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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

初のマタハラ実態調査で派遣社員の半数が被害!正社員の倍!女性を守る最高裁判決と法律を解説します。

2015年11月12日 | 絶対ハズレなし!超お勧め映画!!

 

 正社員でも5人に1人以上がマタニティハラスメント被害を受けているという状況は本当に深刻です。

 厚生労働省は2015年11月11日、妊娠や出産をきっかけに解雇や嫌がらせなどをうけるマタニティハラスメントに関する初の実態調査の結果を発表しました。

 この調査では、

「マタハラの経験がある」

と回答した女性は派遣社員が48.7%と最も多く、21.8%だった正社員の倍でした。

 マタハラを経験した派遣社員のうち27%が妊娠を理由に契約打ち切りや労働者の交替を経験したと回答しました。

 また、上司などから「迷惑だ」「辞めたら」といった嫌がらせの発言を受けたケースは派遣社員の32%にのぼり、特に雇用の不安定な派遣社員が被害に遭いやすい実態が明らかになりました。

 

 うちからリンクさせていただいている佐々木亮弁護士が警告していた通りの実態ですね。

ハケンとマタハラ、混ぜるともっとキケン!~派遣法改正案は女性労働者の敵

 それにしても、使う側からは便利に使われているからこそ、派遣労働者が断然マタハラを受けわけで、

「ハケンのくせに!」

という舌打ちが聞こえてきそうな悲惨な実態です。

2015年3月30日に発表されたマタハラ白書から、マタハラを受けた186人が答えたマタハラの加害者。

 

 

 契約社員の方は契約期間が短いし、パートの方はもともと状況に応じて仕事をしたり辞めたりするのが前提でその形態を選んでいる方も多いので、マタハラを受けるまでもなく仕事を辞めてしまうのかもしれません。

 労働者派遣法が改悪されたばかりなんですが、今後一体どうなるのでしょうか。

 こんなんだと、少子高齢化対策だとか、アベノミクス新3本の矢「希望出生率1・8の実現」なんて、夢のまた夢だよ!

アベノミクス新3本の矢「希望出生率1・8の実現」って、結婚願望と出産希望が全部実現するってことだった!

 

 そもそも、産む権利も産まない権利も、憲法13条の幸福追求権で保障される自己決定権の重要な内容の一つなのが、いろいろな意味で全く浸透していません。

日本国憲法13条

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

労働者派遣法「改正」は派遣労働者も正規社員も他の非正規社員も全員を不幸にする!

派遣社員誰もがハケンをやりたくてやっているわけではない。

厚労省 平成26年度 労働経済の分析より

 


 さて、マタハラ=マタニティーハラスメントとは、妊娠や出産、育児を理由とした退職強要や降格などの不利益な取り扱いを指します。

 最高裁は2014年10月23日

「妊娠による降格は原則禁止で、女性が自由意思で同意しているか、業務上の必要性など特殊事情がなければ違法で無効だ」

という初の判断を示しています。

 この判決もあって、厚生労働省は是正指導に従わない悪質な事業主の実名を公表するなど指導を強化しているところです。

 この事件では、原告の女性は病院の副主任(管理職)として働いていましたが、妊娠をしたことから、妊娠中の軽易業務への転換として、業務が軽い部署に異動することになりました。 



 ところが、異動先では、副主任(管理職)を解かれ、非管理職の職員に降格させられてしまい、それに伴い管理職の地位や手当等がなくなりました

 しかも、原告は育児休業を終えて職場復帰した後も、副主任に復帰することはできず、非管理職の職員としての勤務を続けざるを得なかったのです。

 このような事案につき、最高裁は、 女性労働者につき、妊娠、出産、産前休業の請求、産前産後の休業又は軽易業務への転換等を理由として解雇その他不利益な取扱いをすることは、男女雇用機会均等法(「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」) 9条3項に違反するものとして違法であり、無効であると述べました。 

 その上で、本件の降格については、同法1条、2条、9条3項 の目的や趣旨を重視した具体的な判断基準を示し、本件の会社の行った措置が、同法9条3項の禁止する取り扱いに当たらないと判断した原審の判断には法令の解釈を誤った違法があるものとして、原判決を破棄し、原審に差し戻しました。 



