通称 『白浪五人男』 本当の題名の 『青砥稿花紅彩画』
宮本 喜恵子
https://fbcdn-sphotos-d-a.akamaihd.net/hphotos-ak-prn1/1014401_439936482780873_137682555_n.jpg
「日本の原風景 ーその24ー」
「知らざあ言って聞かせやしょう」で始まる弁天小僧菊之助のセリフ、きっとどこかで聞いたことがあると思います。
先日、鎌倉散策で江ノ島電鉄に乗りましたら、何か懐かしい駅名がいろいろ出てくるではありませんか。ここは弁天小僧菊之助に縁のあるところなのですね。
それもそのはず。通称『白浪五人男(しらなみごにんおとこ)』、本当の題名の『青砥稿花紅彩画(あおとぞうし はなの にしきえ)』は、全5幕あって、最初は鎌倉の紫陽花寺として有名な「長谷寺花見の場」から始まるのです。
中でも人気の高いのは、「浜松屋店先の場」です。
今年4月、新歌舞伎座こけら落とし公演でも上演された演目です。音羽屋のお家芸ですね。
「白浪五人男」は、「石川五右衛門」、「鼠小僧」と並ぶ日本屈指の盗賊5人組の活躍を描いたものです。
「浜松屋」という呉服屋へこの盗賊らが金をゆすりに行くのです。
その盗賊の中の一人、弁天小僧菊之助は三代目歌川豊国の錦絵がモデルとなっています。彼は女装の美男子。浜松屋をゆすって、わざと見破られ、いなおるのです。その時あぐらをかいて、着物をはだき、刺青を出して啖呵をきるのですね。
「待ってました!」と客席から声がかかる目を離せない見せ場です。
この時、菊之助は正体を表し、女から男へと変身するわけですが、声のトーン、しぐさ、そして七五調のセリフなど、5代目尾上菊五郎のために河竹黙阿弥が書いた演目だそうですが、この幕随一の見どころです。
七五調の響き、是非、生で聴いていただきたいです。
知らざァいって聞かせやしょう。
浜の真砂と五右衛門が、歌に残した盗人の、種はつきなし七里が浜。
その白浪の夜働き、以前をいやあ江の島で、年季づとめの稚児が淵、
百味でさらす蒔銭をあてに小皿の一文字、
百が二百と賽銭のくすね銭せえ段々に、悪事はのぼる上の宮、
岩本院で講中の、枕探しも度重なり、お手長講の札つきに、
とうとう、島を追い出され、それから若衆の美人局(つつもたせ)
ここやかしこの寺島で、小耳に聞いた音羽屋の、似ぬ声色で小ゆすり騙り、
名せえゆかりの弁天小僧、菊之助たァ、おれがこと だ!
宮本 喜恵子
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「日本の原風景 ーその24ー」
「知らざあ言って聞かせやしょう」で始まる弁天小僧菊之助のセリフ、きっとどこかで聞いたことがあると思います。
先日、鎌倉散策で江ノ島電鉄に乗りましたら、何か懐かしい駅名がいろいろ出てくるではありませんか。ここは弁天小僧菊之助に縁のあるところなのですね。
それもそのはず。通称『白浪五人男(しらなみごにんおとこ)』、本当の題名の『青砥稿花紅彩画(あおとぞうし はなの にしきえ)』は、全5幕あって、最初は鎌倉の紫陽花寺として有名な「長谷寺花見の場」から始まるのです。
中でも人気の高いのは、「浜松屋店先の場」です。
今年4月、新歌舞伎座こけら落とし公演でも上演された演目です。音羽屋のお家芸ですね。
「白浪五人男」は、「石川五右衛門」、「鼠小僧」と並ぶ日本屈指の盗賊5人組の活躍を描いたものです。
「浜松屋」という呉服屋へこの盗賊らが金をゆすりに行くのです。
その盗賊の中の一人、弁天小僧菊之助は三代目歌川豊国の錦絵がモデルとなっています。彼は女装の美男子。浜松屋をゆすって、わざと見破られ、いなおるのです。その時あぐらをかいて、着物をはだき、刺青を出して啖呵をきるのですね。
「待ってました!」と客席から声がかかる目を離せない見せ場です。
この時、菊之助は正体を表し、女から男へと変身するわけですが、声のトーン、しぐさ、そして七五調のセリフなど、5代目尾上菊五郎のために河竹黙阿弥が書いた演目だそうですが、この幕随一の見どころです。
七五調の響き、是非、生で聴いていただきたいです。
知らざァいって聞かせやしょう。
浜の真砂と五右衛門が、歌に残した盗人の、種はつきなし七里が浜。
その白浪の夜働き、以前をいやあ江の島で、年季づとめの稚児が淵、
百味でさらす蒔銭をあてに小皿の一文字、
百が二百と賽銭のくすね銭せえ段々に、悪事はのぼる上の宮、
岩本院で講中の、枕探しも度重なり、お手長講の札つきに、
とうとう、島を追い出され、それから若衆の美人局(つつもたせ)
ここやかしこの寺島で、小耳に聞いた音羽屋の、似ぬ声色で小ゆすり騙り、
名せえゆかりの弁天小僧、菊之助たァ、おれがこと だ!