2010年6月号 治安が悪くなったカクマ難民キャンプ

ソマリア人のキャンプ・マーケットで働いていたトゥルカナ人の少年が、‘ラッガエ’と呼ばれている川の増水で流れに巻き込まれ、溺れた。流れを横切ろうとしている時のことだった。

少年は急流に流され、救助されずに死亡した。夜になって地元コミュニティーの人々が墓地に集まった。今年5月17日の夕方の情報では、その後襲撃が起きたという。

その日の夕方、川の土手沿いに住んでいる地元トゥルカナの村人たちは、少年が身元不明のソマリア人に殺されたと間違ったことを言い立て、復讐をしたがっていた。彼らはソマリ・コミュニティーに通じるキャンプの大通りで、さらに騒ぎを起こした。二人の男が重傷を負い、救急車でIRC（国際救援委員会）病院に収容された。

続く5月18日の夕方、カクマ1のソマリ・コミュニティーの家を、武装したトゥルカナ人7人が襲撃し、家族をめった打ちにした。家族の主人をロープで縛り、その目前で賊の二人が妻を強姦した。「子供たちと夫の目の前で強姦され、生きていくことに何の意味も見いだせなくなってしまいました」と、この母親、H.WはKANERE記者に語った。

翌朝、ソマリア人たちは　怒りと敵意をむき出しにしていた。特にゾーン５のソマリア人は、トゥルカナ人の何人かと難民マーケットでもめごとを起こしていた。大勢のボダボダ運転手が一般のトゥルカナ人と喧嘩を始めたのだ。やがてGSU（ケニア警察一般サービス隊）の兵隊がやってきて止めに入った。

この日の夜10時48分、銃で武装した身元不明の数人の男たちが、新たに移動してきたカクマ4キャンプのソマリ・コミュニティーを襲撃した。6人の子どもを持つ母親が家の外にいたところ、動くなと銃口を向けられ、怖くて声を出すこともできないでいるうちに、銃を持った強盗が家の中に入りこみ、何発か発砲した。近所の人は怖くて誰も近づくこともできなかった。14歳の少年が腹と右手に2発の銃弾を受け、他の家族もひどい暴行を受けた。6人がキャンプの病院に運ばれたが、さらなる治療を受けるためにカクマ・ミッション病院に搬送された。

襲撃された家族の話によると、強盗は家に押し入るとすぐに大金を要求した。恐怖にかられた子どもたちが逃げ出し、この時点でAが撃たれ重傷を負った。他の子供はかろうじて逃げ出したが、Aだけは逃げ遅れ、なんとか逃げようとしているところを再び撃たれ、倒れた。少年の父親、M.Aは次のように話した。「私が近所から帰ってきたところ、男たちを見たのですぐに部屋の後ろに隠れた。男たちは大勢いたが、暗かったので顔まではわからなかった。息子は二度撃たれ、一発は肋骨にあたって胃がむき出しになっていた。もう一発は上腕に当たった」

銃弾が放たれたとき、叫び声が宵をつんざいた。未だに強盗団の身元も、全員が銃を持っていたかどうかも確認できていない。カクマ4をパトロール中の警察が到着したのは、強盗が去ってすべてが静かになった後だった。同じコミュニティーで、他にも6人がむごたらしく傷つけられたがなんとか自力で逃げ出した。その中には妊婦もいた。犠牲者の傷から判断して、賊が使っていたのはパンガ刀のような鋭い凶器と思われる。

14歳の少年アブディを含む数人の被害者はカクマ・ミッション病院に搬送され、より適切な医療援助を受けた。隔離病棟で少年の面倒をみた看護婦がKANERE記者に語ったところによると、「彼は19日水曜日に外科手術を受け、5月28日にIRC難民病院を退院しました」という。M.A.によると、「息子は現在重度の合併症を引き起こし、悪夢に悩まされ、ベッドから飛び起きることもあり、脳が不安定で、まだ何もはっきりとは理解できない状態だ」という。記者は看護婦長と医者にインタビューを試みたが、応じてもらえなかった。