 このように、男女雇用機会均等法など各種法律が、事業主にこうした不利益を労働者にもたらす取り扱いを禁じています。

 男女雇用機会均等法は、女性労働者につき、妊娠、出産、産前休業の請求、産前産後の休業その他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはならない旨を定めています(同法9条3項)。 

 そして、妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、原則として無効になるものとされています(同法9条4項)。

editorさんより、年々増加するマタハラに加え「マタハラ合法化法案」である派遣法改悪狙う「安倍マタハラ政権」は女性労働者の敵



 次に、基本法である労働基準法では、産前産後の休業として、会社は、6週間(多胎妊娠の場合にあつては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならないものとされています(65条1項)。

 また、会社は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない(産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない)とされています(65条2項)。 

 さらに、産前産後の女性が上記の規定によって休業する期間及びその後30日間は、当該女性を解雇することが原則として禁じられており,これに違反した場合には罰則が定められています(19条、119条)。 

 そして、会社は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならないことも規定されています(同法65条3項)。

 また、育児・介護休業法(「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」) では、一定の要件を満たした場合には、1歳に満たない子につき、会社に申し出ることにより、育児休業をすることができるものとされています(5条)。

 そのうえで、会社は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとされています(10条)。

 

最高裁判決後、判決文を発表する支援団体。

 

 

 というわけで、妊娠中、もしくは妊娠を考える女性の皆さん、そのパートナーの皆さん。

 泣き寝入りしないで!自分らしく生きる方法は必ずある。

 そして、経営者や上司や同僚の皆さん。

 ご自身の言動が違法かもしれない、罰則があるかもしれないということを忘れないでください。

 

参考

NPO法人 マタハラ対策ネット

東京都 2015年版働く女性と労働法(ダウンロードできます)

厚労省 STOP マタハラ!~妊娠したから解雇は違法です~

 

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男女雇用均等法

第一条 この法律は、法の下の平等を保障する日本国憲法 の理念にのつとり雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図るとともに、女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進することを目的とする。
 
第二条 この法律においては、労働者が性別により差別されることなく、また、女性労働者にあつては母性を尊重されつつ、充実した職業生活を営むことができるようにすることをその基本的理念とする。
2  事業主並びに国及び地方公共団体は、前項に規定する基本的理念に従つて、労働者の職業生活の充実が図られるように努めなければならない。
 
第九条 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
 
2  事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
 
3  事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項 の規定による休業を請求し、又は同項 若しくは同条第二項 の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
 
4  妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。



派遣労働者って、本当に使う側に「便利」でないと意味がない、って扱い。

大変なんですね。。。

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初のマタハラ実態調査 派遣社員の半数近くが被害

11月12日 3時57分 NHK


 
妊娠や出産を理由にした職場での嫌がらせ、マタハラ=マタニティー・ハラスメントについて、厚生労働省が行った初めての実態調査の結果、派遣社員では半数近くが被害に遭っていたことが分かりました。
 
この調査は、妊娠や出産をした女性への職場での嫌がらせ、マタハラの実態を把握するため、厚生労働省がことし9月から先月にかけて25歳から44歳の女性を対象に行ったものです。

このうち、マタハラの被害に遭った人に内容を複数回答で尋ねたところ、「迷惑」とか「辞めたら」と言われたが47%と最も多く、解雇されたケースは20%、退職や非正規雇用への転換を強要されたという回答も15%に上りました。

マタハラの被害に遭った割合は、派遣社員が最も高く48%と半数近くに上ったほか、正社員は21%、契約社員は13%、パートは5%でした。

また、誰からマタハラをされたかは、直属の男性上司が最も多く19%、直属の女性上司が11%、男性の同僚・部下は5%、女性の同僚・部下は9%でした。

こうした調査結果は、12日に開かれる厚生労働省の審議会で示され、マタハラの防止対策を企業に義務づけるよう法律を改正する方向で、議論が進められる見通しです。

 


 「育児休業が取れない」「妊娠したら解雇された」。妊娠や出産をきっかけに不当な扱いを受けるマタニティハラスメントが働く女性を苦しめています。
 「夫が遅いときは、私が2人を連れて帰る」(マタハラ被害 Aさん)

 都内に住む2人の子どもがいるAさん(39)。5年前、派遣社員としてIT関係の仕事をしていたとき、マタハラにあいました。

 「『体調が悪くて休んだりしてもいけないので、どうなるか分からないので契約を短めにしませんか』と提案された」(マタハラ被害 Aさん)

