佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

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IMRTについて その1

2008年01月24日 07時51分06秒 | 診療紹介Q&A
  当ブログにIMRTについて検索して来られる方が多かったので、hirako先生に依頼して記事を書いてもらいました。数日にわけて連載させていただきます。

 IMRTとは、Intensity Modulated Radiation Therapy(強度変調放射線治療)の略語です。読んで字のごとく、放射線治療の一つのモダリティです。最近の前立腺癌に対する放射線治療の増加に伴い、一般の患者さんも、よくこの言葉を口にするようになりました。ただ、まだまだ言葉先行であり、この治療法に対する正しい認識をもっている方は少ないようです。

 そもそも、IMRTと従来の放射線治療(以下従来法と省略)との違いはどこにあるのでしょうか?

 方眼紙に10cm×10cmの正方形を書いてみましょう。この正方形のなかには、1cm×1cmの正方形が100個含まれています。従来法は、一回の治療では、この10cm角の正方形の内部に均一な放射線を当てることしかできませんでした。しかしIMRTでは、一回の治療で、この10cm角の正方形の中に含まれる1cm角の正方形ごとに、違った量の放射線を当てることができます。(あくまでもこのサイズは例え話の上でのサイズです)

 これを応用することで、病気の形が円形でなくいびつな形の場合にも、その形に合わせて均一な放射線を当てることが可能になりました。また、病気のすぐそばに放射線をあまり当てたくない臓器があった場合に、その部分をある程度避けてかつ病気の部分に十分な量な放射線を当てることが可能になりました。

 このIMRTという方法は、現在のところ、主に前立腺癌や頭頸部癌を中心として行われています。

 次回は主に前立腺癌と頭頚部癌への照射についての記事です。

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