これからもぜひ一日一回、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!!!
2年前のコロナ第1波の時から世界的には唱えられ、2021年春にはWHOも公式に認めた事実。
「特に換気が悪い環境や密集した室内では、感染者から放出された感染性ウイルスを含む粒子が空中に漂う時間が長く、また距離も長くなる。
こうした環境に感染者が一定時間滞在することで、感染者との距離が遠いにもかかわらず感染が発生した事例が国内外で報告されている」
として、コロナはエアロゾル(空気中のウィルスが混じった微粒子)で感染することを、日本の国立感染症研究所がやっと認めました。
我々素人の感覚で言うと、感染者がしゃべって飛んだ飛沫だけではなく、コロナウィルスは微粒子となって空気中に長時間滞留し空気感染する、と認めたというとらえ方でいいと思います。
国立感染症研究所
(掲載日:2022年3月28日)
人は、咳、くしゃみ、会話、歌、呼吸などの際に、鼻や口からさまざまな大きさや性状をもった粒子を空中に放出する[1-5]。粒子はその大きさや含まれる液体の量によって空中での振る舞いが異なる。液体を含んだ大きな粒子は、放出されてから数秒から数分以内に落下するが、小さな粒子や乾燥した粒子は、空中に数分から数時間にわたって浮遊する[2-5]。従来、これらの粒子については大きさや性状に応じて飛沫やエアロゾルと呼ばれてきた [4,5]。
SARS-CoV-2は、感染者の鼻や口から放出される感染性ウイルスを含む粒子に、感受性者が曝露されることで感染する。その経路は主に3つあり、①空中に浮遊するウイルスを含むエアロゾルを吸い込むこと(エアロゾル感染)、②ウイルスを含む飛沫が口、鼻、目などの露出した粘膜に付着すること(飛沫感染)、③ウイルスを含む飛沫を直接触ったか、ウイルスが付着したものの表面を触った手指で露出した粘膜を触ること(接触感染)、である[1,2]。
実際にどの経路で感染するのかは、感染者から放出される感染性ウイルスを含む粒子の量や環境条件によって決まり、必ずしも1つであるとは限らない。感染者が呼吸をすると粒子が放出され、大きな声を出したり、歌ったりすると、放出される粒子の量が増える[6-8]。また感染者との距離が近いほど(概ね1-2メートル以内)感染する可能性が高く、距離が遠いほど(概ね1-2メートル以上)感染する可能性は低くなる[1,2]。特に換気が悪い環境や密集した室内では、感染者から放出された感染性ウイルスを含む粒子が空中に漂う時間が長く、また距離も長くなる。こうした環境に感染者が一定時間滞在することで、感染者との距離が遠いにもかかわらず感染が発生した事例が国内外で報告されている[9-12]。
このようなSARS-CoV-2の感染が起こりやすい環境条件をわかりやすく説明したものが、「3つの密」と呼ばれる概念である[1,13,14]。
密閉:換気の悪い閉じられた環境
密集:狭い空間に多くの人が集まっている環境
密接:お互いの距離が近く、特に会話をしている環境
3つの条件に1つでも当てはまる環境に感染者と感受性者が滞在すると、感染が成立する可能性は高くなり、さらに3つの条件がそろうとより高くなる[1]。
なお、呼吸器感染症の感染経路については国際的に研究が進められており、これらの知見は今後更新される可能性がある。
参考文献
- World Health Organization (WHO), “Coronavirus disease (COVID-19): How is it transmitted?” (2021); who.int/news-room/q-a-detail/coronavirus-disease-covid-19-how-is-it-transmitted.
- S. Centers for Disease Control and Prevention (CDC), “Scientific brief: SARS-CoV-2 transmission” (2021); www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/science/science-briefs/sars-cov-2-transmission.html.
- Gesellschaft für Aerosolforschung, “GAeF position paper on understanding the role of aerosol particles in SARS-CoV-2 infection” (2020); https://ae00780f-bbdd-47b2-aa10-e1dc2cdeb6dd.filesusr.com/ugd/fab12b_0b691414cfb344fe96d4b44e6f44a5ab.pdf
- Jones RM, et al. Aerosol transmission of infectious disease. J Occup Environ Med. 2015 May;57(5):501-8.
- Wang CC, et al. Airborne transmission of respiratory viruses. Science. 2021 Aug 27;373(6558):eabd9149.
- Stadnytskyi V, et al. The airborne lifetime of small speech droplets and their potential importance in SARS-CoV-2 transmission. Proc Natl Acad Sci U S A. 2020 Jun 2;117(22):11875-7.
