心理士の子ども発達支援

発達や療育、教材の紹介

絵カードでジャンケン克服

2020-10-21 11:06:41 | エピソード

ジャンケンに絶対に負けたくないGちゃん。

ジャンケンポンと出した瞬間に「Gちゃんの勝ち~!」と

興奮して勢いよく主張します。

ジャンケンのルールを理解する認知力は、あったのですが

どうしても負けを受け入れたくないようです。

お母さんと私がしてもお母さんの勝ちと言います。


その後も時々ジャンケンを取り入れること4ヶ月、興奮はしなくなったものの、

ジャンケンポンの結果をじっと見て時間をかけて

やはり「Gちゃんの勝ち」と声をしぼり出すように言います。

そこで、グー、チョキ、パーのそれぞれの絵カードを数枚ずつ用意しました。




カードを二山に分けて裏返し、カードでジャンケンを提案するも応じず、

何もしなくても、Gちゃんやお母さんの勝ちと言います。

そこで、私が1人で2枚めくって1人ジャンケン(これは許された)をして、

Gちゃんに「どっち勝った?」と聞くと、「こっち」と勝ったカードを指差すことが出来ました。

私が1人ジャンケンカードを始めて3回目の療育時に

Gちゃんにカードをめくることを提案すると応じてくれました。

そしてついに、認めたくないという表情をしながらも「先生の勝ち」と言い

自分の「負け」を認めることが出来ました。

この時に「こっちの勝ち」と言わず、「先生の勝ち」と言ったことに

Gちゃんの情緒の成長を感じた瞬間でした。

そして、その次の療育時には、カードではなく手でジャンケンをして、

「負け」を認めることが出来ました。

この時Gちゃんは、4歳3ヶ月、もうすぐ年中さんになろうとしていた時でした。

このエピソードは、ジャンケンがきっかけであっただけで、

ジャンケンを習得して欲しかったわけではありません。

集団生活が苦手で偏食も強く、少々こだわりのあるGちゃんの社会性の幅が

広がるといいなあという思いでした。


*しかしながら、ジャンケン絵カードは、ジャンケンのルールが理解しにくい場合や
 
 ジャンケンに自信がないというお子さんにも有効ではありますので、ぜひ使ってみて下さい。
 
*ジャンケンカードは、立派な市販の物もあるようですが、手作りで充分だと思います。