上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。
2025年1月24日に召集された通常国会初日に石破茂首相の施政方針演説が行われたのですが、政府与党がどのような姿勢で国会に臨むのか内閣総理大臣がその姿勢を示すのが施政方針演説なのに、これほど話題にならないのは記憶にないくらいです。
この存在感の無さは岸田文雄首相以下。
うちのブログでも国民民主党に騙されるなや立花孝志と斎藤元彦と石丸伸二の化けの皮カテゴリの記事はアクセス数も多いのですが、この石破茂に騙されるなカテゴリになると途端にガクッと人気が下がって、いいねクリックも増えませんw
たぶん、今回のこの記事も読んでくださる方が少ないだろうし、そもそも日本で石破首相のことをブログで書く人がもう少ない(笑)。
この人が首相じゃ、全然楽しくなりそうもない日本。
それもそのはず、この通常国会で最大の焦点となっているのが選択的夫婦別姓法案と企業・団体献金禁止法案なのに、そもそも石破首相の施政方針演説の中に
「選択的夫婦別姓」
という言葉さえ出てこないんですからね(呆)。
この人は去年の自民党総裁選への立候補表明会見ではこの制度について
「姓が選べず、つらい思い、不利益を受けることは解消しないといけない」
と述べ、その後も総裁選では何度も積極姿勢を見せていたのに、まるで何もなかったかのように完全にシカト、黙殺するとは驚きました。
賛成でも反対でもいいから、まず一国の宰相が自分の意見を言わないと話が始まらないでしょうが、石破総理!
選択的夫婦別姓について「あるべきだと思っている」「やらない理由が分からない」と述べていた石破茂首相が代表質問に「更なる検討をする必要がある」「私の立場から個人的な見解を申し上げることは差し控える」
そもそも、日本の現行の民法は結婚した夫婦はどちらかの姓を名乗ることを定めており夫婦同姓を強制する制度になっています。
これに対して、選択的夫婦別姓制度とは結婚する夫婦が名字を同じにするか、別々にするか自由に選べるようにする制度です。
別姓を強制するわけではなく、同姓でも別姓でも選べるわけです。
1979年に女性差別撤廃条約が採択されると、この制度について各国で導入が進んでおり、夫婦同姓を強制するのはもう世界で日本だけです。
産経新聞が元旦早々1面トップで選択的夫婦別姓制度についてのねつ造「世論調査」記事を発表。【「賛成」16%「反対」49% 小中生2000人調査】という調査の本当の結果は賛成35%、反対30%だった(呆)
そして、いまだに夫婦同姓が強制されている日本では実際には婚姻届を提出した夫婦の95、96%で妻(女性)が改姓して夫側の姓を名乗るという不均衡が生じていて、まさに実質的には女性差別そのもの制度になっていることは明らかです。
日本だって女性差別撤廃条約は批准しているのにこの夫婦同姓強制を温存しているので、国連女性差別撤廃委員会の日本に対する審査が2024年10月17日にスイス・ジュネーブの国連欧州本部で行われて、同委員会は2003年、09年、16年に続き、今回もまた日本に選択的夫婦別姓制度の導入が必要だと勧告したのです。
国際社会の趨勢が選択的夫婦別姓、日本にもそれを求めてきているし、当の石破首相でさえこの夫婦同姓強制制度については
「姓が選べず、つらい思い、不利益を受けることは解消しないといけない」
と言っていたのに、施政方針演説でこの問題がこの世にないかのごとくに無視するとはあんまりじゃないですか。
自殺総合対策が若者や女性の機会を守る対策って、どんだけ最低限のことしかやらんつもりや。
昨年、安倍派など自民党への政治資金パーティを利用した裏金問題が発覚して注目された企業・団体献金の方もひどいですよ。
石破首相もさすがにこの問題に触れないわけにはいかなかったのですが、
「政治資金にしても、選挙活動にしても、重要なことは、有権者に判断材料が正しく提供されることであり、そうした正しい判断材料に基づいて、より幅広い世代のより多くの民意が政治に適切に反映されることです。」
というだけです。
そして、1月22日に石破茂首相(自民総裁)が自民政治改革本部の小泉進次郎事務局長と首相官邸で説明を受けた法案は、総務相が毎年政党ごとに企業・団体献金の受領総額を公表することと、年間1000万円を超える献金については企業・団体の名称や個々の寄付額も明らかにする、というだけなんです。
これが、立憲民主党などが提出する企業・団体献金禁止法案の政府与党の対案だというのですが、石破首相が
「重要なことは、有権者に判断材料が正しく提供されること」
と言いながら、年間1000万円以下の献金については献金した企業や団体の名称や個々の寄付額を公開しなくていいだなんて、全く有権者に情報を与える気がないじゃないですか。
石破構文の不真面目さには心底呆れます。こんな内閣は総辞職しかありません。
国民民主党の悪党ぶりが凄い。
選択的夫婦別姓制度について衆院選の公約にして法案まで出してきた国民民主党の玉木雄一郎代表が、あの産経新聞に「政局的なものにせず丁寧な論議が必要だ」と急に言い出す。政局的なものにしてるのはお前だろ!