- Alsved M, et al. Exhaled respiratory particles during singing and talking. Aerosol Sci Technol. 2020;54:1245–8.
- Alsved M, et al. SARS-CoV-2 in exhaled aerosol particles from covid-19 cases and its association to household transmission. Clin Infect Dis. 2022 Mar 10:ciac202.
- Jang S, et al. Cluster of Coronavirus Disease Associated with Fitness Dance Classes, South Korea. Emerg Infect Dis. Aug 2020;26(8):1917-20.
- Cai J, et al. Indirect Virus Transmission in Cluster of COVID-19 Cases, Wenzhou, China, 2020. Emerg Infect Dis. 2020 Jun;26(6):1343-5.
- Katelaris AL, et al. Epidemiologic Evidence for Airborne Transmission of SARS-CoV-2 during Church Singing, Australia, 2020. Emerg Infect Dis. 2021 Jun;27(6):1677-80.
- Toyokawa T, et al. Transmission of SARS-CoV-2 during a 2-h domestic flight to Okinawa, Japan, March 2020. Influenza Other Respir Viruses. 2021 Oct 3.
- Furuse Y, et al. Clusters of Coronavirus Disease in Communities, Japan, January-April 2020. Emerg Infect Dis. 2020 Sep;26(9):2176–9.
- Furuse Y, et al. COVID-19 case-clusters and transmission chains in the communities in Japan. J Infect. 2021 Aug 11:S0163-4453(21)00399-6.
もともと三密のうち密閉を避けるという発想は空気感染を認めないと出てくるわけがなかった。
このように、国立感染研はコロナの主な感染経路として、
1 エアロゾル感染
2 飛沫感染
3 接触感染
の三つをあげ
「感染者が呼吸をすると粒子が放出され、大きな声を出したり、歌ったりすると、放出される粒子の量が増える。
感染者との距離が近い(約1~2メートル以内)ほど感染する可能性が高く、距離が遠い(約1~2メートル以上)ほど感染する可能性は低くなる」
と説明しました。
いわゆる空気感染が世界的には最も危険だと言われているとする国立感染研究所への公開質問状をまとめた東北大の本堂毅准教授(科学技術社会論)は、
「世界では接触感染はまれと言われていることをはっきり国民に周知しなければ効果的な対策は広がらない」
とし、愛知県立大の清水宣明教授(感染制御学)も
「ウイルスを含むエアロゾルで空間が汚染されているから換気が必要ということをしっかり伝えることが重要だ」
と言っています。
こうなると、手指をアルコール消毒するのはあまり意味がないし、飲食店や学校の教室などでアクリル板を使って飛沫感染を防ごうとすることは、かえって換気を悪くし、エアロゾルを室内に滞留させることになりかねません。
当ブログで何度も書いてきたように、政府はリモートワーク助成金と換気対策の補助金を出すのが一番のコロナ対策+経済対策になるという大方針を打ち出すべき時です。
関連記事
【報道特集】感染者激減の主な理由の一つはやはり人流減少だった。ワクチン2回接種完了が82%のシンガポールも感染再爆発で再び人流抑制へ。人流無視派の麻生副総理や橋下徹氏・三浦瑠璃氏らは腹を切れ。
【ワクチン一本足打法の限界】ワクチン完了67%の英国が日本の人口で1日10万人の感染者。82%のシンガポールは日本に換算して過去最悪の1日400人の死者。接種率69%の日本でGoto再開は言語道断だ。
【憲法記念日】私権=「市民の権利」を制限するのではなく、日本国憲法が保障する基本的人権をより充実させることで、コロナも防げて、市民はより幸せになる。
日本学童保育学会が緊急声明「学童保育は学校以上に感染リスクが高い」。学童への物資の補給、人員確保、交付金の増加が緊急に必要です!
吉村大阪府知事がパチンコ店への休業要請を一番に解除(笑)。やはりパチンコ屋さんはスケープゴートだった。
これが2020年7月8日の報道なので、国立感染症研究所が認めるのが遅すぎです。
っていうか、私たち庶民のほうはとっくに空気感染を感じてて、通勤列車などを恐れていたんですが、権力のある学者っていったい!?
これからもぜひ一日一回、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!!!
