その後は、彼の方が時間を気にしてくれた。
それでも、デザートの夕張メロンゼリ一までしっかりいただき、後片付けの手伝いをして帰った。
「今日はいいよ。それより早く帰って報告書提出してよ」
と、彼には言われたが…
「もー、こうやって飲むのを禁止にされたら困るじゃん…」
お世辞でも嬉しい。そんなに彼は俺に親しみを持ってくれたのかな。
そして俺は気づく。
俺も親しみ…仕事面で気に入られたいというのとは、別の感情を持ったと言うことに。
落ち着いた知的な社長の顔と、腕白な子供のような可愛らしさとのギャップ。
でも初対面なのに色々気をつかってくれる優しさもあって。
そして、永遠の美少年と言われるような世界中の俳優にも負けない美しさ。
他にも何だかあったかさがあって、
この人と「友達」になりたいと思った。
次の朝は初めてのお迎えで、俺はちょっと緊張していたが、昨日の楽しい飲みを思い出して自然と笑顔も出ていた気がする。
しかし…
「…はい…」
と、ドアを開けてくれたのは、物憂げ、というか不機嫌そうな彼だった。長い金髪をうなじのあたりでまとめたポニテは可愛らしかったが。
「おはようございます。昨日はありがとうございました…あの、大丈夫ですか?」
「おはよう。やっぱ、俺、ヘン?」
「顔色が…」
そして俺がびっくりしてしまったのは、彼の首の右側の方に、昨日まではなかった赤い痕がくっきりとついていたことだった。