2022年6月21日のスピーチ KANEREボランティア記者による取材
2022年世界難民の日を祝して、カロベイエイ・ビレッジ2で記念式典が開催された。今年は、「避難を強いられているすべての人に、誰でもどこでもいつでも、安全を求める権利を保障する」がテーマになっている。
カロベイエイ居住区のビレッジ2で行われた式典には、政府機関代表、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)ケニア代表、UNHCRパートナーや人権団体代表、イエー・プル・ビエルUNHCR親善大使、カクマ難民キャンプおよび新しい居住区に住む難民のリーダー達など多彩なゲストが参加し、スピーチを行った。
【写真】トゥルカナのカロベイエイで開催された世界難民の日記念式典で話すキャロライン・ヴァン・ブレンUNHCRケニア代表 / トロッサ・アスラト撮影
以下は、記念式典に参加できなかった難民のために書き起こした、UNHCR代表と難民支援省(DRS)代表によるスピーチである。
キャロライン・ヴァン・ブレンUNHCRケニア代表によるスピーチ
「こんにちは。
内務・政務調整省長官ウィニー・グチュ夫人、本日の特別ゲストであるルーカス・カティエ・ムワンザ難民支援省長官、郡長官や閣僚などのケニア政府代表の皆様、トゥルカナ郡代表の皆様、イエー・プル・ビエル親善大使、難民の方々および難民受け入れ地域の皆様、UNHCRパートナー団体とUNHCFR職員の皆様、ご列席の皆様。
今日は世界難民の日です。この日は、暴力や戦争、迫害などの理由で故郷からの避難を強いられた、世界中で暮らす何百万もの人たちが持つ勇気と強さ、貢献を讃えるために制定されました。今日という日に思い起こしましょう。地域社会や近隣の人たちに歓迎されれば、難民は生活やネットワークを立て直すことも成功することもできます。そしてまた今日は、難民を称賛する日でもあります。難民たちが持つ独自の文化、体験、願い、これらはすべて、地域社会をより強固で活気あるものにしてくれます。
DRS大学が最近、驚くべき記録を発表しました。紛争、戦争、迫害、人権侵害で避難を強いられた人の数が、記録上はじめて1億人を超えたのです。
今日この場にいる皆さんは、難民の味方であり、排除、暴力、迫害の根本にある問題の解決に取り組んでいることを表明してくれました。
今年、世界難民の日が掲げるテーマは、「避難を強いられているすべての人は、誰でもどこでもいつでも、安全を求める権利を持っている」です。このテーマはUNHCRの核心となる任務や私たちがどういうことをする人間なのかを物語っています。
私たちはみんな、安全を求める人びとを保護し国際法から導き出される以下の5原則を守る責任を共有しています。まずは亡命の権利。次に安全なアクセスの保障。さらに、どんな人も生命あるいは自由が脅かされる国へ強制送還されないことの保障。そして差別の禁止。最後に、避難を強いられた人たちが他の人たちと同じように尊厳と敬意を持った扱いを受ける保障です。
ケニアには、30年近く難民を受け入れ保護してきた長い歴史があります。
新型コロナウィルスが流行していた時期に、ケニア国家は亡命を求める権利を保障すると同時に公衆衛生を守る方策を実践しました。キャンプ内に検疫センターを設立し、保護を求める人たちがセンターを利用できるようにしながら、すでにキャンプに住んでいる難民やケニアの地域社会がウィルスに感染するのを防いだのです。
避難所へのアクセスを確保することは私たち共通の責任ですが、私たちの責任はそれだけではありません。避難を強いられた人たちは、あらゆるものを故郷に置いてきているので、生活を立て直す機会が必要です。新しくやってきた人たちを学校に行かせ、仕事を見つけ、医者の診断を受けさせ、精神的な健康状態をよくすることが必要です。
今日は光栄なことに、プル・ビエルUNHCR親善大使がいらしてくださいました。10歳のときに南スーダンから避難を強いられた元難民ですが、ケニアで、大好きなランニングの練習をする機会に恵まれました。ここカクマはまさにビエルさんの元居住地です。カクマで才能を伸ばし、歴史的な偉業を達成されました。2016年のリオ・オリンピックに史上初の難民チームとして参加し、2020年の東京オリンピックでは難民チームのリーダーに選ばれたのです。
今年初頭には、難民として初めて国際オリンピック委員会(IOC)のメンバーにも選ばれました。ビエルさん、あなたは真のアスリートで大勢の難民や若者たちに手本を示してくれました。