新型コロナウイルスの感染経路について、国立感染症研究所(感染研)は28日、ウイルスを含んだ空気中に漂う微粒子(エアロゾル)を吸い込んでも感染するとの見解をホームページで公表した。感染研はこれまでエアロゾル感染に否定的で、飛沫(ひまつ)感染と接触感染だけを挙げた報告書を発表していたため、国内の科学者が「世界の知見とは異なる」と説明を求めて公開質問状を出していた。
世界保健機関(WHO)や米疾病対策センター(CDC)などは昨春、主な感染経路としてエアロゾル感染と飛沫感染を挙げ、接触感染は起きにくいとする見解を示した。しかし、感染研は今年1月13日に公表したオミクロン株についての報告書で、「現段階でエアロゾル感染を疑う事例の頻度の明らかな増加は確認されず、従来通り感染経路は主に飛沫感染と接触感染と考えられた」と記し、WHOなどと異なる説明をしていた。
感染研は今月28日に公表した文書で、主な感染経路として、エアロゾル感染▽飛沫感染▽接触感染――の三つを紹介。「感染者が呼吸をすると粒子が放出され、大きな声を出したり、歌ったりすると、放出される粒子の量が増える。感染者との距離が近い(約1~2メートル以内)ほど感染する可能性が高く、距離が遠い(約1~2メートル以上)ほど感染する可能性は低くなる」と説明した。
公開質問状をまとめた東北大の本堂毅准教授(科学技術社会論)は、エアロゾル感染を感染経路に位置づけた点を評価しつつも「世界では接触感染はまれと言われていることをはっきり国民に周知しなければ効果的な対策は広がらない」と指摘。愛知県立大の清水宣明教授(感染制御学)も「ウイルスを含むエアロゾルで空間が汚染されているから換気が必要ということをしっかり伝えることが重要だ」と訴えている。【林奈緒美】
国内の新型コロナウイルス対策の基となる国立感染症研究所(感染研)の報告書が世界保健機関(WHO)などの世界の科学的知見と異なるとして、感染症や物理学などを専門とする科学者10人が感染研に公開質問状を提出した。「新型コロナは主にエアロゾル感染(空気感染)によって生じる」という科学界の最新知見について、感染研の報告書が否定しているからだ。「めちゃくちゃな報告書だ。誤った説が幅をきかせたことで、防げるはずの感染が起きている」。こうした科学者たちの怒りの声に、感染研はどう答えたのだろうか。【林奈緒美】
感染研 感染経路は「飛沫と接触」
先月1日に提出した公開質問状で科学者が問題視するのは、感染研が1月13日に公表した新型コロナの新たな変異株「オミクロン株」に関する第6報だ。これによると、感染経路について「現段階でエアロゾル感染を疑う事例の頻度の明らかな増加は確認されず、従来通り感染経路は主に飛沫(ひまつ)感染と、接触感染と考えられた」などと記載。多くの感染事例についても「これまでの新型コロナと同様に換気が不十分な屋内や飲食の機会で起こっている」として、マスク着用や手指衛生、換気の徹底が有効と主張している。
一方、WHOや米疾病対策センター(CDC)のほか、米科学誌サイエンスなどは感染力の強いオミクロン株が登場するよりも前から、新型コロナの主要な感染経路はエアロゾル感染と説明していた。公開質問状が提出された翌2日の記者会見で、感染研の脇田隆字所長は「(世界の知見との)見解はそんなに違わない」と釈明したが、WHOなどの見解と感染研の第6報はまるで違う。公開質問状では、こうした理由について感染研に説明を求めていた。
質問状をまとめた物理学者の本堂毅・東北大准教授(科学技術社会論)は「接触感染が起きるのはまれだと世界で考えられているのに、いまだに主な感染経路が飛沫感染と接触感染と言うのは、日本のウイルスだけが特別と言っているようなものだ。また、その二つで感染するなら換気の有無は関係ないはずで、論理的にもおかしい」と指摘する。
エアロゾルは空中を漂う微粒子を指す。感染者に近い場所ほど濃く漂っているため、感染リスクが高くなる。換気の悪い場所などでは2メートル以上遠くまで漂い、長く空中にとどまる可能性があるという。WHOはこれらを「近距離・長距離エアロゾル感染」と呼んでいる。一方、飛沫は比較的重いため瞬時に地面に落ちるとされている。感染研の言うように換気の悪い屋内で感染が多発しているならば、それこそ感染者から吐き出されたウイルスを含んだ微粒子(エアロゾル)がすぐに落下せず空気中に漂い続けた結果、感染が頻発することを意味する。
では、質問状を提出した科学者への感染研の回答はどのようなものだったのか。提出から1週間後に専門家に届いたという回答には「ご質問の内容につきましては、研究者の間で議論の途上にあるところと認識しており、学術界において科学的な知見を基に合意形成がなされていくべきものと考えております」などと記されていたという。わずか188文字。報告書の論理的な矛盾や世界の知見と見解が異なっている点についての説明はほとんどなかった。
