はまだそれほど作品を出版していなかったと思う。修論を書いていたWindows95でデスクトップで彼の名前を検索したら草思社という出版社の簡易なウェブサイト上で『58号線の向こうへ』という連載をされていたので、それをむさぼるように読んだ。

58号線なので沖縄の物語。だが、焦点を当てるのは米軍がもたらした文化と混ざり合った沖縄の姿。今僕が年に何度も沖縄を訪ねるその好奇心の背景にあるものと同じ。

全何回の連載だったかは忘れたが、基本的に一回につき1エピソードの形で連載されていた。連載が終わって僕も読み終えてしばらく経った頃だった、久しぶりに好きなエピソードを読みたいと開いたら、連載の家一階分が欠番になってテキストが表示されなかった。たしか、米軍の仕事の関係か何かで沖縄に渡ってそのまま当地の教会の牧師さんになられたアメリカの方のエピソードだったと思う。

そのエピソードで描かれた方との間で、何か許可がとれていなかった事柄があったのか、その他の理由か。

その連載もまた『アメリカのパイを買って帰ろう: 沖縄58号線の向こうへ』という、内容を十二分に引き出せていない凡庸なタイトルの単行本になったのに加え、出版社は草思社ではなく日経BPに替わっていた。何があったのだろう。

日系BP社には学生時代の5つ上の先輩が働いている。同窓会つながりでたまに彼の名前を聞くことはあるが彼のことは非常に嫌いだったので、特に個人的な交流はない。物知り自慢の男で、よくサブカル界隈の雑談をみんなでしている時に「〇〇のこと知ってるなんて、やるじゃん」と上から言ってくるのが嫌いだった。自慢じゃないが、硬軟取り混ぜた知識の幅は僕の方が彼よりも圧倒的に広い。

5年や10年早く生まれたくらいでは、知識量なんてそんなに変わらない。重要なのは、どれだけの濃さの一年一年を重ねたか。

脱線した。

この『アメリカのパイを買って帰ろう: 沖縄58号線の向こうへ』、ウェブの時に全部読んでいたので書籍は要らないとは思っていたが、ある時草思社のウェブ上では見られなくなっていたのを発見したので一冊購入しておいた。これも当然、今は中古で4000円程度まで高騰している、が、売らない。中身は知っているので敢えて読んではいない。おそらく欠番になったエピソードは端折られたままなんだろう。

表題の作品と二冊一緒にいつか旅に持って行って、滞在先で読もうと思っている。できればアメリカ南部をのんびり旅行している時がいいですね。

彼の作品をもっとたくさん読みたかったのになぁ。


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