避難を強いられている人たちが差別されることなく生活を立て直せるようにすることは、私たちの責任です。私たちは、難民を引き続き受け入れなければなりません。難民は、故郷へ戻る、地元に溶け込む、緊急の場合には第三国に再定住するなど、長期的な解決策を見出すための対等の相手なのです。
最近ケニア政府は難民条約2021を制定し進歩的な決定をしました。それは、これまでのように単に法律を制定するという政策ではなく、難民と受け入れ地域の双方に利益を保障する差別のない共同社会を作ることへの転換です。
ケニア政府の業績に敬意を表します。政府は、安全を求めることから長期的で持続可能な包括的解決策の実現にまで及ぶ難民の権利を、不断の努力で守っています。ケニア政府のみなさん、そしてケニア国民のみなさん、ありがとうございます。
UNHCRケニアを代表して、私はみなさんが、誰でもどこでもいつでも、安全を求める権利を持つと強く信じています。ありがとうございました。どうもありがとう」
ルーカス・カティエ・ムワンザ難民支援省長官によるスピーチ
「こんにちは。手短にお話しします。まずは主賓の方に感謝します。また、UNHCRケニア代表が郡委員や私たちとチームを組むのを了承してくれたことに感謝します。そして、難民のみなさん、アフリカや世界各地からやってきた同胞のみなさん、心からありがとうございます。
私たちが今日ここで目にしている同胞愛を讃えます。仲間のアフリカ人たち、ケニアのいろいろな地域に住む人たちの愛情に深く感謝しています。
続いて、この式典を準備してくれた人たちに御礼を申し上げたいと思います。とてもすばらしい内容で、たくさんのダンスを見せてもらいました。そうです、難民でいることは過去をすべて忘れ文化を捨ててしまうことではないのです。
あなたたちは故郷に、同胞の家にいるのです。見事なダンスを披露してくれてありがとうございます。受け入れ国の地域社会やここで暮らす難民によるさまざまなグループのダンスを鑑賞させていただきました。
また、この場を借りてナノク知事が率いるトゥルカナ郡の支援そして受け入れ国の地域社会による支援に感謝したいと思います。あなたたちは、ここで平和に暮らす同胞たちに手を差し伸べてくれています。トゥルカナの人たちと指導者たちには本当に感謝しています。ありがとうございます。
UNHCRには、難民支援省との協力に感謝します。国内のあちこちに暮らす難民たち、特にここカクマやカロベイエイ居住区に住む難民を支援していただきありがとうございます。
ご協力に深く感謝すると共に、組織間の協力が継続され、この地域に暮らす同胞たちへの支援が長く続くことを願います。
次に、引き続き難民の皆様にこれまでしてきたような支援を続け、毎日そして難民のひとりひとりに対面するたびに支援の改善を追求していくことを約束したいと思います。
登録制度の改善に取り組むつもりです。しばらく手つかずになっている未処理の作業がたまっているのは承知しています。難民認定における未処理案件を解消するためにあらゆる努力をします。そのため、さまざまな手をつくして未処理作業に取り組むと約束します。それと同時に、国内に住む難民たちの保護を続け、故郷の状況が改善するまでこの場所に住み続けることになる難民たちの地位をさまざまな方法で向上させる持続的な活動を行います。
省庁として私たちは、十分な透明性と開示性を持って支援活動を行います。いつでも気軽に連絡してください。この国にいる間は、つねに職員の誰かが対応し不明な点はご案内します。
まだ登録されていない人たちにとって、自身の存在を明らかにすることは大事なことです。カクマ難民キャンプを本拠地とする私たちの職員に登録してもらってください。新たにやってきた人の中に知り合いがいたら、情報を伝えてください。国境を越えてこの国に入ったらすぐに難民登録手続きを開始できるように最寄りの政府機関に名乗り出るようにと。
ありがたいことに、私たちはこれからも一緒に今回のようなプログラムを実行し続ける予定です。幸いにも難民支援省のパートナーたちは、いろいろな方法で地域の難民を支援するために大胆な一歩を踏み出し、政府系、非政府系、人権団体などたくさんの組織が、それぞれの地域に住む難民を支援しています。皆様が難民を支援するために行っている素晴らしい活動にも感謝したいと思います。
最後に、私たちが法に従って活動することをお許しください。そうすれば、共に発展し前進し、自立できるでしょう。あらためまして、主賓による指導のもとで生活している私たちひとりひとりすべての方に、心から感謝いたします。
ありがとうございました」