編集後記
禁止より公開と言いながら1000万円以下の企業・団体献金は非公開の自民党もひどいが、「有識者による検討」でお茶を濁そうという公明党と国民民主党も最低ですよね。
これで国民に納得しろ、共感しろと言われても無理です。
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政治
2025年1月24日 16:00 日本経済新聞
石破茂首相の24日の施政方針演説の全文は次の通り。
一 国づくりの基本軸
今年は戦後80年、そして昭和の元号で100年に当たる節目の年です。これまでの日本の歩みを振り返り、これからの新しい日本を考える年にしてまいります。
そのためには、我が国の直面する現実を直視しなければなりません。
我が国の生産年齢人口は、これからの20年で1500万人弱、2割以上が減少すると見込まれます。このような中、かつて人口増加期に作り上げられた経済社会システムを検証し、中長期的に信頼される持続可能なシステムへと転換していくことが求められています。
今や、我が国は「人材希少社会」に入っています。年齢や障害の有無にかかわらず希少な人材を大事にする社会づくり、すなわち国民一人一人の幸福実現を可能にする、人中心の国づくりを進め、すべての人が幸せを実感できる、人を財産として尊重する「人財尊重社会」を築いていく必要があります。
加えて、食料自給力、エネルギー自給率が低い現状では、外的な事象に国民生活が大きく影響を受けてしまう懸念があります。より自立した形で国民生活を守ることができるよう戦略的な国家運営が必要です。
新しい日本を創る上で、「サステナブル」で「インディペンデント」であること、すなわち持続可能で自立することを重視しなければなりません。そのため、価値観の転換が必要だと考えます。
故堺屋太一先生の著書によれば、我が国は、明治維新の中央集権国家体制において「強い日本」を目指し、戦後の復興や高度経済成長の下で「豊かな日本」を目指しました。そして、これからは「楽しい日本」を目指すべきだと述べられています。
私もこの考え方に共感するところであり、かつて国家が主導した「強い日本」、企業が主導した「豊かな日本」、加えてこれからは一人一人が主導する「楽しい日本」を目指していきたいと考えております。
「楽しい日本」とは、すべての人が安心と安全を感じ、自分の夢に挑戦し、「今日より明日はよくなる」と実感できる。多様な価値観を持つ一人一人が、互いに尊重し合い、自己実現をはかっていける。そうした活力ある国家です。
外交・安全保障体制、防災立国、感染症対策など危機管理を確立し、賃上げと投資がけん引する成長型経済を実現するとともに、人財尊重を基軸として、楽しさを実現できる、バランスの取れた国づくりを目指します。
二 地方創生2.0、「令和の日本列島改造」の具体化
【令和の日本列島改造】
「楽しい日本」を実現するための政策の核心は、「地方創生2.0」です。これを、「令和の日本列島改造」として強力に進めます。
都市対地方という二項対立ではなく、都市に魅力を感じる方、地方に魅力を感じる方、そうしたお一人お一人の多様な幸福が実現できる場として、都市も地方もその魅力を高めていきます。
かつて、田中角栄元首相の「日本列島改造」では、道路や鉄道といったハードなインフラの整備を起点として人の流れを生み出し、国土の均衡ある発展が目指されました。
「地方創生2.0」は、官民が連携して地域の拠点をつくり、地域の持つ潜在力を最大限引き出し、ハードだけではないソフトの魅力が新たな人の流れを生み出す。新技術を徹底的に活用し、一極集中を是正し、多極分散型の多様な経済社会を構築していくものです。
「令和の日本列島改造」は、5本の柱で、厳しい国際競争の中、日本全体の活力を取り戻すべく進めてまいります。
【若者や女性にも選ばれる地方】
第1の柱は、「若者や女性にも選ばれる地方」です。若者や女性が「楽しい」と思えるような新しい出会いや気づき、そこから生まれる夢や可能性が重要です。
新たな人の流れを太くするため、いわゆる関係人口に着目し、都市と地方といった二地域を拠点とする活動を支援します。地域に継続的に関わる方々が登録でき、地域づくり活動に参加する担い手となっていただける「ふるさと住民登録制度」等の有効性について検討を行い、結論を得てまいります。地域の外の方々がリモートワーク等で地方の取り組みを応援しやすい環境をつくります。
