さっきのFAXは、敵対している人間からの怪文書と、聖名にはわかっていたのだろう。
(でも、そんな状況なのに、こうやってボディーガードを振り切って出ていくなんて…俺は敵の目くらましにしか過ぎなかったのか…)
しかし、聖名の、FAXの件の時の必死さは嘘ではなかったと思うのだ。
(せめてこういう予定だとあらかじめ…)
いや、言えないからこうなったのだろう。
もう、好きにすればいい。
そんな気持ちになった。
もう、ボディーガードとしてではなく、友だちとしてというか、「センパイ」として怒っていたのだと思う。
(もう俺はやめるんだし、何よりこんなことを思うようになったらプロじゃない)
俺は聖名の部屋に戻って、彼を待つことにした。