2022年世界難民の日を祝して、カロベイエイ・ビレッジ2で記念式典が開催された。今年は、「避難を強いられているすべての人に、誰でもどこでもいつでも、安全を求める権利を保障する」がテーマになっている。
カロベイエイ居住区のビレッジ2で行われた式典には、政府機関代表、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)ケニア代表、UNHCRパートナーや人権団体代表、イエー・プル・ビエルUNHCR親善大使、カクマ難民キャンプおよび新しい居住区に住む難民のリーダー達など多彩なゲストが参加し、スピーチを行った。
【写真】トゥルカナのカロベイエイで開催された世界難民の日記念式典で話すキャロライン・ヴァン・ブレンUNHCRケニア代表 / トロッサ・アスラト撮影
以下は、記念式典に参加できなかった難民のために書き起こした、UNHCR代表と難民支援省(DRS)代表によるスピーチである。
キャロライン・ヴァン・ブレンUNHCRケニア代表によるスピーチ
「こんにちは。
内務・政務調整省長官ウィニー・グチュ夫人、本日の特別ゲストであるルーカス・カティエ・ムワンザ難民支援省長官、郡長官や閣僚などのケニア政府代表の皆様、トゥルカナ郡代表の皆様、イエー・プル・ビエル親善大使、難民の方々および難民受け入れ地域の皆様、UNHCRパートナー団体とUNHCFR職員の皆様、ご列席の皆様。
今日は世界難民の日です。この日は、暴力や戦争、迫害などの理由で故郷からの避難を強いられた、世界中で暮らす何百万もの人たちが持つ勇気と強さ、貢献を讃えるために制定されました。今日という日に思い起こしましょう。地域社会や近隣の人たちに歓迎されれば、難民は生活やネットワークを立て直すことも成功することもできます。そしてまた今日は、難民を称賛する日でもあります。難民たちが持つ独自の文化、体験、願い、これらはすべて、地域社会をより強固で活気あるものにしてくれます。
DRS大学が最近、驚くべき記録を発表しました。紛争、戦争、迫害、人権侵害で避難を強いられた人の数が、記録上はじめて1億人を超えたのです。
今日この場にいる皆さんは、難民の味方であり、排除、暴力、迫害の根本にある問題の解決に取り組んでいることを表明してくれました。
今年、世界難民の日が掲げるテーマは、「避難を強いられているすべての人は、誰でもどこでもいつでも、安全を求める権利を持っている」です。このテーマはUNHCRの核心となる任務や私たちがどういうことをする人間なのかを物語っています。
私たちはみんな、安全を求める人びとを保護し国際法から導き出される以下の5原則を守る責任を共有しています。まずは亡命の権利。次に安全なアクセスの保障。さらに、どんな人も生命あるいは自由が脅かされる国へ強制送還されないことの保障。そして差別の禁止。最後に、避難を強いられた人たちが他の人たちと同じように尊厳と敬意を持った扱いを受ける保障です。
ケニアには、30年近く難民を受け入れ保護してきた長い歴史があります。
新型コロナウィルスが流行していた時期に、ケニア国家は亡命を求める権利を保障すると同時に公衆衛生を守る方策を実践しました。キャンプ内に検疫センターを設立し、保護を求める人たちがセンターを利用できるようにしながら、すでにキャンプに住んでいる難民やケニアの地域社会がウィルスに感染するのを防いだのです。
避難所へのアクセスを確保することは私たち共通の責任ですが、私たちの責任はそれだけではありません。避難を強いられた人たちは、あらゆるものを故郷に置いてきているので、生活を立て直す機会が必要です。新しくやってきた人たちを学校に行かせ、仕事を見つけ、医者の診断を受けさせ、精神的な健康状態をよくすることが必要です。
今日は光栄なことに、プル・ビエルUNHCR親善大使がいらしてくださいました。10歳のときに南スーダンから避難を強いられた元難民ですが、ケニアで、大好きなランニングの練習をする機会に恵まれました。ここカクマはまさにビエルさんの元居住地です。カクマで才能を伸ばし、歴史的な偉業を達成されました。2016年のリオ・オリンピックに史上初の難民チームとして参加し、2020年の東京オリンピックでは難民チームのリーダーに選ばれたのです。
今年初頭には、難民として初めて国際オリンピック委員会(IOC)のメンバーにも選ばれました。ビエルさん、あなたは真のアスリートで大勢の難民や若者たちに手本を示してくれました。
