今日は二期会オペラ・ファルスタッフで東京文化会館。初日中止の電話をもらって新たにとった公演。
幕が開くやレオナルド・シーニの指揮に乗った東フィルはごきげん。舞台のパブも、始まった劇もモダンで洗練された感じで、最初からのっていけたのですが。
このオペラ、笑えて楽しいんだけど、それ以上に奥が深いんだと、実は今日気づいて。
というのは二幕終わっての休憩時に、フランコ・ペリーのインタビュー記事を読んだから。
ペリーこんなこと言っていた。
ファルスタッフはブルジョワの小さな社会が退屈を紛らわすために、社会からはみ出た人を苦しめようとする物語....
ファルスタッフは最初から笑ものにされ、川に投げ込まれ、森で驚かされ...
アリーチェたちブルジョワ社会がそれで退屈が紛らわすという残酷な話...
シェイクスピアには善悪の二元論の作品はなく...
人間の持つ欠点という欠点持つ耐え難い人物に対峙したら、わたしたちも同じような残酷なことをするかもしれない...
これを読むまえの1幕2幕ではゲラゲラ笑ってたけど、3幕ではちょっと違う視点で観てた。
それはともかく歌手のみなさんのことを書くと。
渋い二枚目でファルスタッフのイメージには程遠い(と思ってた)今井さんがすごかった。
METでも欧州でもやたら出てくるアンブロージョ・マエストリには飽き飽きしてるからすっごく新鮮で。歌も芝居も素晴らしく、カーテンコールでもすごい拍手。当たり役になるね。
宮里さんもフェントンが初々しく、3幕の聴かせどころではホールを魅了して。カーテンコールでも大声援。
フォード清水さんも聴かせたし、いい芝居。
ガイウス吉田さんにもビックリ。こんな役ができるんだ。
女性陣はアリーチェの高橋さんもナンネッタの三宅さんも良かったけど、クイックリーの中島さんがさすがで。歌はもちろんだけど芝居も上手いんだね。
フィナーレは本当に素晴らしいものでした。
深く感動しながら、ファルスタッフをまだよく理解していないのかな。
でもそれって、このファルスタッフというオペラには、まだまだ楽しめる余地が残っているんだな。
そんなことを考えた今日の二期会ファルスタッフ。