Brexitについてクルーグマンがどうとらえているか知りたかったので、NY Timesのブログをチェックしていたのですが、、やっと、JULY 2, 2016 に書かれました。
Brexitで短期的に経済が悪化するかどうかはわからないと言っています。メディでは過度に悲惨な見通しが氾濫していますが、クルーグマンはなかなか慎重なもの言いです。訳してみました。
More on the Short-Run Macroeconomics of Brexit
By PAUL KRUGMAN
JULY 2, 2016
http://mobile.nytimes.com/blogs/krugman/2016/07/02/more-on-the-short-run-macroeconomics-of-brexit/
Brexitの短期的な影響に関して、需要に大きな悪影響があると言うエコノミストの見解について問いなおしていました。私は直感に従ったまでで、離脱派を擁護するためではありません。
マクロ経済学の標準モデルでは、長期的には供給を悪化させる政策が、必然的に短期的に需要も悪化させるものではありません。だからこれらのエコノミストたちに共通する見解の根拠が、私には本当にわからなかったのです。
そして私は、これらエコノミストの見解が経済分析の結果というよりも、政治的意図からなされているのではないかと疑いました。自由貿易は正しいと考える彼らは、離脱が悪だとして、なぜ悪なのかは正確に議論していません。
私は尊敬するエコノミストたちと、Brexitで増大する不確実性について詳細な議論をし、示唆に富んだ考えを聞くことができました。今や、企業にとって、今後英国がEUとどれほど密接な関係になるか明確でないので、企業は投資を遅らせるだろうというものです。興味深くまっとうな見解ですが、基本的に、Brexitがどういう形になるのか明確になるまで待とうという考え方です。これに対して、私は3つの疑問を呈します。
まず第一に、Brexitの暗い見通しを前提にした議論は現実的といえるでしょうか。Brexitについてのニュースや解説を読んでいる人はさほど多くはないと思いますが、彼らは事態は悪くなるだろうという見解を聞いているわけです。しかしこの議論は、以前聞いていたものより、僅かに微妙な感じなものになっています。
第二にこの議論は、不確実性がなんらかの方向で解決すると、投資ブームがやってくることを暗示しているのではないでしょうか。たとえばファラージが首相になったり、ルペンが大統領になってEUの解体を立案したりすれば、抑制されていた投資が戻ってくるのではないでしょうか。しかしBrexitによる経済の収縮は、状況が落ち着けば回復するだろうという見解を私は誰からも聞いたことがありません。
第三にこの議論は、結果はわからないにしてもなんらかの交渉によって、同じような効果があることを示唆してはいないでしょうか。TPPやTTIPが実際にどのように妥結するかわかるまで、企業は投資を延期するだろうから、TPPやTTIPが経済を収縮させるとはいえないでしょう。貿易自由化交渉の妥結に時間がかかれば、経済が収縮するという議論は実際に聞いたことがありません。
繰り返しますが、私はBrexitを擁護しているのではありません。Brexitの非難が高まると議論の知的な水準が低下することを恐れているのです。
もう一つ言わせてもらえれば、悲惨な見通しがいくつかの(すべてではない)財務報告に脚色されています。全体として、マーケットの反応は限定的なものに思えます。株式市場のことではありません。欧州債券ですが、利回りは1ヶ月前とほぼかわりません。実際のところ、世界的に、利率はかなり低いです。われわれは金融の混乱が広がるとは見ていませんが、いたるところに混乱の見出しが溢れています。
私は間違っているでしょうか? 当然なことですが、Brexitについて言われていることが何を根拠にしているか、誰もが問い直す必要があります。