若者や女性が働きやすく魅力ある職場づくりを進めるため、アンコンシャス・バイアス、すなわち無意識の思い込みの解消をはかるとともに、男女の賃金格差の是正を促進する法案を提出します。車座対話の開催や地域に対するサポートを進めることにより、日本全体の機運を高め、取り組みの裾野を広げてまいります。
日本各地で事業を起こそうと考えている若者や女性の方々の声を伺い、起業の障害を解決し、ネットワークの構築を支援する等の取り組みを強化します。
日本全国に約9000社存在する中堅企業や成長志向の中小企業は、地方経済を支える存在です。こうした企業の賃上げを伴う成長投資を強力に支援し、全都道府県での地方版政労使会議の開催等により、最低賃金を含め、地方で賃金が上がっていく環境を創り出してまいります。
暮らしやすいまちづくりには、官民で、AI(人工知能)・デジタル技術を活用し、地方の持続可能な生活インフラを作っていくことが重要です。自動運転の実装加速に向けた制度整備を進めるとともに、電子カルテ等の医療機関での共有、遠方の医療機関まで行かずともオンラインで適切な診療を受けられる体制の整備を進めます。
人口減少下においては、官民が連携した人づくりや公教育の再生・改革により、一人一人が持つ可能性を最大限引き出すことが必要です。そのために大事なことは、教育の内容と質であり、子供たちをどのように育てたいのかを明確にすることです。
知識や能力だけでなく、歴史や文化、地域や周りの人を大切にし、行動する力を有した人材や、大学や農業・工業高校等における観光等の地域の魅力やニーズを捉えた産業やサービスを支える人材を育成します。教職員の働き方改革や給与面を含む処遇改善等を進めます。
これらの取り組みを応援するため、地方公務員の兼業・副業の弾力化、会計年度任用職員の在り方の見直し等により、地域の中の方々が力を発揮できる環境を整備します。国の職員が、課題を抱える市町村に寄り添って、顔が見え、熱が伝わる伴走支援を行う仕組みを新たに始めます。
【産官学の地方移転と創生】
第2の柱は、「産官学の地方移転と創生」です。
まずは、官が一歩前に出ます。防災庁など政府関係機関の地方移転、国内最適立地を推進します。これまでの取り組みを検証し、地方からの提案を改めて募り、日本全体にとって望ましい効果を生み出すのはどこかという視点を踏まえ、順次結論を出してまいります。
「地方創生2.0」では民の力を生かすことが不可欠です。地方創生に取り組む経営者や現場の方々との意見交換を重ね、都市部に立地する企業の本社機能の移転などを実現する環境整備を進めます。
地方でも地域の中核となる特色ある地方大学が育ちつつあります。東京23区内の大学等の定員の抑制を行いつつ、地方大学による実践的な人材の育成を進めます。
【地方イノベーション創生構想】
第3の柱は、「地方イノベーション創生構想」です。地方創生1.0では、優良事例が点の取り組みで終わり、相互に作用し合い面的な広がりにつながる化学変化が起きませんでした。その反省を踏まえ、地方における新結合を通じた新たな産業分野の創造やイノベーションの開花を目指します。
大学・企業・自治体等が連携し、地域にイノベーションの主役を生み出し、地域活性化や社会課題解決を実現するスタートアップとして大きく育てていける環境を整備します。スタートアップ育成五か年計画を強化し、地域における拠点都市の拡充や自治体による調達の促進など、独自性ある取り組みを大胆に支援します。
グローバル、あるいはローカルな様々な社会課題が、その解決に向けたイノベーション、革新的な製品・サービス、新たな市場を生み出す可能性を秘めています。大学や研究機関等の産学連携拠点に対する支援を抜本的に強化します。
世界有数の潜在力を持つ日本の農林水産業・食品産業を、徹底的な高付加価値化により、基幹産業として確立します。これらがもうかる産業となるよう、スマート化・大区画化など生産基盤を強化します。
コメを世界へ輸出するプロジェクトの推進、安定的な輸出入と備蓄の確保などを通じて、食料安全保障を確保します。総合的な林業・木材産業施策として、施業地の集積・集約化やCLT(直交集成板)等の技術開発・普及など、森林資源の循環利用を進めます。水産業の発展のため、水産資源管理を行いつつ、スマート化や海業(うみぎょう)の全国展開を進めます。
