「シュレーディンガーの猫を正しく知れば この宇宙はきみのもの 上」 保江邦夫 (著) さとうみつろう (著) より 抜粋
こちらの本の中で このお方凄いなと思った物理学者さんは イギリスの物理学教授 ポール・ディラック教授
こちらの著書の中で 保江先生も大好きとおっしゃっています。
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相対論的効果まで入れなくてはいけないとなると シュレディンガー方程式は使えないので、物理学者たちは困っていた
そこにディラックは、シュレディンガー方程式を拡張した、そして相対性理論の要請を満たしている新しい波動方程式を提唱しました。
それが、今の素粒子論のディラック方程式と呼ばれているものです。
クォークもディラック方程式を満たしています。素粒子論というのは、相対論的なスピードで素粒子がすごい勢いで飛び交っている状況における話ですから、残念ながらシュレディンガー方程式は使えなかったわけです。
ディラック方程式は相対論的で、さらに電子のスピードが遅いときはシュレディンガー方程式になるのです。
もちろんノーベル賞を取りましたが、この方程式の何がすごいかというと、それまで電子の自転によると思われていたスピンが、そうではないということがわかったことです。
どういうことかというと、それまでの波動関数、つまりシュレディンガー方程式の解である波動は、値が複素数です。
ところがディラック方程式は、その複素数が四つ並んだものなのです。
1行4列の行列で、それをスピノールと呼び、それによって初めて、電子が持っているスピンという概念が本質的に何かということまでもがわかったのです。
そして相対性理論を量子力学の波動方程式に矛盾なく活かすとディラック方程式になって、ディラック方程式は4成分がないと矛盾が起きる。
ですから、4成分がじつは、電子のスピンを表しているということなのです。
それまでは、パウリが意図的に2成分のシュレディンガー方程式をパウリ方程式と呼び、2成分の複素数で表していました。
だから右回り1、左回り1。
ところが、それでは相対性理論の要請を満たさないので、ディラックが、「相対性理論を満たすためには、シュレディンガー方程式の形は4成分になっていなくてはいけない」と気づいたのです。
それで二つが2成分ずつに分かれ、4成分になったのです。
なぜそれぞれに2種類があるのかというと、じつは電子を陽電子だったわけです。
ですからこのディラック方程式は、陽電子の存在をも記述しているのです。
同時に反物質も、陽電子までも説明していたわけです。
パウリは、とにかくスピンを記述するには2成分でいいとしていた
物質側だけ
当時は、陽電子が見つかったばかりでしたから、着目していなかったのでしょう。
それで、陽電子をどうやって記述しようかという話が起きたときに、相対性理論との矛盾をなくすというディラックの数学的な要請のみで、4成分が出てきました。
さらにそれをいろいろと計算してみたら、4成分のうち、上の2成分は電子のスピンの右回り左回りで、下のほうは反電子である陽電子のスピンの右回り左回りでした。
つまり、スピンの概念と反粒子、つまり電子、陽電子の概念が、まず方程式が相
対性理論を満たすことで、自動的に出てきたわけです。
これがディラックの素晴しさです。
シュレディンガーの考えた量子論的な波動方程式を、アインシュタインの相対性理論と整合性を取るために、方程式は自動的に4成分になるという数学的な条件のみから、スピンも反粒子も出てきた。これがすごいことなのです。
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反物質側
見えない部分を計算で読み解いた瞬間
感動!!!!!