プリンスは英国のプロジェクトマネジメント方法論である。
プリンスではプロジェクト体制を3つの階層に分けている。上から順に:
- プロジェクトの指揮
- プロジェクトの管理
- プロジェクト成果物のデリバリー
3つ目の「プロジェクト成果物のデリバリー」のレベルは、成果物によって滝モデル(ウォーターフォール)にしたり、アジャイルにしたりする。
プリンスでは、「スクラム」や「カンバン」はこの3つ目のレベルに位置する。
スクラム信者にとっては、スクラムの上に無駄に階層を作っていると思うかもしれない。Scrum@ScaleやLeSSから見ると、従来型の重量な体制に見えるかもしれない。
一方、アジャイルがスケールしたら、全体統制が必要と考えるSAFe路線では、極めて自然な体制だと感じるだろう。Prince2 アジャイルはSAFeとの親和性は高い。
私は、プロダクト思考であるが、プリンスも一つの有効なメソドロジーだと思っている。
スクラムでも、本当にアジャイルになるためには技術的なフレームワークを取り入れて補完する。
- 継続的インテグレーション
- テスト駆動開発(テストファースト&リファクタリング)
- テスト自動化
プリンスも同じだ。単独チームならスクラムでいいが、スケールすると、全体統制する機能が必要になる。だからプリンスでは、プロジェクトの指揮、プロジェクトの管理で補完する。
アジャイルの価値を享受するには、できるだけフラットな組織がいいから、正しく自己組織化した組織なら、ピープルマネージャーは必要最小限でいいだろう。
人の管理はいらなくなるが、ビジョンや方向性を統制する機能は必要である。その一つのアプローチがプリンスだ。
今プリンスで運用しているなら、成果物のデリバリーモデルを徐々にアジャイルにシフトして、プリンス・アジャイルに移行する。運用が安定してきたら、Scrum@ScaleやLeSSにいくのか、SAFe路線なのか判断すればいい。
アジャイルでは権限を分散して、ローカルでの判断を促すが、ボディーは一体だ。組織として空中分解しないためには、全体を制御する機能が不可欠である。
Prince2アジャイルについて詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。