新たな重点として、官民連携により文化芸術・スポーツの振興をはかります。その効果的な広報等により地方創生につながる観光産業の活性化を進めます。
海外売り上げで半導体や鉄鋼に肩を並べるエンタメ・コンテンツ産業について、2033年までに海外売上高を5兆円から20兆円とする目標を掲げ海外展開を支援し、クリエーターの方々の育成や安心して働ける環境の整備を含めその発展を強力に支援します。
今年はいよいよ大阪・関西万博が開催されます。明日の世界を担う子供たちに、未来社会への希望を持って、将来について考える機会となることを願ってやみません。
開催国である日本そして各地域が世界との交流を深め、自らの魅力を世界に向けて発信する絶好の機会となるよう、政府として最大限の力を尽くします。多くの方々に御来場いただき、各地を訪ねていただいて、万博と地方創生のシナジー(相乗)効果を実現します。
【新時代のインフラ整備】
第4の柱は、「新時代のインフラ整備」です。GX(グリーントランスフォーメーション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)を支える「新時代のインフラ」を軸として、産業拠点や生活拠点の再配置を促進します。
再生可能エネルギーや原子力といった脱炭素電源、そして水素等の次世代燃料供給拠点を拡大するとともに、その供給網を効率的に整備していきます。脱炭素電源の整備と新たな産業用地や関連インフラの整備を共に促す施策を具体化します。150兆円超のGX投資を呼び込むための成長志向型カーボンプライシングの制度化及び循環経済への移行に向けた法案を提出します。
AIは、今や、国の競争力や社会の豊かさを左右する極めて重要な技術です。イノベーションの加速とリスクへの対応を両立させる法案を提出します。AI、データセンター等をつなぐ情報通信ネットワークを、サイバーセキュリティーを確保しつつ整備していきます。AI・半導体分野に50兆円を超える投資を引き出す環境整備のための法案を提出します。
【広域リージョン連携】
第5の柱として、都道府県域を超えた広域連携の新たな枠組みである「広域リージョン連携」を強力に推進します。
自治体が、他の自治体との縦横のつながりを最大限生かせる最適な体制を築きます。必要な制度改革を進め、自治体同士の広域連携を抜本的に強化します。
三 経済・財政・社会保障
【物価上昇に負けない賃上げ、資産運用立国】
「人財尊重社会」における経済政策にとって、最重視すべきは賃上げです。「賃上げこそが成長戦略の要」との認識の下、物価上昇に負けない賃上げを起点として、国民の皆様の所得と経済全体の生産性の向上をはかっていきます。
33年ぶりの高水準の賃上げとなった昨年の勢いで、大幅な賃上げを促すとともに、最低賃金を着実に引き上げ、2020年代に全国平均1500円という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続けることにより、賃金は据え置きで動かないという縮み志向を過去のものとします。
賃上げができるよう、多くの中小企業に利益を上げていただくためには、取引の上流から下流まで、適切な価格転嫁や生産性向上を実現することが重要です。下請法の改正法案を提出するとともに、自治体等の官公需での価格転嫁を促進します。
賃上げの原資となる生産性の向上への支援を強化するため、各業種の実態に即した省力化投資を進めるための計画を策定し、現場での支援体制を整備します。
人材・経営基盤を強化する事業承継やM&A(合併・買収)を後押ししてまいります。望まない非正規雇用を減らし、同一労働同一賃金を実現するとともに、リスキリング、ジョブ型人事、労働移動の円滑化の三位一体の労働市場改革を強力に進めます。求職者の状況に応じたきめ細かい就労支援を行います。
現在や将来の賃金の増加等を生かした資産形成の後押しも重要であり、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の充実など資産運用立国の取り組みを強化します。
賃上げの効果が出るまでの間にも物価高対策を講じます。地域の実情に応じて、エネルギーや食料品価格の高騰に苦しむ方々、価格転嫁が困難な中小企業、学校給食費への支援等を行う重点支援地方交付金や、低所得者世帯の方々に対する給付金など総合経済対策で決定した施策を迅速に執行してまいります。