17日に本堂准教授が世話人となって開いた公開勉強会では、質問状の提出者として名を連ねた科学者から感染研の見解について「めちゃくちゃだ」「国民をばかにしている」など厳しい批判の声が相次いだ。感染研で勤務経験があり、質問状の提出者に名を連ねた国立病院機構仙台医療センターの西村秀一・ウイルスセンター長は「ゼロ回答。ひとごとのような内容だった」と失望を隠さない。「空気感染を認めず、全て接触・飛沫感染で起きているという誤った説が幅をきかせたことで、病院や介護施設などで多くの感染が起きた。消毒やアクリル板を設置するばかりといったほとんど意味のない対策が広がった」と語る。本堂准教授も「世界的なコンセンサス(合意形成)を『感染研は認めていない』と言っているようにしか読めなかった。議論を放棄しており、科学者としての健全性を疑う」と嘆いた。
感染研は1月26日にオミクロン株に関する「第7報」を公表した。感染経路については「国内の流行初期の多くの事例が従来株やデルタ株と同様の機会(例えば、換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起こっていると考えられた」と表現。2月16日に公表された最新の「第8報」には感染経路の記述はなく、「変異株であっても、従来と同様に、3密の回避、適切なマスクの着用、手洗い、換気などの徹底が推奨される」とだけ記されていた。
本堂准教授は「感染経路を正しく理解することはコロナ対策の肝だ。旅館や居酒屋の人たち、国民はみな真面目に感染対策に取り組んでいるのに、大元となる国や感染研の見解がおかしければ、感染対策の優先順位を間違えてしまう。無駄な対策をやめて、有効な対策に集中すれば、多くの人たちが救われるはずだ」と訴えている。
公開質問状や感染研からの回答の全文はこちらから読むことができる。
国立感染症研究所への質問状(2022年2月1日)
---------------- 国立感染症研究所への質問状(2022年2月1日)----------------
2022年2月1日
国立感染症研究所
所長 脇田隆字様
「SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第6報)」の空気感染(エアロゾル感染)に関わる記述への公開質問状
前略
貴研究所が発表した「SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第6報,1月25日一部修正版)」(以下,第6報)に,科学的に
1.論理展開上問題ありと思われる記述,また
2.世界的コンセンサスが得られている考え方との一致しない記述
が見受けられますので,貴研究所の公式見解について質問させていただきたく存じます.
貴研究所の報告は政府や自治体の新型コロナウイルス感染対策の基礎資料となります.報告書に不正確な点があれば,これに基づいて日本国中でなされている飲食店や旅館業,会社,学校,運送業,家庭等での対策の有効性が大きく損なわれることになります.問題の重要性,緊急性に鑑み,速やか回答をくださるようお願いいたします.尚,本件は高い公益性があり,知見は社会全体にただちに共有されるべきものですので,公開を前提にご回答くださるようお願い申し上げます.
本質問状で取り上げる「第6報」の記述箇所は,「ウイルスの性状・臨床像・疫学に関する評価についての知見」・「感染・伝播性」の第2段落であり,以下の部分です(以下引用).
『実地疫学調査から得られた暫定的な結果からは,従来株やデルタ株によるこれまでの事例と比較し,感染・伝播性はやや高い可能性はあるが,現段階でエアロゾル感染を疑う事例の頻度の明らかな増加は確認されず,従来通り感染経路は主に飛沫感染と,接触感染と考えられた.また,多くの事例が従来株やデルタ株と同様の機会(例えば,換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起こっていた.基本的な感染対策(マスク着用,手指衛生,換気の徹底等)は有効であることが観察されており,感染対策が守られている場では大規模な感染者発生はみていない.』
質問事項
- 不可解な論理展開について
第6報では,多くの感染事例が換気の不十分な屋内等で生じているとの観測事実が記され,「感染経路は主に飛沫感染と,接触感染」であるとの主張がなされています.しかるに,私たちが考えるに,感染経路が主に飛沫感染と接触感染であるならば,その発生頻度は換気とは関係しないはずです.
そこで質問です.
Q1. 飛沫(droplet)は,感染者の口腔から放出された後,速やかに落下するものを指すという理解でよろしいでしょうか.
Q2. そうであれば,屋内での換気の良し悪しとは関係ないはずです.いかがでしょうか.
