現在世界中の企業がSARS-CoV-2のワクチン開発にしのぎを削っていますが、Yale大学免疫学教室の岩崎明子教授らによる、ワクチン開発の問題点についてのCommentがNat Rev Immunolに掲載されました。内容をかいつまんで紹介させていただきます。
あるワクチンが有効かどうかは、当然どの程度感染抑制効果のある抗体(中和抗体)産生を誘導できるかにかかっているわけですが、SARS-CoVとのアナロジーから考えると、中和抗体の作用点はウイルスの細胞への侵入、融合、排出(出芽)などの抑制であろうと予想されます。
一方で抗体はantibody- dependent enhancement (ADE)と呼ばれる、かえって病原性を高めてしまう作用を示すことがあります。SARS-CoVの場合には、抗体がFc receptorを発現する単球、マクロファージ、B細胞などに作用して、これらの細胞へのウイルスの侵入を促進し、TLR3, TLR7, TLR8などを活性化して炎症や組織障害を惹起することがあり、ADEと呼ばれています。抗体が病原体に対して中和活性を発揮するか、ADEを誘導してしまうかは、どのようなタンパク、エピトープを認識するかなどによって、また誘導される抗体濃度やaffinityによっても異なります。また高齢者にも安全で有効な抗体誘導が可能かも確認が必要です。COVID-19臨床例においては、高タイターの抗体誘導は不良な予後と関係する場合もあること、一方で回復した患者の70%で中和抗体が検出され、持続的に検出されるという報告もあり、どのような抗体がどの程度の量誘導されるかが極めて重要になってきます。
このような観点からは(コストのことを度外視すれば)、著者らが最後に述べているように、ワクチンよりも中和抗体そのもの(生物学的製剤)の方が確実性があるのかもしれません。
あるワクチンが有効かどうかは、当然どの程度感染抑制効果のある抗体(中和抗体)産生を誘導できるかにかかっているわけですが、SARS-CoVとのアナロジーから考えると、中和抗体の作用点はウイルスの細胞への侵入、融合、排出(出芽)などの抑制であろうと予想されます。
一方で抗体はantibody- dependent enhancement (ADE)と呼ばれる、かえって病原性を高めてしまう作用を示すことがあります。SARS-CoVの場合には、抗体がFc receptorを発現する単球、マクロファージ、B細胞などに作用して、これらの細胞へのウイルスの侵入を促進し、TLR3, TLR7, TLR8などを活性化して炎症や組織障害を惹起することがあり、ADEと呼ばれています。抗体が病原体に対して中和活性を発揮するか、ADEを誘導してしまうかは、どのようなタンパク、エピトープを認識するかなどによって、また誘導される抗体濃度やaffinityによっても異なります。また高齢者にも安全で有効な抗体誘導が可能かも確認が必要です。COVID-19臨床例においては、高タイターの抗体誘導は不良な予後と関係する場合もあること、一方で回復した患者の70%で中和抗体が検出され、持続的に検出されるという報告もあり、どのような抗体がどの程度の量誘導されるかが極めて重要になってきます。
このような観点からは(コストのことを度外視すれば)、著者らが最後に述べているように、ワクチンよりも中和抗体そのもの(生物学的製剤)の方が確実性があるのかもしれません。
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