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東西の絶景

2016-05-15 21:11:14 | 美術[た]
「開館30周年記念展 東西の絶景」@静岡県立美術館

 静岡県立美術館が開館30周年ということで、コレクション展を開催中。狩野なんちゃら、円山なんちゃら、下村なんちゃら、横山なんちゃら、伊藤なんちゃら、徳川なんちゃら、佐伯なんちゃら、クロードなんちゃら、ギュスターヴなんちゃら、パブロなんちゃら、などなど、いろんな名品が勢ぞろいしている。


 そんな中、昨日上野で見た伊藤若冲のプライスコレクション《鳥獣花木図屏風》と煮たり酔ったりというか、活用形別バージョンとでもいえる升目描きの《樹花鳥獣図屏風》もさりげなく展示されていた。但し前期だけなので5月15日まで。《鳥獣花木図屏風》の縦167cm×横376cmに比べて《樹花鳥獣図屏風》は縦133cm×横357cmと、ちょっとだけ小ぶりな屏風になっている。出演アニマルズはほぼ同じようなメンバーで構成されていて、正体不明のUMAさんもちらほら。その風貌はアニメチックで目はパッチリ、「ボクかわいいの」「あたしきゅーとよ」って言ってそうなピューロランドに潜んでいそうなやつらばっかり。

 
 升目の塗り方はドット絵のようなぎくしゃくした表現と、升目内を塗り分けたスムーズな表現がごちゃ混ぜになっている。普通ならどちらかに統一しそうなものだけれど。若冲先生の升目描きの定義はいったいどういうものだったのだろう。Jakuchu工房の絵師たちが手分けして塗ったらしいが、その中にめんどくさがり屋がいただけなのかもしれない。でも若冲先生は「なめらかにしなさい」とも「がたがたにしなさい」とも言わずこれでよしとしたのだ。それからこんなにめんどくさい屏風を2種類作成したのはなぜだろう。いい値で売れて味を占めたのか、注文が来ちゃって断れなかったのか。実はもっといくつも制作したけれど現存しないだけなのか。いずれにしても、動植綵絵の精密な画風とはまったく異なる奇妙奇天烈な代物を江戸時代に手がけた若冲はやっぱり凄いヒマ人、じゃなくて、凄いチャレンジャーなのだ。


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