換気の悪い屋内で感染が多発しているのであれば,それは,感染者の口腔から放出されたウイルスを含む粒子が速やかに地面に落下することなく,屋内空間の空気中に「滞留」した状態,すなわちエアロゾルによって感染が多発していることを意味すると考えます.
Q3. その点はお認めいただけるでしょうか.
そのような感染様式は,エアロゾル感染です.一方でエアロゾルの構成要素である空気に注目した感染様式,あるいは感染伝播様式のクライテリアでいえば,英語では“airborne infection”あるいは“airborne transmission”と呼ばれます.
Q4. それはお認めになられるでしょうか.
airborne は英和辞典では「空気で運ばれる」あるいは「空中を浮遊する」と訳されるものですから,airborne infectionの日本語訳は空気感染,あるいは空気媒介感染です.
貴研究所が得ている観測事実は,その記述から分かるように今回のオミクロン株やデルタ株以前の従来株から一貫してairborne transmission(空気媒介の感染伝播)が多発していること意味しています.しかるに,第6報では,「従来通り感染経路は主に飛沫感染と,接触感染」であると主張なされています.
Q5. 貴研究所のこのような主張は,私たちにはロジカルに全く理解ができません.どのように解釈すれば理解できるのでしょうか.明確にお答えいただきたく存じます.
なお,基礎科学を踏まえたエアロゾルの理解に立ち返れば,粒子の粒径などを元に,特定の粒径以下をエアロゾルや飛沫核と呼び,特定の粒径以上を飛沫と呼ぶこと,さらには定義もあいまいな「マイクロ飛沫」なる造語を持ち出してくることについては,科学的意味や妥当性がないことも明らかです.
エアロゾルの粒子は,粒径によって静止空間における物理的沈降速度が違い,粒径の増大とともに床面に落下するまでの時間が連続的に短くなります.しかし,特定の粒径を境に,その沈降速度に意味を持った境界が生ずることもありません.マイクロ飛沫なる概念も,今述べた意味において不必要な概念だと考えます.このようなエアロゾルに関する科学的理解は,最新のものとしては2021年夏に公開されたScience誌のレビュー論文 (Wang et al. Airborne transmission of respiratory viruses) からも明らかでしょう.
- 世界的にコンセンサスを得られている科学的知見との不一致について
新型コロナウイルスの主たる感染の運び手はエアロゾルであって,Fomite infection(接触感染)は稀であることが,世界の科学界のコンセンサスとなっていると考えます.
このことは,WHOやCDCも認めており,だからこそCDCは最近医療従事者だけでなく国民へのN95マスク着用の推奨までしているわけです.Nature, Science,BMJ などの学術誌・医学誌でも既にレビュー論文を載せたりeditorialで認めたりしており,日本の科学者も標準的知見として日常的に触れている知見です.しかるに,貴研究所では未だにこれに反する形で,「感染経路は主に飛沫感染と,接触感染」と主張しています.
Q6. この齟齬について,どのように理解すれば良いのか,ご説明願います.
以上の質問に対し,できるだけ早くご回答いただければ幸甚です.ご回答は以下の事務局までメールでお送り頂けますと幸いです.
草々
質問者: 本堂 毅 東北大学大学院理学研究科
西村 秀一 国立病院機構仙台医療センター臨床研究部
清水 宜明 愛知県立大学看護学部
米村 滋人 東京大学法学部(医師,医事法)
御手洗 聡 結核予防会結核研究所抗酸菌部
向野 賢治 福岡記念病院・感染制御部
森内 浩幸 長崎大学大学病院小児科
平 久美子 東京女子医科大学附属足立医療センター麻酔科
角田 和彦 かくたこども&アレルギークリニック (*)
平田 光司 高エネルギー加速器研究機構 (*)
(*) 質問状送付後に参加のお返事が事務局に届いた方
事務局
〒980-8578
宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6−3
東北大学大学院理学研究科
本堂 毅
------------- 国立感染症研究所からの返答・全文(2022年2月8日到着) ------------------
2022年2月7日
東北大学大学院理学研究科
本堂毅様
国立感染症研究所
所長 脇田 隆字
この度はお問い合わせをいただき有難うございます。ご質問の内容につきましては、研究者の間で議論の途上にあるところと認識しており、学術界において科学的な知見を基に合意形成がなされていくべきものと考えております。
国立感染症研究所といたしましては、今回お問い合わせのあったご意見も参考にしながら、今後とも最新の科学的な知見に基づき感染症対策に資する情報発信を適切に行っていく所存です。
これからもぜひ一日一回、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!!!