 派遣元の会社に妊娠を報告すると、返ってきたのは「契約期間の短縮」でした。さらに、育児休業について相談をすると、会社からは就業規則を理由に「育休は取れない」と説明されました。

 「会社の就業規則より、法律の方が強くないですかと言ったが、最終的に偉い人が出てきて・・・」(マタハラ被害 Aさん)

 育児休業を求めるAさんに、会社は思わぬ言葉を突きつけました。
 「育児休業は前例がないし、前例を作るつもりもない」

 「『前例がないなら1回目になるのは、だめですか?』と再三言ったが、『前例を作るつもりがない』と。言い返す気力が無くなって『分かりました』と言ってしまった」(マタハラ被害 Aさん)

 その後、Aさんは、育休を取れないまま、雇い止めとなりました。このようなマタハラの実態について、厚生労働省は12日、初の調査結果(速報値)を公表しました。マタハラを経験した女性は、派遣社員では48%と2人に1人の割合で、正社員では21%、契約社員では13%でした。被害は、Aさんのような派遣社員について、特に深刻で、そのおよそ3割が妊娠を理由に契約の打ち切りにあっていました。

 非正規の社員が育児休業を取るには法律上、「子どもが1歳になった以降も雇用が続くことが見込まれること」などの要件があります。「マタハラ対策ネット」は、これらの要件がマタハラ被害を生じやすくしていると指摘します。

 「非正規は育休が取れないと企業側が思い込んでいる。だから妊娠した時点で『辞めれば』となって、妊娠報告時点でのマタハラが多い。産休、育休で長期休みを取る、子どもの突然の発熱で急に休んだりする働き方を企業が受け止められないかぎり、いつも人を切っていくことになる」(マタハラ対策ネット 小酒部さやか代表)

 「マタハラ対策ネット」は署名活動などを通じて制度の見直しを求めていて、厚労省もマタハラの防止に向けて、非正規の女性が育児休業を取りやすくなることなどの法改正を検討しています。

 マタハラ被害を受けたとき、お腹にいたAさんの長男は5歳になりました。

 「これからの人が同じようにつらいままだと、子どもは多分増えない。みんな平等に子どもができたら、育休が取れて、同じ条件で産み育てられるようになったらいいな」(マタハラ被害 Aさん)

 【マタハラ対策ネット】
www.mataharanet.org
(TBS 11月12日 14:32)
 

 

 「マタハラ白書」で被害実態明らかに 女性上司からも暴言「堕ろすのは簡単。十数えれば終わる」

投稿日: 2015年03月30日 19時10分 JST 更新: 2015年03月31日 08時00分 JST ハフィントンポスト

MATAHARA

働く女性が出産や妊娠をきっかけに、職場で嫌がらせをされたり、解雇や降格などの不当な扱いを受けたりする「マタニティ・ハラスメント」(マタハラ)。その被害女性が中心となって活動しているマタニティハラスメント対策ネットワーク(マタハラNet)は3月30日、厚労省で会見、マタハラの実態を調査した「マタハラ白書」を発表した。

それによると、マタハラが長時間労働によって引き起こされていることや、マタハラ加害者は男性ばかりではなく女性の上司や同僚も多いことがわかった。マタハラNetの代表で、3月にアメリカ国務省が選ぶ「世界の勇気ある女性賞」を受賞した小酒部(おさかべ)さやかさんは、「この調査結果を企業は受け止めてほしい」と話した。

■「小さな企業だからマタハラが起こる」というイメージは誤り

「マタハラ白書」の調査は被害者の実態を可視化するために行われた。調査期間は1月16日〜26日、マタハラNetのサイト上で調査し、被害者186人から回答があった。雇用形態別では正社員が7割、非正規社員が3割だった。マタハラを受けた年齢は20歳から45歳までで、29歳から39歳までの人が多い傾向にあった。

社員規模別に見ると、「10人〜100人」規模で約32%、「100人〜500人」規模で約19%、「1000人以上」約13%で、大企業であってもマタハラは行われていた。中には東証一部上場企業も約19%あったという。「マタハラが行われる企業は規模を問わないというイメージがあるが、上場企業も19%入っています。企業の皆様にはこの数字を受け取ってほしい」と小酒部さんは話した。

