さて、日本ではオリンピックの無観客開催が現実味を帯びてきました。
「なぜオリンピックだけ観客を多く入れられるんだ」といままで散々言われる中ムリヤリ推し進めてきたのを、今さら
「無観客もやむ無し」
と言うのは納得いかない部分もありますが、、
そこに乗っかれ、とばかりに、オリンピック組織委員会 元会長の森喜朗氏やIOCのバッハ会長が
「私達は元から無観客でもいいと思っていた」
という旨の発言をしているとのこと。
この発言を「選手のために、まずは開催することを第一にする」という「アスリートファースト」として捉える向きもあるようですが、そこには疑問があります。
森氏はともかく、バッハ氏は間違いなく
「放映権ファースト」
でしょう。
無観客でもテレビ放映さえ出来れば、IOCは無観客でも収入か減ることはありません。
森氏も、自身のライフワークである「スポーツ発展」のため、アマチュアスポーツへのIOCからの補助金を考えてのIOC寄りの発言かと思われます。
IOCは無観客でも全く困りません。
では、無観客となって1番困るのは誰か?
それは東京都であり、日本国です。
海外からの来日もなく、そのうえ無観客開催となれば東京都や日本が得る収入は「ゼロ」です。
莫大なお金をかけて開催するのに、ホストタウン・ホスト国は収入ゼロ。
政府は「それだけはなんとしても避けたい」と、観客を入れる事を強行しようとしていたのでしょう。良い見方をすれば「国益」をなんとかして守ろうとしている、ともとれます。
それだけホスト国にとって重要な「観客のありなし」について、上記のIOCバッハ会長、森会長の発言が、いかに自分勝手であり無関心・無慈悲かを物語っていると思います。
こう書いてみると、観客を入れる事を良しとしているかのようですが、もちろん私も無観客は今の状況では当然と思っています。
ただ、無観客とした場合の東京都・日本の不利益の事も考える必要はあると思うのです。
なぜなら、収入のないオリンピックの負債は「私達の税金で払う」しかないから。
IOCはオリンピックの主催者です。契約内容がどのようになっていたとしても、本来なら主催者は最終的な責任を負うべきです。
開催都市と国が全ての責任を負わなければならず、今回のような非常事態でも主催者は一切責任を負わないのであれば、やはり
オリンピックというイベント自体に問題がある
と私は思います。
コロナウイルス、特にワクチンとデルタ株の関係に注目して、ワクチン接種が進みながらデルタ株が拡大しているイギリスの新規陽性者数を毎日チェックしています。
7月6日の陽性者数は 28773人。
昨日は 27334人、一昨日は 24885人。増加傾向は続いているようです。
明るい話題としては、同じく接種が進んでいるイスラエルから
ワクチンを2回接種すると、死亡率・重症化率は90%近く抑えられる
と報告が出たこと。
これはイギリスでも同様で、陽性者率は増えているものの死亡率・重症化率は低いままで、イギリス政府は6月の経済活動制限の解除こそ延期したものの、7月に解除する方針は変えないそうです。
重症化率が低く医療機関への負荷が低い状態を保てているため、
「コロナウイルスとの共存」
を目指す事を基本方針にしているとのこと。
イギリス政府は今年の秋・冬にはインフルエンザの大流行があると見ており、
秋・冬を経済活動制限なしに越えることは難しい
と今から見通しているそうです。
このまま制限を続けることは経済的に厳しいので、学校も休みとなる夏の間に解除し、その間に学生や若者へのワクチン接種を行い、デルタ株特有の「若者への感染」を防ぎ、学校再開後の校内感染を防ぐ方針。
その後、秋のインフルエンザ流行しだいでは「コロナワクチンとインフルエンザワクチンの二刀流」で可能な限りコロナとインフルエンザ両方の流行を押さえ込む、という方策だそうです。
その政府方針に専門家からは「見通しが甘い」「過去の経験を踏まえれば制限は続けるべき」といった意見も多く出ているとのこと。
確かにイギリス政府の見通しは甘い部分もあるように感じますが、私はこの話を聞いて、
これが政府の対策というものだな
と感じました。
日本のように行き当たりばったりではなく、年間を通しての見通し・計画をたてる。
「秋・冬の再感染拡大は避けられない」などマイナスの情報も隠さず政府自ら発信する。
ウイルス学や医療の専門家は自らの意見をはっきりと発信し、その意見と経済のバランスを見て政治家と政府が判断する。
きっと見えない悪い所は沢山あるだろうし、このイギリス政府の対策がうまくいくかはわかりません。でも、政府・政治家がちゃんと役割をこなしていることに羨ましさすら感じます。