元高校教師のブログ[since2007/06/27]

地元仲間とのウォーキング、ハイキング、サイクリング、旅行の写真入報告。エッセイや意見も。

『失われたもの』

2007-07-11 09:33:09 | 我が未刊詩集『蝉の死と』より

   『失われたもの』 
 

   今日も男は海に出る    
   魚のいない海に出る

   今日も女は土を掘る    
   石ころだらけの土を掘る

   若い男は島すてた    
   若い娘も島すてた

   だあれもいない昼下がり    
   片手失くした老人が
   
   小枝くわえて沖見てた

 

この詩をリクエストした女子高生---ヘミングウエイのファン?  
 
昔、旺文社から受験生用に、英語の参考書を出版した。授業でそのことを話したら、「書店でなく、先生の手から直接買いたい」という生徒が数名出た。「よし、じゃあ、サーヴィスに、裏表紙に詩を書いてやる」---ということで、私の未刊詩集の中から、それぞれ選択させた。 
 そのとき、一人の生徒が上記の詩をリクエストした。NHK朝の連続テレビ水色の時のヒロインになる前だったか、その後か、覚えていない。いずれにせよ、今は大女優と言っても間違いあるまい。 
 どうして、この詩をリクエストしたのかを訊かなかったし、この詩の解説を求められもしなかった。とにかく、他の生徒と異なり、彼女がこの詩をリクエストしたのは確かだ。 
 正門の前に、まだ「小岩湖」があった時代だ。昨日紹介した「照月湖*」と同様に、今は埋めたてられて跡形も無い。

※この詩は、私の詩集の題名にした『蝉の死と*』に通じるテーマだ。

   *蝉の死と   *消された照月湖(北軽井沢)---怒りを込めて

 

 

 

 


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