避難を強いられている人たちが差別されることなく生活を立て直せるようにすることは、私たちの責任です。私たちは、難民を引き続き受け入れなければなりません。難民は、故郷へ戻る、地元に溶け込む、緊急の場合には第三国に再定住するなど、長期的な解決策を見出すための対等の相手なのです。
最近ケニア政府は難民条約2021を制定し進歩的な決定をしました。それは、これまでのように単に法律を制定するという政策ではなく、難民と受け入れ地域の双方に利益を保障する差別のない共同社会を作ることへの転換です。
ケニア政府の業績に敬意を表します。政府は、安全を求めることから長期的で持続可能な包括的解決策の実現にまで及ぶ難民の権利を、不断の努力で守っています。ケニア政府のみなさん、そしてケニア国民のみなさん、ありがとうございます。
UNHCRケニアを代表して、私はみなさんが、誰でもどこでもいつでも、安全を求める権利を持つと強く信じています。ありがとうございました。どうもありがとう」
ルーカス・カティエ・ムワンザ難民支援省長官によるスピーチ
「こんにちは。手短にお話しします。まずは主賓の方に感謝します。また、UNHCRケニア代表が郡委員や私たちとチームを組むのを了承してくれたことに感謝します。そして、難民のみなさん、アフリカや世界各地からやってきた同胞のみなさん、心からありがとうございます。
私たちが今日ここで目にしている同胞愛を讃えます。仲間のアフリカ人たち、ケニアのいろいろな地域に住む人たちの愛情に深く感謝しています。
続いて、この式典を準備してくれた人たちに御礼を申し上げたいと思います。とてもすばらしい内容で、たくさんのダンスを見せてもらいました。そうです、難民でいることは過去をすべて忘れ文化を捨ててしまうことではないのです。
あなたたちは故郷に、同胞の家にいるのです。見事なダンスを披露してくれてありがとうございます。受け入れ国の地域社会やここで暮らす難民によるさまざまなグループのダンスを鑑賞させていただきました。
また、この場を借りてナノク知事が率いるトゥルカナ郡の支援そして受け入れ国の地域社会による支援に感謝したいと思います。あなたたちは、ここで平和に暮らす同胞たちに手を差し伸べてくれています。トゥルカナの人たちと指導者たちには本当に感謝しています。ありがとうございます。
UNHCRには、難民支援省との協力に感謝します。国内のあちこちに暮らす難民たち、特にここカクマやカロベイエイ居住区に住む難民を支援していただきありがとうございます。
ご協力に深く感謝すると共に、組織間の協力が継続され、この地域に暮らす同胞たちへの支援が長く続くことを願います。
次に、引き続き難民の皆様にこれまでしてきたような支援を続け、毎日そして難民のひとりひとりに対面するたびに支援の改善を追求していくことを約束したいと思います。
登録制度の改善に取り組むつもりです。しばらく手つかずになっている未処理の作業がたまっているのは承知しています。難民認定における未処理案件を解消するためにあらゆる努力をします。そのため、さまざまな手をつくして未処理作業に取り組むと約束します。それと同時に、国内に住む難民たちの保護を続け、故郷の状況が改善するまでこの場所に住み続けることになる難民たちの地位をさまざまな方法で向上させる持続的な活動を行います。
省庁として私たちは、十分な透明性と開示性を持って支援活動を行います。いつでも気軽に連絡してください。この国にいる間は、つねに職員の誰かが対応し不明な点はご案内します。
まだ登録されていない人たちにとって、自身の存在を明らかにすることは大事なことです。カクマ難民キャンプを本拠地とする私たちの職員に登録してもらってください。新たにやってきた人の中に知り合いがいたら、情報を伝えてください。国境を越えてこの国に入ったらすぐに難民登録手続きを開始できるように最寄りの政府機関に名乗り出るようにと。
ありがたいことに、私たちはこれからも一緒に今回のようなプログラムを実行し続ける予定です。幸いにも難民支援省のパートナーたちは、いろいろな方法で地域の難民を支援するために大胆な一歩を踏み出し、政府系、非政府系、人権団体などたくさんの組織が、それぞれの地域に住む難民を支援しています。皆様が難民を支援するために行っている素晴らしい活動にも感謝したいと思います。
最後に、私たちが法に従って活動することをお許しください。そうすれば、共に発展し前進し、自立できるでしょう。あらためまして、主賓による指導のもとで生活している私たちひとりひとりすべての方に、心から感謝いたします。
ありがとうございました」
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