彼は視線を落としたまま、
「冷蔵庫からイチゴのヨーグルト2つ出してもらえる?」
トーストなんかと色々並べて、2人で朝食の食卓に向かった。
「いただきまーす」
2人で手を合わせて、まず俺はコーヒーを一口飲んだ。
天気も良さそうで、気はつかうが、なかなか幸せな気分だった。
「センパイ、勝手にパンにしちゃったけどよかったかなあ? 苦手なものとか、昨日のうちに訊いておけばよかったね。ごめん」
まだ俺の目を見てくれないなあ…
「いや、特に好き嫌いもないし、朝食はパンの方が好きなんで、助かります」
するとようやく、彼はいたずらっ子のように笑いながら俺を見つめて、
「センパイ~敬語も禁止にしようよ~。どうせ会社でいっぱい使えるんだし」
「そ、そうだな」
俺のうろたえぶりにようやく彼は俺の目を見て笑ってくれた。
本当は昨日の顛末を尋ねるべきなのだろうが、それは今日帰ってからゆっくり尋ねることにした。
車に乗ってから、
「社長、家の中で、警護にさらに気をつけた方がいいことはありますか」
と、訊いてみた。すると…