【日本経済の活力向上、投資立国】
日本のGDP(国内総生産)は、1994年には世界の18%を占めていましたが、直近の2023年では4%となっています。「今日より明日はよくなる」と実感できる「楽しい日本」となるには、こうした流れを転換し、持続的な成長が必要です。
このため、コストカット型経済から高付加価値創出型経済への移行、「賃上げと投資がけん引する成長型経済」を実現していきます。官民投資フォーラムを開催し、国内投資目標を示し、規制改革の検討を深め、大胆な国内投資促進策を具体化することを通じ、投資立国の取り組みを強化します。
科学技術・イノベーション基本計画の改定を進め、AI、量子、バイオ、宇宙、フュージョン等の戦略分野での投資を促してまいります。
企業が未来に向けた成長投資に更に踏み込むための会社法改正に向けた具体的議論を開始します。長期の企業価値向上に向けた投資家との対話等を通じて、人や技術への投資を進める環境を整えます。
【経済安全保障】
経済安全保障の観点から、我が国の自律性と不可欠性を高めるため、重要サプライチェーン(供給網)の国内回帰・立地促進を含む強靱(きょうじん)化や技術流出対策等の取り組みを進めます。官民が連携し脅威・リスクを分析する経済インテリジェンス機能の強化をはかります。
国、重要インフラ等に対するサイバー攻撃を排除するため、能動的サイバー防御を可能とする法案を提出します。
【財政の健全化】
「経済あっての財政」の考え方の下、成長率の引き上げに重点を置いた政策運営を行うとともに、歳出・歳入両面の改革を継続し、引き続き財政健全化を目指します。
金利のある世界となる中、大災害や有事に備えた財政余力を確保する観点も踏まえ、経済・財政新生計画の枠組みの下、今年の骨太方針において、早期のプライマリーバランス(基礎的財政収支、PB)黒字化実現を含め、今後の財政健全化に向けた取り組みを示します。
【社会保障】
社会保険料は安心のための拠出であり、すべて必要な給付として再分配されます。国民所得に対するその割合は、コロナ禍以前の水準に低下しています。一方で、少子高齢化に対する将来不安があるため、社会保障制度への不安が解消しません。年齢にかかわらず適切に支え合うことを目指す全世代型社会保障の理念にのっとり、改革工程に沿って着実に進めます。高額療養費制度の見直しなどにより、保険料負担の抑制につなげます。
来年度、少子化対策は本格実施の年を迎えます。父母がともに育児休業を取得した際の給付率を手取りで10割に引き上げるとともに、保育士等の配置・処遇を改善します。
コロナ禍の検証を踏まえた万全の感染症対策の実施に加え、入院だけでなく、外来・在宅医療や介護との連携も含む新しい地域医療構想を策定し、地域での協議を促進します。あわせて、医師偏在対策を総合的に推進するための法案を提出します。
年金制度の財政状況は、支え手の増加などにより前回の見直し時に比べ好転しています。今後とも成長型経済の実現に努めるとともに、働き方に中立的な制度とするなど、将来にわたる安心をより確実なものとしてまいります。
単身の高齢者が増加する中、介護体制の整備とともに、生活に困難を抱える方、障害のある方、子育て世帯が、地域の中でつながり、支え合い、共に地域を創っていく地域共生社会の実現を目指します。
旧優生保護法を執行してきた立場として、真摯な反省に立ち、補償金の着実な支給と差別のない社会の実現に力を尽くします。
令和7年秋に日本で初めて開催される東京2025デフリンピックを強力に支援します。
四 防災・治安
【防災・復興】
能登半島地震から1年、復興中の奥能登を襲った豪雨から4カ月が経過しました。復旧・復興への着実な取り組みにより、地震に係る応急仮設住宅は全て完成し、農林水産業や輪島塗の再開も進みつつあります。能登のにぎわいと笑顔を一日も早く取り戻すため、災害廃棄物処理の加速、公営住宅の建設等により被災者の生活・生業の再建を強力に支援します。
「福島の復興なくして、東北の復興なし。東北の復興なくして、日本の再生なし」。引き続き、復興庁が司令塔となり、被災者の生活や産業・生業の再建、福島イノベーション・コースト構想の推進等に取り組みます。