また、職場環境については、「残業が当たり前で8時間以上の勤務が多い」が約38%、「深夜に及ぶ残業が多い働き方」が約6%と、合わせて44%となっており、長時間労働がマタハラの温床となっていることがうかがえた。有休取得率も良いとはいえず、「毎年1日〜2日しか取得できなかった」が約22%、「1度も取得したことがない」が約20%で、合計約42%の人が、産休や育休以前に有休が取りづらい環境に置かれていた。

■ケガや病気の休みは「不可抗力」で、妊娠の休みは「自己責任」という意識

マタハラの加害者は「男性上司」というイメージが強いが、必ずしもそれだけとは言い切れない結果も得られた。最も多いのは「直属男性上司」で30.1%、次いで「人事部」と「男性の経営層」がそれぞれ13.4%だった。

「人事部」がマタハラをするケースについて、「そもそも法律の知識がない会社も多いです。産休、育休中のお給料を会社が出すと誤った考え方をしていたり。悪質なのは、違法だとわかっていた上でマタハラをする企業もあります」と小酒部さん。「相談を受けたある大学4年生の女性は、内定式で経営者から『妊娠しないでください』と言われたそうです。女性は内定を蹴って、その企業への就職を辞めました」

続いて多かったのが「直属女性上司」の12.5%、「女性の同僚」10.3%で、女性の上司や同僚からのマタハラも少なくなかった。女性が加害者の場合は、「妊娠をきっかけに女性の同僚に無視された」、「大事なことを自分の不在時に伝達、教えてもらえなかった」といった事例があった。女性上司からは、「それぐらいで流れる(流産する)ならもともとダメな子よ」「あんまり太るとお産が大変よ、働け」「私は育児休暇を取らなかったけどね」「堕ろすのは簡単。十数えたら終わってるから」など、心ない言葉を言われるケースがあったという。

同じ女性が妊娠した同僚や部下にマタハラをしてしまう事例について、小酒部さんはこう指摘した。

「1週間休むとしても、病気やケガは不可抗力になりますが、妊娠に関連することだと自己責任という捉え方をする会社や社員が多いです。男女関係なく、仕事に穴を空けることが悪という価値観から、マタハラ被害が起こるのだと思います。女性加害者の中にも、ご自身が出産、育児をしている方もいますが、それぞれの女性によってリソースは違う。親御さんが近くにいらっしゃる女性もいれば、地方出身の女性もいる。『私ができたのにどうしてあなたにはできないの』という意識があるのでは」

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マタハラ白書の発表を行う(左から)渥美由喜さん、小酒部さやかさん、圷由美子弁護士


■社内で相談しても7割以上で被害は継続、労働局の対応に不満も

マタハラ被害にあった場合、社内で相談しても「対応せずにそのままにされた」という人が47.5%にのぼった。「余計に傷つく言葉を言われた」人は12.9%、「不利益を強要された」人は9.9%に及び、マタハラを放置されたり、さらに被害が広がってしまったりした人は7割を超えた。

社内だけでなく、労働局に相談したと回答した人は24.7%だったが、その対応に不満を訴える人が多かった。「親身になって相談に乗ってくれたか?」という問いに対して、「不満足」「そのような対応はなかった」と答えた人は58.5%。同じく「解決に導こうと対応してくれたか?」という問いに対しても、64.2%の人が対応に満足していなかった。

「マタハラ白書」の監修を行ったダイバーシティ・コンサルタントの渥美由喜さんは、日本労働組合総連合会が実施したインターネット調査などから、マタハラ被害者は17.5万人に及ぶと推算。「マタハラは単なる被害者の問題でも関わらず、社内だけでなく社外にも拡散していきます。これは企業にとって大きなリスクであり、一件でも起こしてはいけない。誰でも妊娠、出産を経て、働ける、昇進昇格を目指していける職場風土を作る必要があります」と語った。

■セクハラ・パワハラと並ぶハラスメントとして対策を

また、渥美さんは、「マタハラだけではなく、イクメンの男性に対しても、『なんで男のお前が育休を取るんだ』と責められるパタニティー・ハラスメント(パタハラ)や、介護をしている人へのケアハラもあります。最近、そういうファミリー・ハラスメント(ファミハラ)が最近、増えています」と指摘。「ハラスメントをなくす社会を目指す上で、今回のマタハラ白書は有意義だと思います。マタハラをひとつの切り口にして、企業は職場風土改善に取り組むべきです」と話した。

