佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

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原発性耳下腺腫瘍の拡散強調画像

2010年09月27日 22時30分57秒 | 抄読会
今日は、書くことが思い浮かばないので、RSNAの準備のために読んだAbstractの訳を…

Diffusion-Weighted Echo-Planar MR Imaging of Primary Parotid Gland Tumors: Is a Prediction of Different Histologic Subtypes Possible?
C.R.Habermann et al.
AJNR 2009: 30;591-596
<Abstract>
◎目的
原発性耳下腺腫瘍の組織型の鑑別におけるEPI-DWIの意義を求める
◎方法
149名の耳下腺腫瘍が疑われた連続症例
1.5T装置でEPI-DWIを撮像し、2名の放射線科医が独立して評価し、intraclass correlationを算出
ADC値はpaired 2 tailed Student t testとBonferroni correlationを使用して検定
◎結果
136名で、原発性耳下腺腫瘍の組織型が確定診断された
読影者間での一致率は高かった
多型腺腫では、myoepithelial adenomaを除いて、他の組織型よりもADC値が高かった
ワルチン腫瘍では他の組織型と比較すると、
myoepithelial adenoma P<.001, lipomas P<0.0013, salivary duct carcinomas P<0.037という結果であったが、
mucoepidermoid carcinoma P=0.094, acinic cell carcinomas P=0.396, basal cell adenocarcinoma P=0.604
と鑑別ができない
◎結論
EPI-DWIは多型腺腫とmyoepithelial adenomasを他の組織型から鑑別できる可能性が示された。ただし良悪性だけでなく、組織型間でのオーバーラップもあるので、ADC値単独では診断されるべきではない。それゆえDWIと形態的なクライテリアや他のシーケンスなどを組み合わせることが必要であると考えられる。

本文PDFはフリーで手に入ります。興味のある方はどうぞ。
サスガにAJNRなので、ROIのとり方や考察の仕方などとても勉強になる論文でした。
AJNRの論文はいつも勉強になります(いつも、というほどは読んでませんが…)。どんなヒトが書いているんだろう。

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