阪神大震災から30年がたちました。その経験・教訓を忘れることなく継承し、災害対策に生かしてまいります。
我が国は、世界有数の災害発生国であり、平時の備えにより被害の最小化をはかるとともに、発生時には(国際基準の)スフィア基準を踏まえた環境を迅速に提供する必要があります。こうした国家の責務を果たすため、災害対策基本法等の改正案を提出し、被災地での福祉支援やボランティアとの連携を推進します。豪雨等の災害の発生予測を高度化し、情報発信を強化します。
防災対応の司令塔として防災監を内閣府に設置するとともに、内閣府防災担当の機能を予算・人員の両面から抜本的に強化します。その上で、防災庁を令和8年度中に設置するべく、準備を加速します。
今後30年以内に、首都直下地震は70%程度、南海トラフ地震は80%程度の確率で発生するとされています。被災の地域や規模が予想できる大規模災害に対しては、自治体間の支援・受援の組み合わせの事前決定、支援物資の計画的備蓄など、事前防災を一層具体化してまいります。
防災・減災、国土強靱化を着実に推進します。令和8年度からの実施中期計画については、施策の評価や資材価格の高騰等を勘案し、おおむね15兆円程度の事業規模で実施中の五か年加速化対策を上回る水準が適切との考えに立ち、本年6月を目途に策定します。人命・人権最優先の防災立国を構築し、世界一の防災大国にしてまいります。災害対策の知恵や技術を海外に発信し、世界の防災に貢献するとともに、新たな産業の柱にいたします。
【治安】
犯罪は長期的に減少傾向にありますが、多くの国民が治安の悪化を感じています。「闇バイト」による強盗・詐欺、巧妙なサイバー犯罪等が後を絶たず、女性が悪質ホストクラブに搾取される問題も生じています。犯罪対策を強力に推進し、「世界一安全な日本」を実現します。
匿名・流動型犯罪グループに対し、仮装身分捜査等により検挙を徹底いたします。「闇バイト」の求人情報の削除の促進、SNS等での若者向けの注意喚起、防犯カメラの整備の支援等を進めます。
学校と連携したサイバー防犯指導、官民連携でのサイバー攻撃対処訓練等を推進します。また、悪質ホストクラブへの規制を強化する法案を提出するとともに、性暴力、DV(ドメスティックバイオレンス)、虐待等を防ぎ、被害者支援を推進します。
五 外交・安全保障
間もなく4年目を迎えるロシアによるウクライナ侵略。我が国周辺での中国・ロシアの軍事活動の活発化。北朝鮮による核・ミサイル開発。戦後最も厳しく複雑な安全保障環境において、我が国の独立と平和、人々の暮らしを守り抜くためには、バランス・オブ・パワーに常に最大限の注意を払い、我が国自身の能力を高める、日米同盟を更なる高みに引き上げる、同志国との連携を更に拡大・深化する、こうした取り組みを進めなければなりません。
同時に、彼我の誤解・誤算を避けるために、関係国との緊密な意思疎通を重ねることが死活的に重要です。
防衛力は我が国の安全保障の最終的な担保です。我が国への侵攻に自らが主たる責任をもって阻止・排除する能力を保有し、もって我が国への侵攻自体を抑止することを主眼に、国家安全保障戦略等に基づき、防衛力の抜本的強化を着実に進めます。シェルターの確保等を着実かつ早急に進めるなど、国民保護の取り組みを強化します。
自衛隊の人的基盤の強化に取り組みます。自衛官が十分に充足されていないことは極めて深刻な課題です。30を超える手当等の新設・金額の引き上げなど過去に例のない取り組みを令和7年度から実現します。自衛官の処遇の魅力向上、若くして定年退職を迎える自衛官が退職後も活躍できる環境の創出等を内容とする法案を提出します。
基地負担の軽減、駐留に伴う諸課題の解決に引き続き取り組みます。昨年末、大浦湾側の地盤改良工事に着手することで、普天間飛行場全面返還の実現に向け大きく前進しました。引き続き、着実に工事を進めてまいります。また、沖縄振興の経済効果を十分に域内に波及させ、それを実感していただくため、地元事業者の成長や県産品の活用に配意し、沖縄経済の構造改革に向けて支援を継続します。
日米同盟は我が国の外交・安全保障政策の基軸です。地域におけるパワーバランスが歴史的変化を遂げる中、力の空白が地域の不安定化につながることのないよう、日米の協力を更に具体的に深化させ、合衆国の地域へのコミットメントを引き続き確保しなければなりません。