マタハラNetを支援、「マタハラ白書」の監修も行った圷由美子弁護士も、2015年1月にマタハラ被害者の訴えを認める結果となった最高裁判断を受けて、「マタハラが社会問題化し、最高裁判断、通達も出た今、職場のマタハラ対策はセクハラ・パワハラと並び、必須となりました」とコメント。「マタハラ対策は企業にとって、これから大介護時代を迎えるにあたり、要介護者を抱える管理職対策にも通じます。今こそ好機、これをリスク管理の対応にとどめず、むしろ戦略的に、大胆な働き方改革に乗り出すべき」とした。

マタハラNetでは今後、実施したアンケートデータを盛り込んだ「マタハラ白書」の詳細版を書籍として発刊。企業向件研修や立法提案などを引き続き行っていく。

アメリカ国務省から「世界の勇気ある女性賞」に選ばれたことを受けた小酒部さんは次のように語った。

「国務省が出す国際的な賞としては最大のものですが、日本ではあまり知られていません。どうしてかといえば、発展途上国の方が選ばれることが多く、ノーベル賞や芥川賞と違ってすでにある功績よりも、この賞の名前を借りてその活動をより充実させてくださいという賞になっています。私もそのミッションを受けています。そしてこれは、日本企業に課せられたミッションとも思っています。ぜひ、企業の皆さんにマタハラ白書の結果を取っていただき、私たちと一緒にこの問題に向き合っていただけたらと思います」

matahara

「世界の勇気ある女性賞」に選ばれた小酒部さやかさん

 

【マタハラ訴訟】最高裁初の判断に反応まっぷたつ この問題を解決しないと何が起こる?

投稿日: 2014年10月24日 11時37分 JST 更新: 2014年10月24日 11時38分 JST ハフィントンポスト

MATAHARA

妊娠後に降格させられたのは、男女雇用機会均等法に違反するとして、広島市の女性が勤めていた病院側に損害賠償を求めていた訴訟で10月23日、最高裁は一審、二審の判決を破棄、広島高裁に差し戻す上告審判決を下した。この訴訟は、妊娠や出産をきっかけに職場で不当な扱いを受ける「マタニティ・ハラスメント」(マタハラ)に対する初の最高裁判断として、注目が集まっていた。

マタハラの撲滅に向けて情報発信している「マタハラNet」(正式名称:マタニティハラスメント対策ネットワーク)で活動している被害女性たちも同日、東京都内に集まり、判決を待った。午後3時過ぎに判決文がもたらされると「画期的な判決」「追い風になる」と被害女性たちからは拍手が巻き起こった。

被害女性たちが声を上げ始め、社会問題化しているマタハラ。ネットでも、上告審判決のニュースに対し賞賛が寄せられた一方、一部からは批判やバッシングもあり、その反応は二分していた。果たして、この訴訟では何が問題となり、マタハラの先には何があるのか。判決文や被害女性たちの声からあらためて考えてみた。

■本当に女性は「自分勝手」で降格は「仕方ない」ものだったか?

今回の訴訟では、広島市の病院で理学療法士として勤めていた女性が、第二子の妊娠をきっかけに、軽い業務への転換を希望、異動後に役職を解かれたことが問題とされた。男女雇用均等法均等法の9条3項では、妊娠や出産を理由に女性に不利益な扱いをすることを禁じており、女性のケースがこれにあたるかが訴訟の争点となっていた。

女性へのバッシングとして、「会社から求められた役割を果たせなくなったなら、降格になっても仕方ない」「役職そのままに仕事だけ軽くしてもらおうなんていうのは自分勝手すぎないか?」といった声がネットでは聞かれた。

しかし、本当に「仕方ない」もしくは「自分勝手」なケースだったのだろうか? 公開されている判決文から、女性がどのように働いていたかを詳しく見てみよう。 

女性は、リハビリ科で働いていた。当時、リハビリ科は、患者の自宅訪問をするチームと、病院内のリハビリチームとに分かれており、女性は訪問チームに所属。その後、病院内チームに異動し、勤続10年を経て副主任に昇格した。第一子の妊娠出産後時は病院内チームだったが、復帰後は再び訪問チームに異動、訪問チームから今度は訪問看護施設へ転属後も、やはり副主任として子育てをしながら働き続けていた。

