「袖を振っても、
無いものは、無い。」
給料が滞り始めていた。
オレは、ぎっくり腰の治療を理由に休み続け、
給料が出るようになってから、会社に戻ろうと思った。
すでに、1ヶ月と半分、無給で働いていた。
野菜の仕入先の農家や、仲介業者が、
怒鳴り込んで来たのも、目の当たりにした。
支払いが、出来ないことの説明を、
ひと言も、ことわりを入れずに、
先方からの、問合せにも、取り合うことなく、
音信不通状態を続けていたからだ。
陳腐な、笑えねぇ、ドラマだが、
貴重な修羅場のワンシーンを、観させてもらったよ。
誠意の欠片(かけら)も、見いだせなかったね、
奴ら幹部に。
土下座くらいは、芝居がかって、
演るがいいじゃねぇかよ、観たかったんだがねぇ。
この期間に、社員の半分以上が辞め、
バイトも当然、辞めた。
残った社員2名と、
社長に、経理も、商いに出たそうだが、
もう、末期症状だった。
そもそも、仕入れが、出来ない。
かろうじて、野菜を供給してくれる業者もいたが、
満足に支払いができない会社に、
運ばれて来る野菜は、屑野菜だ。
貧すれば鈍する。
今度は、お客さんが、離れていった。
そこで、
今まで、いろんな企業を立ち上げて来たと、
大きく吹いていた、怪しい会長が、
現金を集めようと考え出したのが、
産直野菜のプリペイド商法だ。
先に、現金(おかね)を集めて、
産直の野菜を、頂いた現金以上に、お届けします、と、
現状の机上でも成立しない、
ペテンな荒技に打って出ようとした。
特に、今までの大切なお得意さんや、
高齢者をターゲットにしようとしていた。
もう、馬鹿で、阿呆な、オレでも判るぜ。
休暇中のオレは、
何とか会社を建て直そうと、
嘘のような夢を追って、残っていた社員から、
その話を聞いた。
さすがに、
奴らに、自分で現状を考えてみろ、と、
そのプリペイド商法を辞めさせるか、
すぐに、会社を辞めるように言った。
間違いなく、お得意さんに、被害者が出る。
そんな行為に、加担をするなと言った。
もう、あとは、彼らも大人なんだから、
最後の判断は、彼らがする訳、なんだけれどもね。
オレは、この会社を紹介された、
区役所の窓口に連絡して、
現状を伝え、今後の方策を訊ねた。
その担当者は、事実関係を、
現地まで行って確認をしてくれて、
区役所が斡旋する求人欄から、
その会社の名前は、抹消されたが、
会社自体は、残念ながら、
抹消することは、出来なかった。
こういう事は、事前に、防(ふせ)げず、
被害者がでて、
事件にならないと、
止められない。
資本主義の、資本活動、ビジネスの自由、
というモノらしい。
オレに出来ることは、
そこまでで、もう、残されていない。
残されているのは、
次の、生活の糧のもとを探すこと、と、
この会社の未払金の回収だ。
この未払金の回収の顛末に
ついて、ご興味ある方は、
このブログ内の
○ 「万国の非正規労働者よ団結せよ
その1 勝利」
○ 「万国の非正規労働者よ団結せよ
その2 敗北」
を、ご覧ください。
しかし、よく転がるね、苔むさないもんね。
どうも、上手く、
君が代のようには、行かないようで。
ホントは、
オレって柄じゃないんだけどね。
店じまい、だよ、
今回は、これで、おしまい。
閉店、ガラガラ。
初出 17/09/23 05:01 再掲載 一部改訂
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