また、日米豪印、日米韓、日米比を含め、地域における安全保障の重層的なネットワークを構築し、自由で開かれたインド太平洋を強化する上では、日米のリーダーシップは不可欠です。その際、我が国は同盟国として責任を共有し、応分の役割を果たさなければなりません。
来たるべき日米首脳会談においては、トランプ大統領との間で、こうした安全保障や経済の諸課題につき、認識の共有をはかり、一層の協力を確認し、日米同盟を更なる高みに引き上げたいと考えます。
韓国は国際社会の諸課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国です。内政上の動きはありますが、現下の戦略環境の下、日韓関係の重要性は変わりません。韓国側とは、引き続き、国交正常化60周年を含め、緊密に意思疎通してまいります。
年頭にはマレーシア及びインドネシアを訪問し、先日はラオス首相をお迎えしました。国際社会が対立と分断を深める中、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国との関係強化は、我が国のグローバルサウス外交の観点からも、最優先事項の一つです。今後とも、海洋安全保障、災害対応、脱炭素化等につき実務的な協力を進めてまいります。
対ウクライナ支援、対ロ制裁を今後とも強力に推し進めます。
中国との関係では、懸案や意見の相違につき、主張すべきことは主張する、その上で、協力できる分野では協力していく、そうした現実的な外交を行ってまいります。
価値を共有する同盟国・同志国との確固たる連携を大前提とした上で、中国の安定的発展が地域全体の利益となるよう、習近平(シー・ジンピン)主席とも確認した、「戦略的互恵関係」の包括的推進、「建設的かつ安定的な関係」の構築という大きな方向性に基づき、今後も首脳間を含むあらゆるレベルで中国との意思疎通をはかってまいります。日中韓の枠組みも前進させます。
日ロ関係は厳しい状況にありますが、我が国としては、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持します。
拉致問題は、単なる誘拐事件ではなく、その本質は国家主権の侵害です。拉致被害者や御家族が御高齢となる中で、時間的制約のある、ひとときもゆるがせにできない人道問題であり、政権の最重要課題です。日朝平壌宣言の原点に立ち返り、すべての拉致被害者の一日も早い御帰国、北朝鮮との諸問題の解決に向け、断固たる決意の下、総力を挙げて取り組んでまいります。
気候変動、軍縮不拡散といった地球規模の課題、各地の人道状況にも、引き続き正面から取り組みます。ガザ傷病者への医療支援を早期に実現すべく、関係国等との調整を進めてまいります。
私は、年頭の外国訪問において、LNG(液化天然ガス)の安定供給に向けた協力、脱炭素化に向けたアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)を通じた連携を確認しました。資源外交を引き続き強力に推進します。
六 政治改革
戦後80年は民主主義を考える年でもあります。政治改革の課題について結論を得るのは我々政治家の使命であり、民主主義をどのように支えるかについての議論が重要です。
国費による助成、企業団体や個人からの資金、そして政治家本人からの支出、それらのバランスはどうあるべきか。国費による助成を受け、原則として非課税であるという特別な扱いを受ける以上、それにふさわしい政党や政治団体としての規律の在り方をどのように考え、また、その規律をどのように担保していくか。そのための法制度の在り方も含めて、与野党の枠を超えて議論を深めていきたいと考えます。
民主主義の根幹である選挙についても、課題があります。
選挙活動について、これまで想定されなかったことが起き始めており、それらを踏まえた議論も求められています。民主主義は、多くの意見が健全な言論の場において戦わされてこそ成り立つものであり、それが担保される必要があります。
政治資金にしても、選挙活動にしても、重要なことは、有権者に判断材料が正しく提供されることであり、そうした正しい判断材料に基づいて、より幅広い世代のより多くの民意が政治に適切に反映されることです。それが国民主権の本質であり、今の選挙制度がそれにふさわしいものなのか、約30年の歴史を踏まえ、改めて党派を超えた検証を行い、あるべき選挙制度を議論していきたいと考えます。
