2009年5-6月号 WSCUによるカクマ難民のエンパワーメント

キャンプの学校に通う生徒の成績は悪いが、キャンプ外の国立あるいは私立の中学校で学ぶ難民の生徒たちの成績はとてもよい。ところが、地元の大学や海外の大学で高等教育を受けられる生徒数は、ごく限られている。

ウィンドル・トラスト・ケニアのウィンドル公益財団は、25歳以下の男女数人を選び、TOEFLの試験と研究論文のための準備をさせている。キャンプの多くのコミュニティーはこのプログラムを高く評価し、WSCU（ワールド・ユニヴァーシティ・サービス・カナダ）の職員にカクマキャンプからの採用を増やすよう要請している。
　　
あるルワンダの長老は「WSCU奨学金は進歩の機会を与えてくれるだけでなく、難民の人間性を認めてくれているしるしです」と言っている。

難民は国内の悪政と国外の政治紛争の犠牲者だ。教育はさらなる進歩の基礎をつくり、難民のさまざまなニーズを満たす解決策をみつける手段でもある。難民は教育を受けることで、望ましい方向に変われるのだ。

しかし、カクマキャンプの難民は、亡命地とみなしている土地で教育を受けることに疑問を抱いている。「カクマ難民キャンプで教育を受けても意味がありません。難民たちが常に不満を口にしているように、ここは、公務員や国際機関職員より高度の教育を受けていたとしても、管理的な地位を求めて競争できるだけの人権が認められていない土地ですから」　とUNISA（南アフリカ大学）を卒業したある難民は言った。

難民が抱えている問題は、教育だけではない。お金をもつことを許されていないと感じている人たちもいる。支援機関には単純作業の仕事がたくさんある。しかし、こういう仕事に難民たちは応募したり就職する権利がない。労働市場から差別的に引き離されていると言う人もいる。「難民は清掃人にも、メッセンジャーにもなれるし、庭の水やりのような仕事だってできます。こういう仕事はお金になるんです。でも難民にはその資格がありません」とブルンジの難民は言った。

難民は勉強したいと思っている。そして世界の発展の一翼を担う機会を与えてほしいと思っている。西洋人、アジア人、アフリカの難民は皆、同等なわけで、それぞれの才能を発揮する機会を平等に与えられるべきだ。誰でもこのような状況になる可能性がある。しかし究極的には、誰でも世界のリーダーになる可能性があるはずだ