人工膝関節全置換術(TKA)においてcomputer-assisted surgery(CAS)はかなり市民権を得てきており、正確な骨切りが可能であるなどの有用性が報告されています。この論文は19,221例という多数の症例を対象にして、CASの臨床成績に与える影響を検討したNew Zealandからの報告です。結果としては再置換率も臨床スコア(Oxford Knee Scorem, OKS)も通常手術と差がなく、手術時間はCASで有意に長かった、ということで、結論は「CAS意味ないんちゃうか。名人には必要ないで」ということになっています。しかしよく考えると、この結果は「より正確に骨切りをしても手術成績が変わらなかった」ということを示しているわけです。それで全員が100点なら良いのですが、そうではありません(TKAは人工股関節全置換術よりも患者からの評価が低いことが知られています)。正確に骨切りをした方が、計画した手術の目標を達成しているわけですから、それにもかかわらず成績が変わらないのだとすれば、手術の目標値の設定がおかしいか、行っている手術(機種)自体に限界があるかのどちらかです。今後次世代、次々世代のTKAが登場したときにこそ、正確な手術が可能なCASが威力を発揮するのだと思います。
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