女性は2008年、第二子を妊娠したことから、労働基準法65条3項に基いて、軽い業務への転換を請求したが、病院内チームへ異動した後、副主任を解かれてしまう。第二子を出産、職場復帰した女性を、病院側は再び訪問看護施設へと異動させた。その当時、女性よりも職歴が6年も短い職員が副主任に任ぜられていたことを理由に、女性が再び副主任に命ぜられることはなかった。

これが、訴訟にまで至った経緯だが、病院側は「裁量権の範囲内で行ったもの」と主張しており、一審でも二審でもそれが支持されていた。しかし、最高裁の判決文は、病院側の主張を覆す、踏み込んだものだった。

上告人(注:女性)は,妊娠中の軽易業務への転換としてのB(注:女性が働いていた施設)からリハビリ科への異動を契機として,本件措置により管理職である副主任から非管理職の職員に降格されたものであるところ,上記異動により患者の自宅への訪問を要しなくなったものの,上記異動の前後におけるリハビリ業務自体の負担の異同は明らかではない上,リハビリ科の主任又は副主任の管理職としての職務内容の実質が判然としないこと等からすれば,副主任を免ぜられたこと自体によって上告人における業務上の負担の軽減が図られたか否か及びその内容や程度は明らかではなく,上告人が軽易業務への転換及び本件措置により受けた有利な影響の内容や程度が明らかにされているということはできない。

他方で,本件措置により,上告人は,その職位が勤続10年を経て就任した管理職である副主任から非管理職の職員に変更されるという処遇上の不利な影響を受けるとともに,管理職手当の支給を受けられなくなるなどの給与等に係る不利な影響も受けている。そして,(中略)育児休業を終えて職場復帰した後も,本件措置後間もなく副主任に昇進した他の職員の下で,副主任に復帰することができずに非管理職の職員としての勤務を余儀なくされ続けているのであって,このような一連の経緯に鑑みると,本件措置による降格は,軽易業務への転換期間中の一時的な措置ではなく,上記期間の経過後も副主任への復帰を予定していない措置としてされたものとみるのが相当であるといわざるを得ない。

(第2231号 地位確認等請求事件 平成26年10月23日 第一小法廷判決)

 

つまり、異動による女性の業務負担が減ったのかは明らかではなく、副主任という管理職としての実態も判然とせず、降格されたことで、女性に対する業務の負担が減ったとは明らかではないと指摘。女性にとっては、勤続10年で得た管理職の任を解かれるという不利な影響が与えられ、育休後も副主任へ復帰していないことから、妊娠による軽い業務への一時的な措置ではないとした。

そして、女性が降格によって受けた管理職の地位と手当などの喪失は重大であると断じ、女性の降格に、男女雇用機会均等法9条3項の趣旨及び、目的に対する特段の事情は認められないと結論づけた。

■大介護時代に向け、マタハラでつまづいている場合ではない

これまで病院側は、女性が復帰後も降格の扱いのままだったことに対し、すでに職場には副主任がいたことから、男女雇用機会均等法に違反しないとしてきた。これに対しても、判決文では櫻井龍子裁判官による補足意見として、「十分に審理が尽くされた上での判断とはいえないといわざるを得ない」と断じている。

そして、育児・介護休業法から見ても、「育児休業後の就業が円滑に行われるよう」しなければならず、厚労省の指針でも、「育児休業後には原則として原職又は原職相当職に復帰させることが多く行われていることを前提として他の労働者の配置その他の雇用管理が行われるように配慮すべきことが求められている」ことから、検討されるべきとしている。

この判決文を読んだマタハラNetの集会では、参加した弁護士や被害者の女性から「画期的な判決」という声が上がった。男女雇用機会均等法の9条3項に触れ、病院側に対し特別な事情や女性の明確な同意がない限り、降格は違法であると踏み込んだ明示がされていたからだ。

最高裁の判断は、企業の現場にも影響力を持つため、これによって違法の立証が難しいと泣き寝入りをしていたケースへの判断も変わってくることが予測され、企業側も今後、厳格に対応せざるを得なくなるだろう。

