彼の方は車の中では無表情だったが 駐車場から社長室までのわずかな 距離、何気なく様子を伺うと口元の笑みこそかみ殺していたものの、目はキラキラしていて、見ているこっちまで嬉しくなるような表情だった。
商談がまとまったのが本当に嬉しかったのだろう。
その後は、社長たちは軽く残業だったので、俺もパソコンを開きつつ、月曜日の彼の失踪の理由を聞き出すにはどうすればいいか悩んでいた。
約束通り、その夜は動画ナイトだった。
風呂からあがると、暗くしたリビングのソファの上で、聖名がくつろいでいた。テレビには、可愛いネコが映っている。
聖名は笑顔で、
「センパイ、ノンアルでよかった?」
テーブルにはビールやスナック菓子が置いてあったが…
「部屋暗くして見るの?」
「うん。雰囲気出したいじゃん」
俺は吹き出してしまった。
「ネコの動画に雰囲気?」