台湾の台中市に在る病院に46歳の女性が入院しました。
女性の病名はガンでした。
その女性には、ご主人と、10歳に満たない5人の子供が居ました。
ところが、ご主人には仕事がなく、アルバイトで何とか収入を得る生活で
とても貧しく、今回の入院がその家計をさらに圧迫する形となっていました。
そのため子供たちは、三度の食事も満足に取ることが出来ず
病院へ付き添いに来たときも、いつもおなかをすかしていました。
ある日、その事情を知った看護婦さんが見かねて
病室に居た3人の子供たちを外に連れ出しました。
そして近所のおそば屋さんに入ると、こう言ったのです。
「好きなものを注文して食べなさい。」
最初、その言葉に少し驚いたような表情を見せた三人でしたが、
子供たちが頼んだのは、メニューの中で値段の一番安い「陽春麺」
「具なしそば」と言われる日本で言う「かけそば」でした。
注文したおそばが来ると、子供たちはうれしそうに
ふうふうと息を吹きかけながら、
お箸で麺を代わる代わる口に運びました。
ところが・・・・美味しそうに口に含んでいたおそばを食べかけたまま
9歳の女の子が、突然箸を置きました。
驚いた看護婦さんは、「どうしたの?」と女の子に聞きました。
すると女の子は、自分の「破れた靴」のつま先を見つめて言いました。
「この美味しいおそば、病気のお母さんにも食べさせたいの。
これ、包んでもらえますか?」
その言葉を聴いて、他の年下の2人の子供たちも途中で箸を置いて
この女の子の行動に従ったのです。
看護婦さんは黙って、子供たちの母親のために「陽春麺」をもう一杯頼んで
病院へ持って帰りました。
入院していた子供たちの母親は、末期の子宮頸ガンだったのです。
すでにガンは全身に転移していました。
母親は、自分の死期が近づいていることを知ると
主治医に、もう一度だけ家族と家で過ごす時間が欲しいと申し出たのです。
主治医は、それを許可しました。
そして数日間、家族は親子だけの時間を過ごしました。
家族はいろいろなことを話したそうです。
母親は、夫と子供たちに、これまでのことを「ありがとう」と
感謝の言葉を繰り返したといいます。
夫は、「楽な生活をさせてあげられなくて、ごめん。」と
謝り続けたといいます。
やがて、病院へ戻る最後の日。
母親は、夫と5人の子供に一つの約束をしました。
「どんなに貧乏でもいい。 どんなに苦しい日々を過ごしても構わない。
生まれ変わったときには、また同じように、
この家族で一緒に暮らしましょうね。」
2006年4月21日、午前1時12分。
母親は、眠るように天国へと旅立っていきました。
亡骸は、病院から台中市の葬儀場へと運ばれました。
5人の子供たちは、代わりばんこに、お母さんのほほへそっとキスをしました。
そして、一人で天国に行って寂しい思いをしないようにと、これまでのこと
お母さんへの思いを綴った手紙を棺に入れました。
実はこのお話には裏話が・・・
この看護婦さんは、子供たちのけなげな姿に強く心を打たれました。
そして病院のほかの看護婦さんや職員たちにも
「子供たちとの出来事」を聞かせました。
そして、その中の何人かが、地元のマスコミに訴えました。
病気の母をいたわって、空腹にもかかわらず優しい心を見せた子供たちがいる。
みんなで助けることが出来ないものでしょうか? と
すると、その話はすぐに台湾全土に広まって
全国から支援のお金が届くようになります。
その金額は合計で、169万台湾元=日本円で
およそ500万円にもなりました。
子供たちのお父さんは、寄せられた善意に感謝の気持ちを伝えるため
記者会見を開きました。
その席上、受け取ったお金は地元の自治体に全額預けて
子供たちの教育資金にさせていただくと発表しました。
そして、これからは家族7人で力を合わせて頑張るので
今後は「支援のお金」は辞退しますと語ったのです。
それから数日して、お母さんは亡くなられたのです。
世界中の高度に発展していない国に生きている人の方が多い現実。
悩みは・・・貧困と病気です。
日本で生きている私たちとは 悩みの質が・・・違います。
日々、食べ物にも不自由なく 病院にも行ける日本
とても、ありがたいです。
足る事を知り、真実の幸福とは何か 考えてみる
いいチャンスをいただきました。