マタハラNet代表の小酒部(おさかべ)さやかさんは、「広島の女性の意にかなう判決が出たことは喜ばしいことです。権利ばかりを主張しているとか、わがままだとか、そういう声もありますが、それだけで3年も4年も裁判ができるでしょうか。仕事にプライドを持ち、後に続く人のためにも病院に対して改善してほしいという思いがあった。広島の女性に対して、拍手を送りたいと思います。私たちも勇気づけられました」と話した。

さらに小酒部さんは、今後は育児休暇ではなく、介護休暇を取らなければならない人も増える大介護時代に入ると指摘。「働き方の違う人たちが職場にあふれる時代になります。産休、育休でつまづいている場合ではない。私たちマタハラNetは企業の人たちとも手を取り合って、働き方の問題解決のきっかけになればと思っています。新しい働き方の幕開けになってほしいです」と語った。

マタハラされた女性たちに対し、「職場に迷惑をかけている」「自分の仕事にしわ寄せがくる」と苦言をあらわにする人もいる。しかし、マタハラ問題は単に女性たちだけのものではなく、さまざまな事情を抱えた人、そうした人たちとともに働くすべての人たちに関わる労働問題だ。現在は妊娠や出産に関係がないと思っている人でも、今後は高齢化社会による介護や、自身の病気などを理由に長時間労働が難しくなることが考えられる。私たちは今、働き方の多様性を実現し、あらゆる人が安心して働ける環境づくりをすることが求められているのではないだろうか。

 

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4 コメント

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また腹? (いまむら秀樹)
2015-12-12 10:13:02
女性が出産するなら責任者の席は降りるべきだし、それで降格になったからといってマタハラといわれたら周りが迷惑だよな。
仕事をしない上司なんてありえないし、そんな上司の下で働いている部下はアホらしくて仕事する気無くなるわなぁ。
今後女性はどんだけ仕事がてきても責任者にはするなという事になりかねないと思う。
返信する
立ち上がれ 差別されたる人々よ (バードストライク)
2015-11-13 19:46:10
TVのインタビューでマイクを向けられ、
「 えー、選挙ですかぁ? んー、わたしの意見を聞いてくれる人がぁ、いないからぁ、たぶん行かないと思いますぅ...」
と、答えていたオネエチャン!

メイクとヘアとおしゃれとグルメにしか興味のないオネエチャン!

鬼も十八、番茶も出ばな、という言葉を知ってか知らずか、若さゆえにちやほやされ、若さを蕩尽させられ、いずれ汚いおばちゃんになっていくオネエチャン!

脳みそついてるなら、少し考えよう。
君たちは、何重にも差別されている。

この時代になっても、男 > 女 だし、
正社員 > 非正規職員 だし、しかも女のほうが、非正規率が高い。

昔から、女は一部職種を除き、職場で戦力とはみなされていなかった。
女に期待されたのは、職場の花、消費者、出産マシンと子育て係、家政婦、介護士...。でも、経済が右肩上がりで、男の細腕一本で家族を養えるうちは、まだマシだった。

もう、そういう時代は永遠に過ぎ去っただろう。君たちが目覚めて、遠慮なくものを言い、自分の権利を主張し、嫌がらせをするようなジジイはどんどん告発していけば、世の中は変わるはずだ。

可愛い子ぶりぶり仮面なんかかなぐり捨て、隠し持っていた性根の悪さを思う存分発揮して、彼氏を自分の思うままに操り、こんなオヤジども、自民党政権・経団連・その他この社会を支配している奴らにNOを突きつけよう!

遠慮なく男どもを論破しよう。
困難に陥ったら、事を荒立てて、大騒ぎしよう。
空気は読まない。
このまま行けば利用され尽くして、食うにも困る貧しい生活が待っているだけ。

貧しき者、小さき者、弱き者で手を取り合って、社会を変えて行こう。
一緒に。
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Unknown (Unknown)
2015-11-13 18:19:54
妊娠出産によっても、能力に差がないにもかかわらずハラスメントがあったら問題だが、能力が劣った場合にそれを保護しなければいけないのは、健常者に対する逆差別だよね。 
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私が言うのもナンですが (リベラ・メ)
2015-11-13 16:54:32
(以前のコメントにも書きましたが、また書きました。スミマセン。)アラフォーにして独身、見合い予定無しの私が言うのもナンですが、妊娠というのは、予想のつかない事だらけ…位、知っています。「じゃあ、自分達は誰からどうやって産まれたの?」って訊きたい。
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