久しぶりの論文。
RSNAの資料用に書き落としているものです。
乱雑な記事ですが、軽い論文紹介と思ってご容赦ください。
JMRI29:1355-1359(2009)
Diffusion-Weighted Echo-Planar Magnetic Resonance Imaging for the Assessment of Cellularity in Patients With Soft-Tissue Sarcomas
Dirk Schnapauff et al.
<Abstract>
◎目的:軟部肉腫の細胞密度を評価する方法としてのDWIの適格性を検討する
◎方法:
症例数30 31の組織が確定された腫瘍 1例が生検 30例が切除標本
14症例が化学療法前、16例が化学療法後
◎結果:
腫瘍の細胞密度は、最小ADC値と相関していた(Pearson correlation coefficientで-0.88 95%信頼区間)
先行する抗腫瘍療法の影響を受けない
低ADC値ほと高グレードであったが、P=0.08と依存は顕著ではなかった
◎結論:
ADC値は軟部肉腫の細胞密度を評価するのに有用と示された。
DWIは、腫瘍の細胞密度の変化を評価することで、細胞障害性の治療効果をモニターする非侵襲的な手法となるかもしれない。
<本文>
◎背景
DWIは水プロトンの可動性の情報を提供し(4)、グリオーマや脳メタの細胞密度を反映する(3-7)
巨視的な容積の反応に先んじて、細胞の変化を早期に検出する感度の良いバイオマーカーとして評価されている(8-17)。
◎方法
MRI装置:Siemens 1.5T Symphony
撮像から切除まで14日以内
症例群は上記
スキャンプロトコル:
Single shot EPI, TI=180, TR=10,000, TE=108, NEX=2, FOV=180-250mm2, matrix size=256x256, thickness=5mm, interslice gap=1mm, partial Fourier transform and EPI factor=88, b=0,500,1000
ADC(mm2s-1) = [ln(S0/Sb)]/b
S0,Sb:それぞれのb factorでの信号強度
ROI:
2名の放射線科医で合議
20ピクセル以上を含むROIを3箇所
他のシーケンスで充実部分と確認される部位で、最も低いADC値をとる
ADC値が上昇している部分は嚢胞変性や、壊死などの可能性がある(5)
3個のROIの平均で症例のADC値を代表させる
細胞密度:
切除面における核の面積の割合と定義??
顕微鏡の設定
0.01mm2内の細胞の数として表記されている
統計解析:
・細胞密度とADC値;Pearson’s correlation coefficient
・最小ADC値と腫瘍の悪性度:Student’s t-test
・2つのサブグループ(前治療の有無)の差はAN-COVA test
・SPSSで解析
・p<0.05を有意差とする
◎結果
最小ADC値:41×10-3mm2/sec~232×10-3mm2/sec
細胞密度:20-107/0.01 mm2
◎考察
・単位面積内での細胞密度は、水の拡散に影響する重要な因子であるとされる。水の拡散は細胞内腔と細胞外腔の割合に依存する(25,26)。
・腫瘍学的な観点からのDWIの応用について
骨肉腫(14)肝癌(15)乳癌(16)結腸癌肝転移(17)
放射線治療での軟部肉腫の検討(28)
・良悪性の鑑別について
細胞密度との相関関係はあるが、組織型や悪性度の推定は困難かもしれない。ただし、悪性度は細胞密度のみで決定されるわけではないので、驚くべき結果ではない。
ROIのとり方、細胞密度の定義の仕方、考察のもって行き方などが勉強になりました。
論文はフリーのPDFです。内容に誤り等があれば、ご指摘いただけると幸いです。
RSNAの資料用に書き落としているものです。
乱雑な記事ですが、軽い論文紹介と思ってご容赦ください。
JMRI29:1355-1359(2009)
Diffusion-Weighted Echo-Planar Magnetic Resonance Imaging for the Assessment of Cellularity in Patients With Soft-Tissue Sarcomas
Dirk Schnapauff et al.
<Abstract>
◎目的:軟部肉腫の細胞密度を評価する方法としてのDWIの適格性を検討する
◎方法:
症例数30 31の組織が確定された腫瘍 1例が生検 30例が切除標本
14症例が化学療法前、16例が化学療法後
◎結果:
腫瘍の細胞密度は、最小ADC値と相関していた(Pearson correlation coefficientで-0.88 95%信頼区間)
先行する抗腫瘍療法の影響を受けない
低ADC値ほと高グレードであったが、P=0.08と依存は顕著ではなかった
◎結論:
ADC値は軟部肉腫の細胞密度を評価するのに有用と示された。
DWIは、腫瘍の細胞密度の変化を評価することで、細胞障害性の治療効果をモニターする非侵襲的な手法となるかもしれない。
<本文>
◎背景
DWIは水プロトンの可動性の情報を提供し(4)、グリオーマや脳メタの細胞密度を反映する(3-7)
巨視的な容積の反応に先んじて、細胞の変化を早期に検出する感度の良いバイオマーカーとして評価されている(8-17)。
◎方法
MRI装置:Siemens 1.5T Symphony
撮像から切除まで14日以内
症例群は上記
スキャンプロトコル:
Single shot EPI, TI=180, TR=10,000, TE=108, NEX=2, FOV=180-250mm2, matrix size=256x256, thickness=5mm, interslice gap=1mm, partial Fourier transform and EPI factor=88, b=0,500,1000
ADC(mm2s-1) = [ln(S0/Sb)]/b
S0,Sb:それぞれのb factorでの信号強度
ROI:
2名の放射線科医で合議
20ピクセル以上を含むROIを3箇所
他のシーケンスで充実部分と確認される部位で、最も低いADC値をとる
ADC値が上昇している部分は嚢胞変性や、壊死などの可能性がある(5)
3個のROIの平均で症例のADC値を代表させる
細胞密度:
切除面における核の面積の割合と定義??
顕微鏡の設定
0.01mm2内の細胞の数として表記されている
統計解析:
・細胞密度とADC値;Pearson’s correlation coefficient
・最小ADC値と腫瘍の悪性度:Student’s t-test
・2つのサブグループ(前治療の有無)の差はAN-COVA test
・SPSSで解析
・p<0.05を有意差とする
◎結果
最小ADC値:41×10-3mm2/sec~232×10-3mm2/sec
細胞密度:20-107/0.01 mm2
◎考察
・単位面積内での細胞密度は、水の拡散に影響する重要な因子であるとされる。水の拡散は細胞内腔と細胞外腔の割合に依存する(25,26)。
・腫瘍学的な観点からのDWIの応用について
骨肉腫(14)肝癌(15)乳癌(16)結腸癌肝転移(17)
放射線治療での軟部肉腫の検討(28)
・良悪性の鑑別について
細胞密度との相関関係はあるが、組織型や悪性度の推定は困難かもしれない。ただし、悪性度は細胞密度のみで決定されるわけではないので、驚くべき結果ではない。
ROIのとり方、細胞密度の定義の仕方、考察のもって行き方などが勉強になりました。
論文はフリーのPDFです。内容に誤り等があれば、ご指摘いただけると幸いです。
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