七 憲法改正等
今年は戦後80年の節目の年となります。国民の意識や国際情勢の変化を踏まえ、国のかたちを定める憲法のあるべき姿について、主権者である国民の皆様に案を示すのは、我々国会議員の責務です。国会による発議の実現に向け、今後、衆議院及び参議院に設置された憲法審査会において建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めていただくことを期待します。
皇位の安定的な継承等は極めて重要であり、とりわけ皇族数の確保は喫緊の課題です。国会において、早期に「立法府の総意」が取りまとめられるよう、積極的な議論が行われることを期待します。
八 結語
昨年の所信表明演説に引き続き、本施政方針演説におきましても、石橋湛山元首相の言葉を引いて、結びとしたいと存じます。
石橋湛山元首相は、昭和32年の演説会で国会の運営の正常化、政界及び官界の綱紀粛正、雇用の拡大と生産の増加、福祉国家の建設、世界平和の確立という「五つの誓い」を述べられました。その第一である国会の運営の正常化については、自ら「反省すべき点は十分に反省するが、同時に反対党その他の協力を求め、国会がまっすぐに行くように」したいと表明されました。
昨年の総選挙の結果、約30年ぶりの少数与党となりましたが、比較第1党として、自由民主党は、公明党とともに、今の、そして次の世代の国民の皆様に対して責任を持つ、責任与党でなければなりません。
党派を超えた合意形成をはかるため、臨時国会に続き、与党、野党ともに、責任ある立場で熟議し、国民の納得と共感を得られるよう努めることが必要です。
多様な国民の声を反映した真摯な政策協議によって、より良い成案を得るという民主主義の本来の姿に立って、政権運営に当たります。
令和7年度予算や税制改正、さらには社会保障や教育など各分野の施策について、多くの御賛同が得られるよう、説明を尽くしてまいります。各党の御主張も十分に拝聴し、議論を重ねます。中長期的な政策の方向性や制度の持続可能性についても、給付や負担の在り方を含め、真摯に議論してまいります。
国民の皆様、並びに、この場に集う全国民を代表される国会議員の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。
企業・団体献金は政党本部に加え、関連政治団体や政党支部に対するものが認められている上、政治資金収支報告書の提出先も総務省と都道府県選管に分かれているため、全体像がつかみにくい。改正案では総務相が企業・団体献金の受領額を政党ごとに集計し、透明性を高める。
一方、改正案には労働組合を含む企業・団体が献金したり政治資金パーティー券を購入したりする際、「構成員の意思が尊重されるよう必要な配慮がなされなければならない」などとする理念規定も盛り込む。自民は立憲民主党が労組関連の政治団体から献金を受けていると問題視しており、立民をけん制するのが狙いだ。
石破茂首相(自民総裁)は22日、自民政治改革本部の小泉進次郎事務局長と首相官邸で会談し、改正案について説明を受けた。関係者によると、首相は大筋で了承した。
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例えが悪いかもしれませんが、アルゼンチンのネオリベ大統領、ハビエル・ミレイも上下両院で与党が少数です
自説を妄信し異論を拒絶する極端なナルシストで、流石トラ公の弟分って感じですが、なぜか海外メディアにサクラを作るのが上手く、CNN、BBCなどに「たった1年でインフレ率も財政赤字も劇的に改善、国民からも高支持率」とやや事実と違う飛ばし報道、提灯報道をさせてるようです(笑)
ミレイの暴政は「政策への過信」と「岩盤支持層」があるから可能なんですが、石破みたいに「支持しないけど辞めなくてもいい」なんて世論になる指導者は日本はおろか世界を振り返っても前例を思いつきません
「そりゃ繋ぎなんだから辞めさせられないだけだろ」と言う人も多いですが、有力な後継がいるぐらいなら先にその人が総理になってますよ
ことに全く再編の進んでない今の国政では、「抑え」がいないもんだから「中継ぎ」の石破が延長戦まで投げ続けることもあり得ます